【鹿児島県・知名町】サンゴ礁と共生へ！農業、観光、福祉連携で挑む「ゼロカーボンアイランド」戦略 － 家庭用蓄電池の一括見積もり・価格比較サービス【エコ発蓄電池】

知名町におけるゼロ・カーボンシティ宣言

鹿児島県に位置する知名町は、豊かな自然環境に恵まれながらも、地球温暖化による気候変動の影響に直面しています。サンゴ礁の白化、海面上昇による高潮被害、そして年々大型化する台風など、これらの課題に立ち向かうため、知名町は未来に向けての目標を設定しました。

この宣言は、単なる表明に留まらず、町全体で脱炭素社会の実現に向けた具体的な行動を起こすための羅針盤となるものです。

脱炭素化と地域経済の好循環：地方創生への新たなアプローチ

知名町では、脱炭素化への取り組みを単なる環境対策に留めず、地域経済の活性化や人口減少対策、さらには災害に強いまちづくりといった地方創生の推進へと力強く結びつけています。この先進的なアプローチの柱は、主に以下の3点です。

2-1. 再生可能エネルギーの導入による経済効果の創出

特にエネルギーの地産地消を推進することで、地域内での経済循環を生み出し、新たな雇用の創出や地域産業の振興を目指しています。

2-2. 災害に強いレジリエンス（強靭性）の強化

火力発電への依存度を減らし、再生可能エネルギーによる新たなエネルギー源を増やすことで、台風などの災害時における停電リスクの低下に努めます。これは、住民の安全・安心を担保し、だれもが住み続けたくなるような町を目指します。

2-3. 「子や孫が誇れる町づくり」の実現

地域の課題解決と持続可能な地域づくりに貢献し、将来にわたって島で暮らし続けられる環境を整備することで、地域の活性化と人口減少対策の両立を図ります。

このように行政、企業、住民が一体となって、脱炭素化と地方創生の好循環を生み出すための取り組みを推進していくことが、知名町の目指す未来像です。

知名町の具体的な脱炭素への取り組み

3-1. 農業分野との連携：遊休農地活用と資源循環

営農太陽光発電設備　画像提供：知名町

農業分野は、知名町の脱炭素化と地域経済活性化を両立させる上で、重要な役割を担っています。特に、遊休農地の有効活用と、農業廃棄物の資源循環は、注力すべき取り組みです。

（1） 営農型太陽光発電によるエネルギー創出と農地活用

知名町では、耕作放棄地や遊休農地を活用し、営農型太陽光発電の導入を推進しています。これにより、農作物の生育に必要な日照を確保しつつ、太陽光エネルギーの創出が可能となります。

この取り組みは、エネルギーの地産地消を促進するだけでなく、耕作放棄地問題の解決にも貢献することが期待されています。

（2）じゃがいも廃棄物を活用したバイオマス発電の可能性

町内で発生するじゃがいもの廃棄物を活用したバイオマス発電についても、資源循環の可能性を検討しています。これは、農業廃棄物の有効活用と、エネルギー創出を同時に実現する先進的な取り組みです。

これらの農業分野との連携は、持続可能な農業経営の確立と、地域におけるエネルギー自給率の向上に寄与するものと考えられます。

3-2. 観光分野との連携：エコツーリズムと再生可能エネルギーの融合

画像提供：知名町

画像提供：知名町

知名町では、豊かな自然環境を活かしたエコツーリズムの推進に力を入れています。この取り組みは、脱炭素化の目標達成と観光振興を両立させることを目指しています。

町内の観光鍾乳洞案内などにおいて、再生可能エネルギーを利用した「グリスロ」（グリーン・スロー・モビリティ）の運行を導入しています。グリスロは、低速で走行する電動車両であり、静かで環境負荷の少ない移動手段として、観光客に島の自然をより身近に感じてもらう機会を提供しています。

3-3. 教育分野との連携：次世代を担う人材育成

画像提供：知名町

知名町では、未来を担う子どもたちが環境問題への理解を深め、持続可能な社会の担い手となるよう、教育分野との連携を重視した取り組みを進めています。

町内の小中学校では、「ゼロカーボンシティ宣言」の理念に基づき、環境保全や地球温暖化対策に関する学習を積極的に取り入れています。

これらの活動を通じて、子どもたちは地域への愛着を育みながら、環境保護の重要性を実践的に学んでいます。さらに、鹿児島県が主催する「学ぶ環境体験学習塾」にも参加し、小学生や中学生がソーラーランプ作りなどの体験プログラムに挑戦することで、貴重な学習体験を得ています。

3-4. 建築・住宅分野：庁舎のZEB化による先進的な取り組み

画像提供：知名町

知名町では、建物の脱炭素化を推進する取り組みとして、庁舎のZEB（ネット・ゼロ・エネルギー・ビル）化を進めています。これは、再生可能エネルギーの導入と省エネルギー化を徹底することで、建物のエネルギー消費量を実質ゼロにするという先進的な取り組みです。

この庁舎は、単にエネルギー効率が良いだけでなく、持続可能な社会の実現に向けた町の姿勢を示す象徴とも言えます。今後、この庁舎での運用実績やノウハウを活かし、町民の住宅における省エネ化やZEH（ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス）の普及促進にも繋げていくことが期待されます。

3-5. エネルギー分野：地域循環共生圏の実現と収益還元

知名町では、エネルギーの地産地消を推進し、地域経済の活性化と住民への利益還元を目指す「地域循環共生圏」の実現に向けた構想を描いています。特に、太陽光発電などの再生可能エネルギー導入拡大に伴い、地域内での経済循環を促進する仕組みづくりに注力しています。

この仕組みにより、再生可能エネルギーの利用者が経済的なメリットを享受できると同時に、地域内で経済が循環する効果が期待されます。エネルギー利用の促進と地域経済の活性化を両立させることで、持続可能な島づくりを目指しています。

太陽光発電導入の現状と今後の展望

画像提供：知名町

4-1. オンサイトPPA事業の推進と公共施設への導入実績

知名町では、持続可能なエネルギー供給体制の構築に向け、太陽光発電を中心とした再生可能エネルギーの導入を積極的に推進しています。特に、公共施設へのオンサイトPPA（第三者所有モデル）事業の活用は、初期投資を抑えつつ、再生可能エネルギーの導入を加速させる有効な手段として注目されています。

現在、町内5箇所の公共施設において太陽光発電設備の設置工事が完了しており、今年度中の系統連系を目指しています。これらの施設では、PPA事業を通じて、電力の安定供給とコスト削減効果が期待されています。

4-2. 系統不安定化への対応と技術的課題

一方で、太陽光発電のような出力が不安定な再生可能エネルギーの導入拡大に伴う、電力系統の安定化は重要な課題として認識されています。知名町では、この課題に対し、系統安定化に資するグリッドフォーミングインバーターや蓄電池の導入、デマンドレスポンスの活用など、多様な技術的解決策を検討・模索していく方針です。

まとめ

画像提供：知名町

知名町が推進する「ゼロカーボンアイランドおきのえらぶ」構想は、PPA事業の推進、庁舎のZEB化といった具体的な施策を通じて、脱炭素化を地域課題の解決と結びつけた先進的なモデルです。

この挑戦は、エネルギーの地産地消による地域経済の活性化、台風に強いレジリエンスの強化、そして農業・観光・教育の多分野連携を可能にします。知名町は、行政、企業、住民の知恵と力を結集させ、「子や孫が誇れる町づくり」という未来の実現に向けて、着実に歩みを進めています。

最後に、この取り組みを推進する知名町担当の方からの、地域住民・地元企業の皆様へのメッセージをお届けします。