太陽光発電と蓄電池を組み合わせるメリットとデメリット【徹底解説】
公開日:2019/08/23 | 最終更新日:2022/12/11

家庭用太陽光発電の普及や電力自由化によって、多くの方が電気機器やシステムに関して知ったり触れたりする機会も増えたのではないでしょうか。
中でも蓄電池は近年急速に技術が進み、家庭用太陽光発電システムとセットで利用できるようになりました。しかし、太陽光発電システムと比較して、蓄電池の具体的な利用メリットやデメリットについては分かりにくいところです。
今回は太陽光発電と蓄電池の連携を検討している方にも向けて、蓄電池の概要や種類、家庭用蓄電池のメリットやデメリットなどについてご紹介します。
更に後半では産業用蓄電池の特徴をはじめ、利用メリットやデメリット、自家消費型太陽光発電などについても解説していきます。
それでは今回の記事のポイントです。
太陽光発電と蓄電池を組み合わせるメリットは
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太陽光発電と蓄電池を組み合わせるデメリットは
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太陽光発電と蓄電池の関係や特徴など、基本から詳しく知りたい方は是非参考にしてみてください。
目次
住宅用太陽光発電に家庭用蓄電池を組み合わせるメリット
それでは住宅用太陽光発電システムに、家庭用蓄電池を組み合わせるメリットについて解説していきます。
住宅用太陽光発電システム単体でも、もちろん運用は可能ですが今後のFIT制度や効率的な運用を考えると、家庭用蓄電池の導入も検討してみてはいかがでしょうか。
メリット1.災害時に非常用電源として活用できる
太陽光発電システム単体でも、災害時の非常用電源として活用出来ますが、曇りや雨の時は発電できません。そのため災害時の天候に、大きく左右されてしまうリスクがあります。
そこで家庭用蓄電池を設置すると、雨や曇りで発電量0の日でも前日に蓄電しておいた電気を利用できるようになります。
最近では蓄電容量も増えているので、電子レンジやIHクッキングヒーターに利用できるタイプもあり、実用性も高まっているといえるでしょう。
災害時の蓄電池のメリットや活用事例【停電中も電気が使える!】
メリット2.夜間に蓄電池で溜めた電気を使用して節電
家庭用蓄電池を設置することで得られるメリットは、節電効果も見込めることです。
たとえば日中は太陽光発電システムで発電した電気で、消費電力をまかないつつ蓄電します。そして夜間は太陽光発電システムで発電できないため、蓄電池に貯めた電気を使うことで、買電量を抑えられます。
このように太陽光発電システムと家庭用蓄電池をうまく活用することで、買電量を抑えながら電気を使うことができますよ。
メリット3.ピークカットによる節電効果の期待
ピークカットとは、1日の間に最も電気使用量の多い部分を少しでも削減して、節電することです。家庭用蓄電池を活用することで、電気使用量の最も多い時間帯に蓄電池の電気を使用し節電できます。
無理に電気使用量を減らすことなく、ピークカットを実現できる家庭用蓄電池の存在はどのご家庭でも大きなメリットです。
メリット4.FIT制度終了後の自家消費に活用できる
家庭用蓄電池は自家消費型太陽光発電システムを運用する上で、非常に重要な要素です。
もしもFIT制度が終了し、売電単価が下がったり売電そのものが禁止になったりした場合は、太陽光発電システム単体の運用メリットが減ってしまうでしょう。
家庭用蓄電池を組み合わせれば、自家消費型太陽光発電システムに切り替えた際、日中に貯めた電気を夜間や雨の日に消費するなど節電メリットを活かせます。
もしこの記事をご覧になっている方で、太陽光発電を設置しているがFITが既に終了している、または間もなくFIT期間を終えられる方は損をする前に早めにお近くの販売店に相談しましょう。

卒FITついて詳しくはこちら
卒FITの対策ポイント!太陽光発電の設置時期で変わる?買取価格はどうなる?
住宅用太陽光発電に蓄電池を組み合わせるデメリット
続いては住宅用太陽光発電システムに、家庭用蓄電池を組み合わせることで発生するデメリットについてもご紹介します。
家庭用蓄電池特有のデメリットもいくつかあるので、導入前に把握した上で工夫・対策を立てておきましょう。
デメリット1.家庭用蓄電池の費用負担が比較的大きい
太陽光発電システムと組み合わせるタイプの家庭用蓄電池は、費用負担が比較的大きく手軽に導入することが難しいケースもあります。
実用化された当初の200万円以上と比較すれば、2019年現在は安くなっているといえるでしょう。それでも簡単に導入できる価格帯ではありません。
デメリット2.補助金制度は各自治体独自で受けられない地域もある
自治体によって補助金額や条件は異なるだけでなく、そもそも実施していないケースもあります。
デメリット3.設置スペースを確保しなければいけない
節電効果や災害時の非常用電源として本格的に使用する場合は、定置型蓄電池が必要です。
しかし、定置型蓄電池は住宅用のものでもエアコンの室外機2台分程度のサイズになりますので、設置スペースを確保しなければいけません。 自宅に一定のスペースが無い場合は、屋外タイプなど設置場所を確保できるタイプのものを選ぶ必要がありますが、海に近い塩害地域などでは屋外設置は難しくなります。
蓄電池はどんな場所にでも設置できる?向き不向きはある?
デメリット4.家庭用蓄電池の寿命は7年から15年程度と短い
家庭用蓄電池の寿命は、短いと7年、長くとも15年程度ですので交換サイクルが早いといえるでしょう。そして費用回収も考えると、費用対効果が厳しい可能性もあります。
家庭用蓄電池を導入する場合は、事前に費用回収のシミュレーションや対策、工夫の実施をおすすめします。
太陽光発電設置に関してはこちら
太陽光発電は設置した方が良い?つけないほうがいい?
太陽光発電システムにも組み合わせられる蓄電池とは
蓄電池は日常生活でも用いられていて、たとえばソーラー電卓や太陽光発電を用いたライトなど日用品に多数組み込まれています。
メリットとデメリットを理解したところで次は蓄電池の役割など、基本的な特徴や概要についておさらいしていきます。
蓄電池の役割は電気を貯める
蓄電池とは充電した上で、再利用可能な二次電池のことを指します。身近なところでは、スマートフォンなど向けの、充電式モバイルバッテリーです。
蓄電池の歴史は古く、1859年にフランスのガステン氏が鉛蓄電池と呼ばれるタイプの蓄電池を発明しました。その後、個人だけでなく企業も蓄電池の開発と改良を続け、1950年代には自動車用電池に用いられ始めます。
一般家庭に普及し始めたのは1970年代以降で、太陽光発電設備などに用いられるタイプは、当初工場など大規模な設備に使用する産業用蓄電池が主流でした。
その後も開発と改良を繰り返しながら家庭用蓄電池の実用化は1990年代に行われ、現在では多くの住宅用太陽光発電に組み込まれています。
このように太陽光発電との組み合わせは、最近実用化されたのが分かります。
蓄電池とは?どんな仕組みで電気を貯めることができる?
蓄電池にも寿命がある
蓄電池は何度も充放電を繰り返すことが可能です。しかし、半永久的に使用できる訳ではありません。
蓄電池は充放電を繰り返していくと、1回目の使用時と比較して蓄電容量が減少し、70%もしくは50%以下へと性能が低下します。
蓄電池の寿命を迎えた場合は、交換が必要です。しかし、蓄電池の寿命は使用回数や環境、メーカーや種類によって異なる点に注意しましょう。
蓄電池の寿命と容量の関係は?家庭用なら長寿命!
蓄電池の種類
蓄電池には種類があり、それぞれ仕組みや寿命などが異なります。また、太陽光発電に用いられている蓄電池は、リチウムイオン電池やハイブリッド型などが多いです。
太陽光発電システムに用いられる蓄電池には、鉛蓄電池やニッケル水素電池などを用いるケースはほとんどありません。
鉛蓄電池
鉛蓄電池は蓄電池の歴史の中でも最も古く、150年を超える年月を経て現在も使用されています。
現代では主に自動車用バッテリーやフォークリフト、産業用バッテリー(設備電源)など幅広い場面で使用される主力蓄電池の1つです。
主な特徴は他の蓄電池と比較して安価に購入できること、そして充放電の回数によって寿命が変化しない安定性などが挙げられます。
一般的な蓄電池は、充放電を繰り返すことで寿命に影響与えます。また、メモリー効果と呼ばれる、デメリットもありません。
(メモリー効果とは、蓄電容量が残っている状態で、充電を繰り返すことで電圧が下がり、通常よりも早く電池残量が無くなる現象です。)
ただし鉛蓄電池は、過放電によって劣化するため充電のタイミングには注意しましょう。
適切に使用すれば、17年程は充放電しながら活用できます。
リチウムイオン電池
リチウムイオン電池は、太陽光発電システムに設置されている蓄電池の主流です。正極側にリチウム含有金属酸化物・負極側に炭素材を使用し、電解液は有機電解液を使いますが、各素材はメーカーによって異なります。
充電サイクルもメーカーによって大きく異なり、4000回や10000回など幅広いのも特徴です。そして寿命については約10年から15年と、鉛蓄電池より少し短い傾向でしょう。
ただし、現在様々なメーカーが開発・改良を続けていて、太陽光発電システムに設置される蓄電池は今後更に性能が良く長寿命になることが期待されます。
ニッケル水素電池
ニッケル水素電池は、リチウムイオン電池の前身にあたる電池で、太陽光発電システムに使用される機会は少ない傾向です。ただ、現在でも鉄道やモノレールなど、大型設備の蓄電装置に組み込まれています。
太陽光発電システムに使用される機会が少ない理由の1つは、充電サイクルの少なさと短寿命という点です。
ニッケル水素電池の充電サイクルは約2000回と非常に少なく、5年程度で交換時期になってしまいます。リチウムイオン電池は10年以上使用し続けられるので、太陽光発電システムに組み込む必要性が無くなり、他の設備や乾電池などで使用されることとなりました。
利用メリットももちろんあり、安定して使用できる温度の幅が広く尚且つ充放電完了の時間が早いなど、まだまだ活用できる機会はあります。
NAS蓄電池
NAS電池とは、日本が開発した新しい蓄電池・システムです。開発元は日本ガイシと東京電力の共同開発で、世界で初めてメガワットクラスの蓄電容量を搭載しています。
正極側に硫黄、負極側にナトリウムを使用し、電解質にはβ‐アルミナと呼ばれる物質を使用した蓄電池です。
これまでメガワットクラスの蓄電池は存在せず、NAS電池の誕生によって蓄電池の用途が更に広がります。たとえば数10㎢に及ぶ極めて大規模な工場の非常用電源に使用したり、メガソーラーの蓄電装置に組み込んだりといったことも可能になります。
他にもメリットがあり、鉛蓄電池などと比較して約3分の1と小さなサイズで、寿命は約15年と長い点も注目です。
しかし硫黄などの危険物を使用していることや、温度を300度に維持しなければいけないなど取り扱いが難しく、危険性の高い仕様という点は今後の課題です。
全個体電池
全個体電池とは次世代型の蓄電池で、現在トヨタ自動車が開発中の新型電池です。2020年代前半に自動車へ組み込むことを目標としていて、より効率が良く安全性の高い蓄電池といった特徴を持ちます。
仕組みはリチウムイオン電池の応用といえ、電解液を固体にすることで電解液のデメリットである可燃性を抑えます。更に耐熱性に優れているため、熱に弱かったリチウムイオン電池の弱点を克服し、高速充電と冷却装置の省略化によって小型化。
ただし2019年時点では、自動車用バッテリーとしての用途を目的としているため、太陽光発電システムに設置するかは未定です。
各蓄電池のコストはこちら
【家庭用】蓄電池の価格・相場・設置費用の全てがわかる!
家庭用蓄電池の特徴
太陽光発電システムに設置されている蓄電池は、設備や様々な状況によって家庭用蓄電池と産業用蓄電池に使い分けられています。
そこで、ここでは前者の家庭用蓄電池の特徴についてご紹介していきます。住宅用太陽光発電システムを導入する方は、特に関係しているので事前に把握しておきましょう。
一般住宅に使用する二次電池
家庭用蓄電池とは、住宅用太陽光発電システムもしくは一般住宅に使用する二次電池(充放電可能な電池)のことです。
蓄電容量はメーカーによって変わりますが、1kWhや15kWhといった容量で販売されています。
また、元々住宅太陽光発電システムに蓄電システムは、組み込まれていませんでした。更に導入初期の段階では蓄電効率も良いとはいえない状況でしたが、現在では非常用電源として、電子レンジやIHクッキングヒーターにも使用できる蓄電容量があります。
家庭用蓄電池は一般的な蓄電池とは異なる
太陽光発電向けの家庭用蓄電池は、様々なメーカーが開発・販売をしていますが、どれも蓄電装置として各種機器と接続された状態です。
つまり自動車用バッテリーなどのように、蓄電池単体で販売されているのではなく、制御システムや太陽光発電システムとの連携に関する機器も含まれています。
そのため家庭用蓄電池を購入する場合は、購入後に設置工事が必要です。有資格者および専門技術を持った業者が、住宅の配電盤や太陽光発電システムと家庭用蓄電池ユニットを接続します。
(定置型蓄電池の場合。次の項目で詳しく解説)
定置型蓄電池と移動式蓄電池に分けられる
家庭用蓄電池ならではの特徴が、2種類の仕様に分かれていることです。
1つは定置型蓄電池と呼ばれるタイプ。こちらは、1度設置したら固定状態のまま使用する据え置き型の家庭用蓄電池で、住宅用太陽光発電システムに設置する場合はこちらが一般的です。
また、一定の設置スペースが必要ですので、事前に業者へ住宅の間取りを確認してもらった上で、慎重に設置場所を決めます。更に蓄電容量も7kWhなど比較的大きく、設置工事が必要です。
一方移動式蓄電池は、持ち運び・移動可能な小型家庭用蓄電池ユニット全般を指します。2011年の東日本大震災以降、防災意識が高まったこともあり、通販やホームセンターなどでポータブル蓄電ユニットをよく見かけるのではないでしょうか。
設置スペースに困らず工事不要、更に小型ユニットで低価格なのが魅力です。しかし、小型ということはそれだけ蓄電容量に制限があり、大型電気機器の非常用電源や夜間の消費電力をカバーできないのが一般的です。
家庭用蓄電池の価格は数10万円から100万円単位まで
家庭用蓄電池の価格は、定置型蓄電池と移動式蓄電池で異なります。
まず定置型蓄電池の場合ですが、以下のように本体だけでなく設置工事に関する費用も掛かります。
- ユニット本体の費用
- 設置工事の費用
- 電気系統の施工費用
家庭用蓄電池ユニットが販売され始めた段階では、総額200万円を超えるのが一般的な相場でした。しかし、普及が進んだこともあり、現在では総額100万円を下回る価格でも購入・設置できます。
また、メーカーごとに80万円~160万円と幅広い価格帯のため、比較検討するのがおすすめです。
移動式蓄電池の費用
移動式蓄電池の場合は、大掛かりな施工作業はありませんので設置費用等は掛かりません。
そのため本体購入費用のみで考えます。
移動式蓄電池の費用は、蓄電容量とメーカーによって異なりますが数万円~10万円台が一般的です。
補助金が各自治体で実施されている
家庭用蓄電池ユニットの導入を行うことで、各自治体では独自に補助金制度を受けることができます。
自治体によって家庭用蓄電池に関する、補助金制度の条件や金額が異なるため事前に該当する自治体の制度を確認しましょう。
自治体によっては、2018年度で補助金制度自体を終了している地域もあります。
エコ発蓄電池では一括見積りのご依頼でも補助金を利用してお得に蓄電池を設置することが出来ます。気になった方は以下のフォームから簡単60秒で最大5社から無料見積もりが可能です。

補助金について詳しくはこちら
2022年度の家庭用蓄電池の補助金の申請条件や補助金額を徹底解説!2023年度の最新情報も!
家庭用蓄電池の選び方と注意点
これから家庭用蓄電池を選ぶ方に向けて、選び方のポイントと注意点についてまとめました。
また、国内メーカーの蓄電池をいくつかご紹介しますので、参考にしてみてください。
連携方式を事前に確認する
家庭用蓄電池ユニットには、2種類の方式があるので事前に確認しておきましょう。
2種類の方式を以下にご紹介します。
- 太陽光発電と連携するタイプ
- 太陽光発電と連携しないタイプ(スタンドアローン)
1つ目は住宅用太陽光発電システムと家庭用蓄電池を連携し発電した電気も蓄電できます。一方2つ目のスタンドアローンタイプは住宅用太陽光発電システムと連携せず、電力会社から買電した電気を蓄電する機能のみを実装しているのが特徴です。
太陽光発電と組み合わせることを考えるのであれば、前者の太陽光発電システムと連携した家庭用蓄電池ユニットを選びましょう。
蓄電容量を決めた上で選ぶ
蓄電池を選ぶ時は、必要な蓄電容量をあらかじめ決めておくのも大切です。
蓄電容量はメーカーや商品ごとに異なり、大型ユニットの場合は10kWh台の家庭用蓄電池もありますし、移動式蓄電池は1kWhと非常に小さい容量という違いがあります。
また、蓄電容量が10kWhと表記されていても、放電深度と電力変換効率を掛けた数値が、実際の使用できる電気ですので気を付けましょう。
(放電深度とは蓄電量に対する放電量のことで、電力変換効率は太陽光発電で発電した直流電気を交流電気に切り替えた際の効率。)
例
- 蓄電容量10kWh
- 放電深度70%
- 電力変換効率90%
- 蓄電池から実際に使用できる電気は約6.3kWh(10×0.7×0.9)
ポイントは住宅用太陽光発電システムの出力量と変換効率を確認することと、蓄電池でどの程度蓄電したいか決めることです。
また、それぞれサイクル寿命が異なるので、使用頻度も計算した上で選ぶことをおすすめします。サイクル寿命とは、充電を行うたびに蓄電容量が少しずつ減少する劣化現象で、各蓄電池によって異なるのが特徴です。
国内メーカーの家庭用蓄電池ユニット
参考例として、以下に主な家庭用蓄電池ユニットと蓄電容量をご紹介します。
- パナソニック:LJPB21・蓄電容量5.6kWh
- 京セラ: EGS-LM1201・蓄電容量12kWh
- 東芝: ENG-B7430A4-Nシリーズ・蓄電容量7.4kWh
- シャープ: JH-WB1503・蓄電容量9.6kWh
- NEC: ESS-003007C0・蓄電容量7.8kWh
(一例:各メーカー他にも多数の蓄電池を販売しています。)
特定負荷型と全負荷型の違いを理解しておく
非常用電源として蓄電池を使用することを重要視している場合は、特定負荷型と全負荷型を理解した上で選びましょう。
特定負荷型とは、あらかじめ指定した電気機器の回路と家庭用蓄電池を連携する方式です。たとえば停電が発生した際、連携した電気機器のみに電力供給できるのが特徴。
対して全負荷型は、住宅内の全ての電気機器回路と家庭用蓄電池を連携する方式で、停電時が発生した際にどの電気機器も使用可能です。
基本的に家庭用蓄電池の多くは特定負荷型ですが、非常時に全ての電気機器へ電力供給したいと考えている方は、全負荷型の蓄電池ユニットを探しましょう。
たとえばネクストエナジー・アンド・リソース株式会社のNX3098シリーズは、全負荷型でAIによる蓄電・電量使用頻度を学習する機能もあります。
蓄電池を後付けする場合は保証切れに注意
既に何年も前から住宅用太陽光発電システムを設置しているご家庭の中には、これから家庭用蓄電池を設置する予定もあるのではないでしょうか。
後付け自体は、業者が設置工事しくれるので問題ありませんが、保証体制でややこしい状況になるかもしれません。
たとえば太陽光発電システムのメーカーと異なる蓄電池を設置した場合は、それぞれの保証期間に違いが出ます。そのため、先に太陽光発電システムの保証切れを起こす、可能性があるでしょう。
最近では同一メーカーの蓄電池を設置すれば、保証延長や連携などを行ってくれるケースもあるので、アフターフォローも考慮しながら蓄電池を選ぶのが大切です。
太陽光発電に産業用蓄電池を組み合わせるメリット
続いては太陽光発電システムに、産業用蓄電池を組み合わせるメリットをご紹介していきます。
家庭用蓄電池に近いメリットから、産業用蓄電池独自のメリットもあるので産業用太陽光発電システムの導入を検討している個人や法人は、特に確認してみてください。
企業や工場の非常用電源として活用できる
産業用蓄電池は蓄電容量が大容量ですので、オフィスビルや工場など大規模施設の非常用電源として活用できます。
特に安全上生産ラインを急に止められない工場やIT企業、医療設備などは産業用蓄電池が必要でしょう。また、産業用蓄電池はBCP対策(有事の際でも事業を継続するための対策)としても、必要な施策の1つです。
蓄電容量が多いため施設状況によっては電力の自給自足可能
産業用蓄電池に分類されるタイプは、どれも蓄電容量が多いのが強みです。そのため、設備状況によっては、太陽光発電システムと組み合わせると電力の自給自足も実現できます。
更に電力の自給自足ができるほどの太陽光発電・蓄電設備があれば、大規模災害時の避難拠点として運用することも可能です。
今後は、地域の避難拠点として工場など大規模施設が、活用されることも期待できます。
家庭用と同じくピークカットによる節電効果
産業用蓄電池と太陽光発電システムを組み合わせるメリットの1つが、ピークカットによる節電効果です。
家庭用蓄電池を利用した場合と同じメリットで、1日の内に最も消費電力の多い時間帯に蓄電池を活用し、電気料金を抑えられることができます。また、このような節電方法をピークカットと呼びます。
HEMSなどスマートシティ構築に重要な要素
近年では自治体などが、スマートシティの構築を計画・実施しています。そしてスマートシティには、HEMSやBEMS、FEMSといったシステムを活用しているのですが、産業用蓄電池を組み合わせた太陽光発電システムも必要です。
なぜならHEMSなどのシステムは、電気使用量を可視化した上で自動制御や太陽光発電、そして蓄電も活用して省エネを目指すからです。
ちなみにHEMSやBEMS、FEMSとは、それぞれ以下のような意味です。
- HEMS:住宅で使用するエネルギーを管理・可視化するシステム
- BEMS:ビルで使用するエネルギーを管理・可視化するシステム
- FEMS:工場で使用するエネルギーを管理・可視化するシステム
産業用太陽光発電に蓄電池を組み合わせるデメリット
続いては産業用太陽光発電システムに、産業用蓄電池を組み合わせるデメリットをご紹介します。
費用負担が大きい
産業用蓄電池は家庭用蓄電池とは金額が大きく異なり、1000万円台以上の費用負担が必要になります。
個人よりも予算の確保が可能な企業であっても、簡単に導入を決められる価格帯ではありません。また、産業用蓄電池も本体だけでなく、排熱設備や太陽光発電システムとの連携工事など、様々な費用が掛かります。
補助金制度は十分とはいえない内容
産業蓄電池に対する補助金制度は、2019年時点で用意されていません。そのため、導入時には費用負担を抑える方法が無く、費用面でデメリットやリスクのある状態といえるでしょう。
ただしZEBと呼ばれる、ビルの年間消費エネルギー0を目指すための事業や対策に設けられた、補助金制度を活用する方法もあります。ZEB関連の補助金制度は複数あり、産業用蓄電池もZEB対策として認められれば補助金を受けられるでしょう。
更に詳しく産業用蓄電池について
産業用蓄電池とは?導入に当たってのメリット・デメリットは?
産業用蓄電池の特徴
太陽光発電システムには、住宅用太陽光発電システムと産業太陽光発電システムの2種類があります。
ここでは10kw以上の出力を持つ産業用太陽光発電システムに導入する、産業用蓄電池について特徴についてご紹介していきます。
蓄電容量が多く大規模な施設に用いられる
産業用蓄電池は家庭用蓄電池よりも容量が多いので、工場やオフィスなど電力使用量の多い施設に活用されるのが基本です。また、産業用蓄電池の蓄電容量の少ない商品でも、10kWhですし大規模なユニットになると100・500kWhなどのタイプも存在します。
産業用蓄電池の場合は、非常時に長期間設備を動かさなければいけない設備事情に対応するため、蓄電池同士を接続して容量を大きくする仕組みもあります。
更にBCP計画(有事に事業を継続・被害を最小限に食い止めるための準備や計画を定めたもの)の一環として、産業用蓄電池の導入は企業にとって重要なポイントです。
BCP(事業継続計画)とは?その対策と蓄電池
積水ハウス東北工場の蓄電池使用事例
電気をより多く使用する業種といえば、製造業および工場です。
そこで大手住宅メーカーの積水ハウス東北工場(宮城県色麻町)では、省エネへの取り組みを進めるために産業用蓄電池と太陽光発電システムを導入しました。
蓄電容量は非常に大きな2MWhの産業用蓄電ユニットと、720kwの太陽光発電システムを導入し、非常時に1週間電力供給を可能にしています。
産業設備にはNAS電池が活用されるケースもある
NAS電池はメガワットクラスの蓄電容量にも対応していて、尚且つ工場など大規模施設に向けた使用を想定しています。
そのため企業が産業用蓄電池を選ぶ際に、NAS電池を導入しているケースもあり家庭用蓄電池とは種類が異なるのも特徴です。
たとえば千葉県柏市が実施しているスマートシティ「柏の葉スマートシティ」では、1万2960kWhもの蓄電容量のあるNAS電池を組み合わせました。住宅に換算すると、約1300世帯分の電力を確保できる蓄電容量です。
蓄電池の選び方【価格?容量?メーカー?】
自家消費型太陽光発電には蓄電池が必要
2022年現在でも、余剰分であれば太陽光発電で発電した電気を売電できます。しかし、今後太陽光発電システムが更に普及すれば、売電に関する制度そのものが大きく変わる可能性もあります。
近年注目されている、新たな運用方法が自家消費型太陽光発電です。そこで自家消費型太陽光発電と蓄電池の必要性について解説します。
自家消費型太陽光発電とは
自家消費型太陽光発電とは、太陽光発電で発電した電気を売電せず自宅の電化製品などに電力供給するシステムのことです。
FIT制度が成立した2009年頃からしばらくは、太陽光発電の売電単価が高いこともあり収益性を見込める売電をメインとした運用が基本でした。
しかし、FIT制度の適用期間は導入から10年間(住宅用太陽光発電システム)、もしくは20年間(産業用太陽光発電システム)と定められているため、2019年以降から徐々に固定単価で売電できないケースが増えます。更に電力会社が買電してくれるかどうかについて、明確なルールも無いため今後長期的に太陽光発電の電気を売電できない可能性もあるのです。
そこで売電に頼らず太陽光発電システムを運用するために、自家消費型太陽光発電システムに切り替えるケースが出ています。
自家消費型太陽光発電には蓄電池の導入が大切
自家消費型太陽光発電システムを効率よく運用するためには、蓄電池との組み合わせが重要です。
自家消費型太陽光発電システムの基本は、売電による収益を無くす代わりに電力会社からの買電量を抑えて、自給自足に近い状態を目指します。しかし、太陽光発電だけでは、電気を貯めることができないため、夜間や雨の日の運用に課題が残ります。
太陽光発電と蓄電池を組み合わせた場合は、晴れた日の日中に蓄電池で電気を貯め、夜間や雨の日などに買電量をなるべく抑えながら蓄電池で補うことが可能です。
ですので今後自家消費型太陽光発電システムの切り替えも視野に入れている方は、蓄電池との連携も検討してみてください。
蓄電池の今後はどうなるのか
太陽光発電の普及が進む2021年現在ですが、補助装置としても役立つ蓄電池は今後どうなるか、2つの視点から方向性を考察します。
太陽光発電の普及が進んでいるので需要は高まる
太陽光発電に蓄電池を組み合わせることは、売電収入だけでなく節電効果も期待できます。そして住宅用太陽光発電システムの普及は年々進んでいる傾向ですので、蓄電池も今後需要が高まり家庭でも設置が進むのではないでしょうか。
また、蓄電池の価格は80万円から100万円台と比較的高価ですが、各社小型化や量産などから徐々に価格が抑えられつつあります。
災害の多い日本において蓄電池による電力供給は重要
日本は地震や火山の多い国は誰もが知るところですが、気候変動などから台風やゲリラ豪雨など、これまでには考えにくい状況での大きな被害も発生しています。
こうした災害への対策は自治体や政府も行っていますが、個人でできるところは各対策を施さなくてはいけません。
そこで太陽光発電システムと蓄電池の組み合わせも災害対策に繋がります。1週間以上の停電が発生した場合でも、蓄電池に貯めた電気や太陽光発電でIHクッキングヒーターやモバイル機器の電力供給に活用でき、情報収集や調理などが可能です。
節電だけでなく災害対策の1つとして、蓄電池の需要は今後も高まることが予想されます。
太陽光発電と蓄電池を組み合わせるためのコストは大きいがメリットも多い
いかがでしたでしょうか?
太陽光発電と蓄電池を組み合わせるメリットは
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太陽光発電と蓄電池を組み合わせるデメリットは
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長い説明となりましたが、太陽光発電と蓄電池の組み合わせについては上記を押さえておけば問題ありません。
太陽光発電システムは、FIT制度や災害対策意識の向上などから普及が進んでいます。
しかし、一方でFIT制度の終了後の運用や売電に関する取り決めなど、太陽光発電単体の運用が難しい状況も考えられます。ですので、これからの太陽光発電は蓄電池との組み合わせによる自家消費が主流になってきます。
家庭用蓄電池は80万円から100万円台、産業用蓄電池は1000万円台、そして補助金制度も少ないデメリットもありますが、ZEHやスマートシティ・災害対策を考えると必要な装置です。
太陽光発電の導入や今後の運用に悩んでいる方は、この機会に蓄電池の設置も考えてみてはいかがでしょうか。
エコ発蓄電池では蓄電池だけでなく、太陽光発電もあわせての一括見積りが可能です!お近くの優良店をご紹介可能ですので是非このご機会に活用ください。
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