災害時の蓄電池のメリットや活用事例【停電中も電気が使える!】
公開日:2019/08/19 | 最終更新日:2022/05/29 | カテゴリ:蓄電池と災害・停電・BCP対策について

災害時の停電リスクへの対策として、今注目されている「家庭用蓄電池」を設置することでどんなメリットがあるのか、またその活用方法について詳しくみていきましょう。
この記事でわかること!
- 災害時による停電時には4つの使える自家発電システムがある。(蓄電池含む)
- 4kWh以上の蓄電池があれば、停電しても24時間はしのげる
- 太陽光発電と蓄電池の併用なら停電が数日続いても安心!
目次
災害時に備えて蓄電池を導入する家庭が増えている?
家庭用蓄電池が注目を浴びたきっかけは、2011年に発生した東日本大震災でした。
2012年から蓄電池の導入に関して補助金が交付されるようになり、災害への不安も相まって、災害時の非常用電源として導入する家庭が増加しました。
費ガリ日本大震災以降も、大きな地震がたびたび発生し、もはや日本中どこにいても地震が起きてもおかしくない状態になっています。
地震大国である日本において、地震などの災害時への備えとして、家庭用蓄電池を導入する家庭が増えるのは不思議なことではありません。
2024年における蓄電池の市場規模
2017年に市場調査会社シード・プランニングが発表した調査結果(住宅用、業務用、公共産業用蓄電システムの市場規模予測)によると、2024年の蓄電池の市場規模は3,684億円で、2016年の実に5倍以上になると報告されています。
更に、そのうちの約7割を住宅用・業務用の蓄電池需要が占め、特に戸建ての家庭用蓄電池の需要が伸びると予想されているのです。
戸建てにおける蓄電池の需要増は国が普及を進めている、創るエネルギーと使うエネルギーの合計を0に近づける「ZHE(ゼロ・エネルギー・ハウス)」住宅、通称ゼッチ住宅において、ZEH対象機器として蓄電池の補助金が交付されていることも関係していると考えられるでしょう。
また、それだけはなく、将来的には蓄電池の価格低下とともに、多発する災害への備えとして導入する家庭が増えるのも、需要が増える要因ではないかと考えられます。

2020年に発生した台風10号による大規模停電
台風10号は、2020年9月1日午後9時に小笠原近海で発生し、6日から7日にかけて、沖縄県の大東島地方から奄美地方を進み、九州地方に接近しました。
台風10号は、特別警報級の勢力で接近・上陸の恐れといわれましたが、そこまで発達しませんでした。結果的には大型台風程度の勢力に落ち着きましたが、それでも九州で大規模な停電が発生するなど、被害が出る結果となりました。
台風が通過した7日以降の停電の状況では、翌日8日になっても九州地方全域で約8万戸の世帯で大規模停電が起きており、台風の影響を受けやすい九州地方のおいて、防風対策が万全な状況の中でも、近年の中では大きく被害が出た災害となりました。
当時の停電状況やSNS上の蓄電池を導入した方の声
【九州電力】台風10号影響、九州5県で停電続くhttps://t.co/vzINwYwsew
— ライブドアニュース (@livedoornews) September 8, 2020
九州電力によると、8日午前11時現在、佐賀、長崎、熊本、宮崎、鹿児島で約7万3840戸が停電。9日の停電復旧に向けて取り組んでおり、可能な限り早期の復旧を目指すという。 pic.twitter.com/dYdDSWyQTI
台風10号 停電でニワトリ約3万羽と豚100頭余死ぬ 鹿児島 #nhk_news https://t.co/eZQoihGLyX
— NHKニュース (@nhk_news) September 8, 2020
うわー、停電した!でもうちは蓄電池がある!#台風10号
— kaxasan-0357 (@MuKatsu25) September 6, 2020
今回の台風10号で停電したけれど蓄電池をつけていたので冷蔵庫は無事
— 齊藤浩文 (@hirosaitoh) September 9, 2020
風呂もトイレも使えて一部の電燈も使えたけど
まぁ褒められる事なんかはなく子供たちはWiFiが使えないとババ怒りとか
世の中のお父さんのお気持ち察しますよ
ガンバロウお父ちゃん
日本に住んでいる限り災害は「他人事」ではない!
大きな災害により停電が発生してしまった場合、その停電の復旧までに1週間以上を要することも多いです。
そして停電が発生する地域も全国に及んでおり、もはや日本に住んでいる限りはどこにいても停電を引き起こす災害が発生してもおかしくないと言えるでしょう。
2022年の当初では、電力不足による計画停電の実施の件で不安に思った方はたくさんいらっしゃるのではないでしょうか?自然災害ではなく”人災”によっても停電する可能性があるのです。
停電時に使える4つの自家発電システム
上記では災害時に起こった停電リスクについてお話しました。この項目では、停電時に使える自家発電システムについて簡単に紹介していきたいと思います。
太陽光発電システム
建物の屋根や広い土地にパネルが置かれているのを見たことがあるという人は多いと思います。このパネルに太陽光を集めて電気を作るというシステムです。
既に太陽光発電を設置しているという方も多いと思いますが、現在は太陽光発電で発電し、自宅で使い、余った電力を売電していたという人は多いでしょう。
太陽光発電が稼働できるのは太陽が出ているときのみとなっており、雨が降っていたり曇っていた場合は発電できないことはありませんが、発電量は少ないですし、夜間は発電できないのがデメリットです。
現在では太陽光発電で発電した電気を「蓄電池」に貯めていざという時に使うという方法もあり、現在は太陽光発電を設置している方から注目を集めています。
燃料電池(エコキュート)
「エネファーム」と聞けばピンと来る方もいるかも知れませんね。
ガスが使用できるという条件はありますが、都市ガスやLPガスから取り出した水素と空気中の酸素を化学反応させて電気を作り出します。
更に、発電の際に発生した熱を活用してお湯を沸かして給湯に利用することが可能です。
エンジン式発電機
名前の通り、ガソリンなどを燃料としてエンジンを回して発電する機器のことで、発電量が1000VA(ボルトアンペア)を超えるものもありますので、テレビや冷蔵庫などの家電も稼働させることもできます。
しかし、燃料がなくなれば使用できなくなり、環境問題や騒音も出るので近所迷惑になる可能性もあるので、注意が必要です。
手動式発電機
小型の懐中電灯などに取り入れられているもので、手や足でハンドルやペダルを回して発電することができます。
人力で稼働するので燃料がいらないという利点はありますが、停電時の電力を賄うには発電量が少ないので注意が必要です。
手動式発電機は懐中電灯の他に、携帯電話の充電やラジオなどの小型電気製品の充電用といったものが中心になります。
災害時に蓄電池が活躍した事例
上記では2018年に発生した災害と停電被害を振り返ったところで、ここからはそういった災害に対して蓄電池がどのような役割を果たしたかについて、SNSへの投稿からご紹介していきます。
積水化学、太陽光・蓄電住宅が災害時の大規模停電中も日常電力を供給https://t.co/HDzXUwDMTj
— 産経ニュース (@Sankei_news) February 25, 2019
→北海道地震で停電したある住宅では、蓄電容量が5キロワット時の小型タイプだったが、日中は太陽光で電気がまかなえ、夜間も蓄電池の電力で対応し、約2日間の停電を乗り切ったという
まわりは、ウチ以外全て停電…
— tatsuya.k28 (@K28Tatsuya) September 4, 2018
電気ついてる理由は家に太陽光と合わせた蓄電池がついてるから。
こういう時非常に助かる!#関市#電線切れ#台風21号#停電#蓄電池#地区で唯一電気ついてます#蓄電池ありがとう https://t.co/5vC57aoBfA
我が家が停電に強い今更知った…
— 那月 (@___natsuki79) September 5, 2018
蓄電池と太陽光パネルあるし、一部のコンセントは蓄電池から引っ張ってるから冷蔵庫とかも生きてるし、携帯充電できるし、お父さんの車もガソリンある限りは電気使えるしわや
こんな台風のときだから思うのだけど、ソーラーパネルと蓄電池つけてて良かった!
— おおもと@レビュー記事書きます! (@so88qa) September 30, 2018
日中、前日で蓄電池に充電した電力である程度は電気を使える(停電したら)
今年から安くなるはずだから、ローンを組んで買うべし
一方で『蓄電池は高いし必要ない』などと思われている方も大勢いらっしゃいます。ですが、SNSのコメントにあるように、自身が災害に遭遇して、そこで初めて蓄電池の有難みを感じる方がいらっしゃるのも事実です。命を守るために早め早めの対策を打っておきたいですね。
災害時(停電時)に蓄電池でカバーできる家電は?
上記でご紹介したSNSの投稿から、災害時に蓄電池が活躍できることが分かったと思います。
とはいえ、どの家電でも使えるかどうか気になると言う方も多いでしょう。どの家電でも使えるかどうかと言われれば使えるというのが答えです。
とは言え、家庭の全ての家電が使えるわけではありません。ここからは災害時(停電時)に蓄電池が動かせる家電の数や稼働時間について、詳しくご紹介していきます。
蓄電池で重要な「容量」と「出力」
はじめに、蓄電池にとって重要な要素となる「容量」と「出力」について見ていきましょう。
家電を動かせる時間を決める「容量」
家電を動かせる時間を決めているのが、蓄電池の「容量」です。蓄電池はそれぞれ「容量」が決まっており、「kWh」という単位で表されます。
例えば4kWh(4000Wh)の蓄電池であれば、消費電力40WのLED電球なら100時間、消費電力400Wの4Kテレビなら10時間動かせることになります。
同時に家電を動かせる数を決める「出力」
蓄電池に接続して動かすことができる家電の数を決めているのが、「出力」です。出力も蓄電池によって様々。
容量4kWh程度の蓄電池なら1.5kW(1500W)、容量が大きい12kWhの蓄電池なら5.9kW(5900W)という具合に、容量によって分かれています。
仮に1.5kW(1500W)の蓄電池を導入した場合、出力750Wのエアコンと、出力100Wの照明やパソコン、出力200Wの冷蔵庫など、1500Wの範囲内で家電を接続することができます。
停電時に1日で消費する電力はおよそ「4kWh」前後
災害などで停電が発生した場合、停電時に1日で消費する電力はおよそ4kWh前後になるでしょう。
使用すると仮定した家電には冷蔵庫など24時間使用しているものも含まれており、情報収集用にパソコンやテレビも含んでいます。
以下、停電中に使用すると仮定した家電の内訳です。
- 冷蔵庫(年間292kWh):800W(24時間使用)
- 携帯充電器(15W):60W(4時間使用)
- テレビ(150W):450W(3時間使用)
- パソコン(100W):500W(5時間使用)
- LED電球照明(40W×2部屋分):400W(5時間使用)
- 炊飯器(150Wh)150Wh(1回あたり)
- エアコン(500W):1500W(3時間使用)
- 合計:3860W(3.86kW)
※エアコンの消費電力は実際は一定ではなく、稼働直後など条件で変動します。
※家電ごとの消費電力は目安です。機種や使用条件などに寄って異なります。
もちろん、工夫次第で消費電力はもと抑えることができると思いますので、上記の消費電力量はあくまでも目安としてお考えください。
使用に耐えうる蓄電池は容量4kWh以上
上記のシミュレーションから、実際の災害による停電時に蓄電池で家電を動かそうと思った場合、最低でも「4kWh」以上の蓄電池があれば、少なくとも24時間はしのげるということが分かりました。
ということは、8kWhの蓄電池なら2日、12kWhの蓄電池なら3日、停電時でも電力供給無しでしのげるということになります。
なお、実際に蓄電池を購入する際には、同時に動かせる数を決める「出力」も気にしながら選ぶようにしましょう。
エアコンやIHを利用する場合は電圧も確認しておく
蓄電池は基本的にどの家電でも使えるようにはなっていますが、エアコンやIHを使うときは気をつけなければなりません。
なぜならこれらは電圧が200Vあるためです。他の家電は100Vであることがほとんどですので、蓄電池も100Vにしか対応していないという場合もあります。
蓄電池が200Vに対応していないという場合はその家電が使えない可能性もあるので、確認するようご注意ください。
停電時に蓄電池で家電を使用する手順
ここでは災害などによる停電時に、実際にどうやって蓄電池を使用して家電を動かすのかをご説明しましょう。
蓄電池には「全負荷型」と「特定負荷型」の2種類があり、それぞれ家電を動かす手順が異なります。
家全体の電気をバックアップしてくれる「全負荷型」蓄電池
「全負荷型」の蓄電池の場合、停電が発生すると瞬時に蓄電池からの電力供給に切り替わるため、普段とほとんど変わらずにそのまま家電を使用し続けることが可能です。
災害に備えるために蓄電池を導入するのであれば、この「全負荷型」がおすすめとなっています。
電力を供給するエリアをあらかじめ選んでおく「特定負荷型」蓄電池
「特定負荷型」の蓄電池は、停電が発生するとあらかじめ選んでおいたエリア(部屋)は引き続き家電が使えますが、それ以外の部屋では電気が使用できなくなります。
例えば、一階のリビングのみ電気が供給されるように設定してある場合、一階のリビング以外の部屋の家電は使用することができません。
あまり容量が大きくない蓄電池はこの「特定負荷型」の場合が多いので、購入予算などと相談しながらどちらの蓄電池にするか選ぶのが良いと思います。
自立運転が自動切り替えになっているか確認しておこう
いざ蓄電池を購入して、設置したけどいざという時に操作方法が分からずに結局役に立たなかったということになる可能性もあるので注意が必要です。
蓄電池は出荷時には自立運転が手動になっているため、施工業者が自動切り替えにしていなかった場合、自分で設定しなければなりません。
ほとんどの施工業者が自立運転を自動で切り替えしているでしょうから、特に問題はないと思います。
既に設置しているという方は取扱説明書などを確認して、自立運転が自動切り替えになっているかどうかを確認しておくか、施工業者に確認を取ってみると良いでしょう。
災害時は太陽光発電と蓄電池の併用がベスト

上記で、停電時に1日(24時間)で消費する電力はおよそ4kWh(4000Wh)であることをご紹介しました。
8kWhや12kWhなど容量が大きな蓄電池であれば、2~3日程度しのぐことはできますが、やはり限界はあります。
最初にご紹介した通り、災害によっては1~2週間も停電が続くときがありますので、蓄電池の電力残量が切れたら電気が使用できない状態になってしまうのです。
そんなときに太陽光発電が設置されていれば、1~2週間でも電気を使い続けることができます。
太陽戸発電は太陽光から電気を創り出しますので、晴れている日の昼間の電気は、太陽光発電で賄うことが可能です。
そして、使用しきれなかった電気は蓄電池に貯めておくことで、夜間の間は蓄電池の電気を使用することができます。
これによって、蓄電池が故障したり天候が悪化しない限りは、停電時でも長期間に渡って電力を使用し続けることが可能です。
本当に災害時に備えようと思っている方は、経済的なメリットも期待できる太陽光発電も同時に設置することをおすすめします。
太陽光発電と併用する際の蓄電池の選び方
太陽光発電と併用して蓄電池を選ぶという際に気をつけなければならないことがあります。
それが、太陽光発電と蓄電池のメーカーは揃えると良いということ。もちろん、必ずしもそうしなければならないというわけではありません。
蓄電池が設置済みの太陽光発電メーカーに対応していれば問題ありませんし、蓄電池の専門メーカーもあるので施工業者と相談しながら決めましょう。
とは言え、太陽光発電と蓄電池のメーカーが異なる場合には「メーカー保証」と「動作の最適性」と「アフターサービス」に注意してください。
メーカーによっては、自社製品との組み合わせでないと保証がつかないという可能性もあり、故障した場合に修理費などを自費で負担しなければならないことも考えておきましょう。
また太陽光発電と蓄電池のメーカーが異なる場合は正常に動作しない可能性もあり、蓄電池の劣化が普段より早く進んでしまう可能性もあるので、注意が必要です。
アフターサービスはその名の通りで、太陽光発電と蓄電池を設置した場合に双方のメーカーで情報連携をしながらアフターケアをしてくれるかどうかまで確認してみてください。
V2Hを利用するのもおすすめ

またV2Hと併用するのもおすすめです。V2Hとは電気自動車に搭載されている蓄電池の電力を、家庭内でも利用できるようにするシステムのことを指します。
電気自動車に搭載されている蓄電池の容量は一般的な家庭用蓄電池よりも大きくなっているので、より長い時間家庭の電力を賄うことが可能です。
また電気自動車は災害時でも、停電していない地域に行って、充電することもできるので、電気自動車の電気がなくなりそうになっても問題ありません。
もちろん、電気自動車を利用するにもメリットとデメリットがあるので、しっかりと理解して使うようにしましょう。
電気自動車について
エネルギーの自給自足をするなら蓄電池と電気自動車どっち?連携するのもあり!
V2Hとして連携させれば災害対策として文句なしの電気自動車も
EVは遂にここまで進化した!水上走行可能なFOMMONEとは?
蓄電池があれば災害時にも安心
日本ではここ数年、異常気象や地震の多発により災害の危機がこれまで以上に高まっており、こうした中で、災害による停電が発生しても電気を使うことができる家庭用蓄電池が注目され、その需要を伸ばしています。
実際に蓄電池を導入された方々の中にも、「災害に見舞われて停電した際に助かった」と言った声が多く見られます。
これからも家族で安心して生活していくために、蓄電池は21世紀の必須アイテムとなる日も近いのかもしれません。
監修

エコ発事務局 太陽光アドバイザー
曽山
『誠実、スピーディーな応対』をモットーに日々エコ発を運営しています。 お客様への応対だけでなく全国に数百ある提携業者様とのやり取りをはじめ、購入者様へのキャンペーン企画やウェブサイトの改善など、皆様のお役に立てるよう日々業務に取り組んでいます。 卒FIT後の太陽光発電の活用方法など、お困りごとがございましたら、お問い合わせにてお気軽にご相談下さい。
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