【宮城県・南三陸町】森・里・海の恵みがめぐる、エコな暮らしへ。自然エネルギーを活用した脱炭素まちづくり － 家庭用蓄電池の一括見積もり・価格比較サービス【エコ発蓄電池】

1. 南三陸町におけるゼロカーボンシティ宣言

南三陸町では、持続可能な地域社会の実現に向け、環境負荷の低減と地域資源の循環を重視したまちづくりを推進しています。

現時点ではゼロカーボンシティ宣言は実施しておりませんが、将来的な目標達成に向けた着実な歩みを進めています。

町は、2018年度を基準年度とし、2030年度までに温室効果ガス排出量を30%削減するという具体的な目標を掲げた「南三陸町地球温暖化対策実行計画」を策定しました。この計画は、町の環境基本計画とも連動し、環境教育と再生可能エネルギーの利用拡大を重点的な取り組みとして位置づけています。

2. 地域経済活性化と地方創生を両立する脱炭素戦略

画像提供：南三陸町

南三陸町では、脱炭素への取り組みを単なる環境対策にとどめず、地域経済の活性化や人口減少対策、さらには移住促進といった地方創生の推進と結びつけることを重要なビジョンとして掲げています。こうした戦略は、町の持続的な発展を目指す上で不可欠な要素です。

3. 南三陸町の具体的な脱炭素への取り組み

南三陸町では、地域の実情に合わせた多様なアプローチで脱炭素社会の実現を目指しています。その取り組みは、多岐にわたる分野で展開されています。

3-1 公共施設・公用車両の省エネルギー化と再生可能エネルギー導入の推進

生涯学習センターの外観　画像提供：南三陸町

みやぎ環境交付金を活用し、町内の公共施設における省エネルギー化や、公用車両への再生可能エネルギー導入を積極的に進めています。これにより、行政運営における環境負荷の低減を図っています。

3-2 志津川湾の藻場保全・再生を通じた海洋生態系回復への貢献

画像提供：南三陸町

志津川湾の藻場保全・再生は、単なる環境保全にとどまりません。生物多様性の向上、ひいては漁業生産性を高めることで、地域経済の持続可能性にも貢献する、温暖化緩和に資する重要な取り組みです。

3-3 住宅・建築分野における脱炭素化支援：南三陸材の活用と太陽光発電システムの普及

画像提供：南三陸町

地域材である南三陸材を利用した木造住宅建設への補助金交付（南三陸材利用促進事業費補助金）や、住宅用太陽光発電システムの設置費用の一部補助（南三陸町住宅用太陽光発電システム普及促進事業補助金）を通じて、地球温暖化対策と地域産業の再生を両立させる住環境整備を推進しています。

3-4 交通分野における脱炭素化：町民バスの利便性向上とデマンド運行への移行

南三陸町の乗合バス　画像提供：南三陸町

町民バスの一部路線を、時刻表に縛られない予約制のデマンド運行へ移行しました。これにより、自宅近くでの乗降が可能となり、町民の移動手段としての利便性が格段に向上しています。

3-5 再生可能エネルギー導入の推進：木質バイオマスエネルギー利活用の促進

ペレットストーブ　画像提供：南三陸町

南三陸町木質バイオマスエネルギー利活用推進事業費補助金により、ペレットストーブや薪ストーブ、木質バイオマスボイラーの普及を支援しています。これにより、地域資源である木材の有効活用と、環境負荷の低いエネルギー利用を促進しています。

4. 脱炭素まちづくりへの共感と参加を広げる取り組み

南三陸町では、脱炭素社会の実現に向けた取り組みへの理解と参加を広げるため、地域住民との対話や、次世代を担う子どもたちへの教育活動に力を入れています。これらの活動は、町が掲げる「ひと・森・里・海 いのちめぐるまち」というコンセプトに基づき、自然と共生する持続可能な地域社会の実現を目指すものです。

4-1. 環境審議会を通じた地域環境目標の検討と審議

南三陸町役場の様子　画像提供：南三陸町

町民の声を聞き、地域の実情に合った環境目標を設定するため、南三陸町環境審議会が定期的に開催されています。 この審議会では、自然環境、生活環境、循環型社会、温暖化対策、そして環境教育・人材育成など、目指すべき環境像を達成するための具体的な環境指数の検討や審議が行われています。

4-2. 「ひと・森・里・海 いのちめぐるまち南三陸」を伝える教育コンテンツの展開

画像提供：南三陸町

未来を担う子どもたちが、地域への愛着と環境への関心を育むための教育活動も積極的に展開しています。環境・循環教育をより分かりやすく伝えることを目的に、町の魅力を詰め込んだ紙芝居が作成されました。

これらの教材は、町内の保育所や幼稚園などで実際に活用され、子どもたちが「ひと・森・里・海 いのちめぐるまち南三陸」の理念を体験的に学べる機会を提供しています。

5.まとめ

道の駅「さんさん南三陸」画像提供：南三陸町

南三陸町が推進する脱炭素戦略は、「ひと・森・里・海 いのちめぐるまち」という独自のコンセプトのもと、環境保全と地域経済の活性化を両立させる地域資源循環型モデルに集約されています。

この取り組みは、南三陸材の活用や木質バイオマスエネルギーの普及支援を通じて、地域資源の付加価値を高めて経済を町内に循環させ、藻場保全やデマンドバスへの移行といった多角的な施策によって、持続可能な漁業と暮らしのレジリエンス強化を目指しています。

町民の参画による環境審議会や、教育コンテンツの活用は、このまちづくりへの共感と参加を広げる確かな土台です。南三陸町は、これらの取り組みを通じて、豊かな自然環境を未来へ継承し、環境意識の高い層や移住者にとって魅力ある地域社会の実現を目指しています。