【北海道・石狩市】洋上風力発電とデータセンターのまち！再エネの「地産地活」で経済を潤すゼロカーボン戦略 － 家庭用蓄電池の一括見積もり・価格比較サービス【エコ発蓄電池】

1. 石狩市が目指す脱炭素社会の全体像：ゼロカーボンシティ宣言とその目標

北海道の石狩市は、雄大な石狩川が流れ込み、日本海に面した豊かな自然と、冷涼で広大な北の大地に育まれた地域です。特に、冬季の厳しい気候と、それに伴って得られる風力・太陽光といった自然エネルギーの大きなポテンシャルが、この地域の特徴です。

石狩市は、この恵まれた自然の力を最大限に活かし、地域内でのエネルギー循環を推進することで、気候変動対策に積極的に取り組む決意を表明しました。その象徴が、2020年12月の「ゼロカーボンシティ宣言」です。この宣言は、2050年までに市内の温室効果ガス排出量を実質ゼロにするという、北の大地から発信する強い意志となります。

これらの目標達成に向け、石狩市は多角的なアプローチで脱炭素化を推進しています。再生可能エネルギーの導入拡大や省エネルギーの推進はもちろんのこと、循環型社会の形成や、地域住民、企業とのパートナーシップ構築、環境教育の推進にも力を入れています。

2. 地域経済活性化と地方創生を両立する脱炭素戦略：再エネの「地産地活」が鍵

画像提供：石狩市

2-1. 再エネの「地産地活」による地域経済循環への期待

石狩市は、再生可能エネルギーのポテンシャルが高い地域です。ここで生み出された再生可能エネルギーを、地域内で活用することで、エネルギーの域外流出を防ぎ、地域経済の循環の促進を目指しています。この取り組みは、新たな産業を地域に呼び込み、付加価値を高めることで、雇用創出や地域経済の発展に繋がることが期待されています。

2-2. GX（グリーントランスフォーメーション）推進地域としての先進地を目指すビジョン

石狩市は、再生可能エネルギーを鍵としたまちづくりを推進し、GX（グリーントランスフォーメーション）の推進地域として、ゼロカーボンシティ達成と再生可能エネルギーによる先進的なまちづくりの実現を目指しています。

2-3. データセンター集積と地域DX実現に向けた官民連携

近年、地域の再生可能エネルギーを活用したデータセンターが集積しつつあります。石狩市は、札幌圏のデジタルニーズを支えるインフラを有するまちとして、データセンターを核とした地域DX（デジタルトランスフォーメーション）の実現に向け、官民連携による取り組みを進めています。

3. 石狩市の具体的な脱炭素への取り組み

画像提供：石狩市

石狩市は、脱炭素社会の実現に向け、多岐にわたる具体的な取り組みを推進しています。その中心となるのは、再生可能エネルギーの導入と地域内での活用です。具体的な取り組みは以下の通りです。

3-1. 再生可能エネルギー導入と活用

市内には、風力発電、太陽光発電、バイオマス発電など、多様な再生可能エネルギー源が集積しています。特に、石狩湾新港地域では大規模な洋上風力発電所が稼働を開始し、約8万3千世帯分の電力を生み出しています。

また、市内小学校を含む23の公共施設へは、地域にある風力発電施設からの電力が供給されており、環境教育とも連携した再エネの「地産地活」が実現されています。さらに、公共施設群への太陽光発電設備設置やマイクログリッド構築も進められています。

3-2. エネルギープラットフォーム構築と地域内循環

地域に集積する再生可能エネルギーを束ね、データセンターなどの地域需要家へ供給するためのエネルギープラットフォーム機能を持つ事業体が、官民連携で取り組まれています。これにより、域外へのエネルギー流出を防ぎ、地域経済の活性化と雇用創出を目指しています。

3-3. 住宅・建築分野における省エネルギー化

家庭用省エネ機器や宅配ボックスへの補助金制度を創設し、省エネルギー化と再配達による排出量削減を促進しています。これらの補助金は高い需要を示しており、市民の意識向上にもつながっています。

3-4. 交通分野の脱炭素化

2024年3月に策定された「シン・石狩市地域公共交通計画」に基づき、相乗り交通となる「AIデマンド交通（いつモ）」の運用を開始しました。これは、マイカー以外の移動手段を確保すると同時に、脱炭素化にも貢献する取り組みです。

4. 石狩市の脱炭素への挑戦：課題と未来への展望

画像提供：石狩市

石狩市は、ゼロカーボンシティ実現に向け、地域特性を活かした先進的な取り組みを進めています。しかし、その道のりには課題も存在し、未来への展望を見据えた戦略が求められています。

4-1. 地域循環共生圏実現への取り組み：厚田マイクログリッドシステム

地域に集積する再生可能エネルギーを最大限に活用し、エネルギーの地産地活とレジリエンス（防災・減災）強化を目指しています。特に、系統網が脆弱な厚田地域には、公共施設（５施設）に対し、太陽光発電と蓄電池、さらにはグリーン水素を活用したマイクログリッドシステムを構築しました。

このシステムは、PFI法のコンセッション方式による官民連携で運営されており、持続可能な地域づくりへの貢献が期待されています。

4-2. 交流人口増加とGX・DX推進によるまちづくり

脱炭素への先進的な取り組みは、視察者の増加や教育旅行先訪問地として、交流人口の増加にもつながっています。今後は、グリーン・トランスフォーメーション（GX）とデジタル・トランスフォーメーション（DX）を積極的に推進し、地域経済の活性化と持続可能なまちづくりを目指します。特に、データセンター集積という地域特性を活かし、官民連携による地域DXの実現に向けた取り組みや、スタートアップと連携し、データセンターを活用した地域課題の解決にも取り組みを進めています。

5. まとめ

小学校での環境教育の様子　画像提供：石狩市

石狩市が推進するゼロカーボン戦略は、再エネの「地産地活」を鍵とし、洋上風力発電とデータセンター集積という独自の強みを掛け合わせた、先進的な地域モデルです。

この戦略は、厚田マイクログリッドシステムによる太陽光とグリーン水素を活用した防災レジリエンスの強化に象徴されます。また、AIデマンド交通「いつモ」や、家庭・事業者への補助金制度を通じ、市民の行動変容と地域経済の循環を促進しています。

石狩市は、GXとDXを積極的に推進することで、交流人口の増加と経済の好循環を生み出す「三方よし」の持続可能な未来を築いていく方針です。

最後に、この取り組みを推進する石狩市担当の方から、地域住民・地元企業の皆様へのメッセージをお届けします。