【鹿児島県・和泊町】沖永良部島の挑戦。全国初の技術で実現する「エネルギーの島内循環」戦略
| カテゴリ:全国の脱炭素社会実現に向けた取り組み | タグ: ゼロカーボン, 和泊町, 脱炭素, 鹿児島県

1. 和泊町が目指す脱炭素社会の全体像:ゼロカーボン宣言とその目標
鹿児島県の沖永良部島に位置する和泊町は、サンゴ礁が織りなす美しい自然環境に恵まれた地域です。
和泊町は、地球温暖化が原因と考えられる気候変動の影響による異常気象が多発している現状を受け、次世代の明るい未来に持続可能な社会を残すため、2022年1月にゼロカーボンシティ宣言を行いました。これは、地球温暖化対策が世界で取り組むべき課題であるという認識に基づいています。目標達成に向けた概要は以下の通りです。
| 計画・宣言 | 宣言時期 | 最終目標 | 中間目標 |
|---|---|---|---|
| ゼロカーボンシティ宣言 | 2022年1月 | 2050年までに二酸化炭素排出量実質ゼロ | 2030年度までに2013年度比で46%削減 |
また、町は、2022年4月に「第1回脱炭素先行地域」に知名町の共同提案者として選定されました。この先行地域計画を足掛かりに、脱炭素化を加速させています。
2. 地域経済と地方創生を両立する「エネルギーの島内循環」戦略
画像提供:和泊町
和泊町の脱炭素戦略の根幹は、島外に依存するエネルギー構造を、再生可能エネルギーによる自給体制へ転換し、地域経済の活力を向上させることです。
2-1. 離島特有の課題克服:流出コストの抑制
和泊町(沖永良部島)は、日常生活や産業活動に必要なエネルギーの全量を島外からの移入に依存しています。この構造により、エネルギーコストとして約20億円(2015年地域経済分析)が流出しているという大きな地域課題があります。
和泊町では、再生可能エネルギーの導入によって島内でのエネルギー自給を進め、地域からのエネルギーコスト流出を抑制するとともに、持続可能な循環型経済の基盤づくりを目指しています。
2-2. 地域金融機関と連携したPPA事業の推進
町は、電力の地産地消による地域経済循環の構築に向け、外部企業との連携を積極的に進めています。
- 連携企業: 全国初の銀行100%出資の再エネ発電事業会社である、ごうぎんエナジー㈱。
- 取り組み: 町内初の太陽光PPA発電事業を町内公共施設で導入準備中。(2026年4月発電開始予定)
3. 和泊町の具体的な脱炭素への取り組み:再エネ導入と多分野連携
画像提供:和泊町
和泊町は、「マイクログリッド構築」というハード事業を核に、EV化、ソーラーシェアリングといった多角的な施策を通じて、環境にやさしいまちづくりを推進しています。
3-1. 事例①:全国初の技術を活用したマイクログリッド構築
脱炭素先行地域事業における取り組みは、日本の離島における再エネ導入のモデルケースとなります。
- 先進技術: 導入するGFM(グリッドフォーミング)インバーターの系統連携が全国で初めて九州電力送配電株式会社から認証。
- 効果: 離島の課題である電力系統の安定性維持に貢献し、再エネ導入を促進。
3-2. 事例②:EV・公共交通のグリーン化に向けた環境整備
交通分野においては、公用車のEV化から始まり、公共交通機関の脱炭素化を目指しています。
| 取り組み | 現状/計画 | 目的 |
|---|---|---|
| 公用車のEV化 | 2024年度末で4台のEVが導入済み。2025年度中にEVマイクロバス1台、EV軽自動車2台を導入予定。 | CO2排出量削減、行政による率先した取り組み。 |
| 路線バスのEV化 | 今後、路線バス車両のEV化にも取り組み、持続可能な交通体系への転換を目指す。 | 環境負荷の少ない移動手段の普及。 |
3-3. 事例③:農業分野へのソーラーシェアリング導入
町の主要な産業である農業との連携を強化し、脱炭素化を図ります。
- 取り組み: 農業分野において、ソーラーシェアリングの導入を進める。
- 目的: 耕作地を維持しつつ再生可能エネルギーを創出するとともに、スマート農業などを推進し、農業分野での脱炭素化を促進。
3-4. 事例④:住宅・公共施設への省エネ・再エネ導入推進
町は、公共施設の脱炭素化を率先して進めるとともに、民間への普及にも注力しています。
- 公共施設: 2027年度までに13施設に太陽光発電設備を導入予定。
- 住宅・建築: 今後、省エネ住宅の推進やZEH普及などに地元事業者と連携して取り組む方針。
4. 和泊町の脱炭素への挑戦:展望と未来への協働
画像提供:和泊町
和泊町は、脱炭素先行地域事業を足掛かりに、民間への再生可能エネルギー導入とEV普及を加速させる段階に入っています。ゼロカーボンシティの実現に向けては、町民や企業との連携が欠かせず、民間施設や個人住宅への再生可能エネルギー設備の普及が今後の重要な課題となっています。
特に、充電ステーションの設置など環境整備の面では、国や県の補助制度を積極的に活用しつつ、町独自の支援制度の検討も進めながら、地域全体での再エネ導入とEV普及を推進していく方針です。
5. まとめ
画像提供:和泊町
和泊町が推進するゼロカーボン戦略は、沖永良部島の未来をかけた「エネルギーの島内循環」への挑戦です。全国初認証のGFMインバーター技術を活用したマイクログリッド構築は、離島の電力系統という課題を克服するモデルとなります。この戦略は、約20億円のエネルギーコスト流出を食い止め、地域経済の活性化、ソーラーシェアリングによる農業の脱炭素化、そして公用車・路線バスのEV化へと波及します。
和泊町は、これらの協働と先進的な取り組みを通じて、持続可能な社会を次世代の明るい未来に残すという目標の実現を目指しています。
最後に、この取り組みを推進する和泊町担当の方からの、地域住民・地元企業の皆様へのメッセージをお届けします。
再生可能エネルギーや省エネルギー設備の導入などの更なる推進、電力の地産地消による地域経済循環の拡大等、環境にやさしいまちづくりに町民や企業・団体等と連携して取り組みます。
監修

エコ発事務局 太陽光アドバイザー
曽山
『誠実、スピーディーな応対』をモットーに日々エコ発を運営しています。 お客様への応対だけでなく全国に数百ある提携業者様とのやり取りをはじめ、購入者様へのキャンペーン企画やウェブサイトの改善など、皆様のお役に立てるよう日々業務に取り組んでいます。 卒FIT後の太陽光発電の活用方法など、お困りごとがございましたら、お問い合わせにてお気軽にご相談下さい。
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