【福岡県・みやま市】バイオマスと太陽光で創る地域循環型の未来図
| カテゴリ:全国の脱炭素社会実現に向けた取り組み | タグ: みやま市, ゼロカーボン, 福岡県, 脱炭素

1. みやま市のゼロカーボン宣言
福岡県の南部に位置し、有明海に面した肥沃な平野を持ち、農業が基幹産業であるみやま市は、「東日本大震災」による原子力発電所の事故や「令和2年7月豪雨」による甚大な被害を経験したことを背景に、脱炭素社会の実現を地域防災と農業復興、経済活性化の柱として捉えています。
そこでみやま市は、2021年8月に「ゼロカーボンシティみやま」を表明しました。この目標達成に向けた計画の概要は以下の通りです。
| 計画・宣言 | 策定時期 | 最終目標 |
|---|---|---|
| ゼロカーボンシティみやま | 2021年8月 | 2050年温室効果ガス排出量実質ゼロ |
市の脱炭素戦略は、「第2次みやま市地球温暖化対策実行計画」に基づき、その内容を具体化した脱炭素ロードマップが策定されています。計画は、行政の力だけでなく、事業所、市民一人ひとりの力を合わせて、持続可能なまちづくりと脱炭素社会を同時に達成することを目的としています。
2. 地域経済と地方創生を両立する「みやま型」脱炭素戦略
みやま市の脱炭素戦略は、地域独自のエネルギー企業と資源化施設を核とし、エネルギー・資金・雇用の地域内循環を創出することで、地方創生に直結させています。具体的な取り組みは以下の通りです。
2-1. 地域新電力と発電事業による地域経済の活性化
写真提供:みやま市
市は、自ら出資する地域新電力会社と発電事業会社と連携し、雇用の創出など地域経済の活性化につなげています。
| 企業名 | 役割 | 目的 |
|---|---|---|
| みやまスマートエネルギー株式会社 | 地域新電力としての運営 | 地域の再生可能エネルギーを最大限活用し、エネルギーの地産地消による地域内経済循環によることで地域を豊かにする。 |
| 株式会社みやまエネルギー開発機構 | メガソーラーの運営 | 市の遊休地を活用し、再生可能エネルギー発電事業を通じて地域経済の活性化を図る。 |
2-2. 資源化施設「ルフラン」による循環型農業の形成
写真提供:みやま市
みやま市では、生ごみ・し尿・浄化槽汚泥を原料に液体肥料(液肥)と電気と熱を生み出す資源化施設「バイオマスセンタールフラン」が稼働しています。
| 施設の機能 | 連携する分野 | 地域循環のサイクル |
|---|---|---|
| メタン発酵処理 | 農業協同組合や農家 | 発酵時に発生する消化液は肥料成分を有しており、それを液肥として市内の農地に散布し循環型農業を形成 |
| 発電及び温熱の生成 | 施設内消費 | 発酵時に発生するガスを原料に発電し、施設内で利用することでCO2排出量削減に貢献。また、 発電時に発生する熱は発酵槽の保温や生ごみ回収桶の洗浄水の熱源として利用。 |
この液肥を使って栽培されたお米は、南筑後農業協同組合により『環境にやさしい・おいしいお米』として販売されており、農業と脱炭素が連携した成功事例となっています。
3. みやま市の具体的な脱炭素への取り組み
みやま市は、家庭部門への支援から、企業連携、そして次世代への環境教育に至るまで、多角的な施策を通じて脱炭素化を推進しています。
3-1. 事例①:住宅分野と交通分野への支援拡大
写真提供:みやま市
家庭における太陽光などの自然エネルギーの利用促進やEVの普及に向けて支援しています。
- ゼロカーボン推進事業補助事業: 太陽光発電設備や蓄電池などの導入費用を補助。2025年度よりEVやエコキュート、ZEH住宅など補助対象を拡充。
- EV用充電スポットの増設:脱炭素化を目的とし、現在市の公共施設6か所に11基を設置。
3-2. 事例②:公共施設・企業との連携による脱炭素化
みやま市は、地域新電力会社と連携し、公共施設と地元企業の双方に対して脱炭素経営を支援しています。
まず、公共施設の脱炭素化として、一部の施設では再生可能エネルギー100%の電力供給プランを導入しています。さらに、2025年度には、公共施設への太陽光発電設備の導入可能性調査を実施し、、PPAによる脱炭素化を推進しています。
また、地元企業に対しては、地域新電力会社と連携した省エネ診断や省エネセミナーを実施しています。2024年度は16社に対して診断を実施した結果、「省エネに対する意識に役立った」という前向きな声が上がっており、地域全体での脱炭素化の機運醸成に繋がっています。
3-3. 事例③:市民参加と次世代への意識醸成
写真提供:みやま市
市民・事業者の意識向上のため、環境教育と情報発信を重点的に行っています。
| 啓発・教育活動 | 対象/内容 | 目的 |
|---|---|---|
| 環境教育 | 小学校への出前授業、環境施設見学、ゼロカーボンJr.マイスター認定講座(小学校高学年対象) | 次世代への環境問題意識の醸成 |
| 情報発信 | 広報誌、出前講座、みやま未来デザインワークショップ、地域おこし協力隊インスタグラム(2025年度開設) | 市民の意識醸成と情報共有 |
4. みやま市の脱炭素への挑戦:課題と未来への展望
写真提供:みやま市
みやま市は、地域新電力やバイオマス施設といった強固な基盤を持つ一方で、今後の取り組みを成功させるためには、市民への啓発の継続が不可欠と認識しています。
4-1. 資源循環における課題と継続的な啓発の必要性
バイオマスセンタールフランの運営において、生ごみ収集量の減少や不適物の混入などが課題となっています。
- 課題: 生ごみ収集量の減少や不適物の混入
- 対応: 資源化施設の効率的な運営と循環型農業の推進に向け、引き続き市民への啓発が重要と考えています。
4-2. 市民・事業者との協働による持続可能な地域づくり
市は、みやま市の豊かな環境を将来にわたって享受していくためには、市民・事業者の積極的な取り組みや連携・協働が不可欠であるというビジョンを掲げています。
5. まとめ
写真提供:みやま市
みやま市が展開する脱炭素戦略は、地域資源を最大限に活用し、エネルギーと経済の地域内循環を創出する先進的なモデルです。
バイオマスによる循環型農業の形成、太陽光発電・EVの導入支援、そして次世代への環境教育を通じて、みやま市はエネルギーと食料を自給することができ、災害に強く、経済が循環する『みやま有明自給圏』の実現を目指しています。
最後に、この取り組みを推進するみやま市担当者から、地域住民・地元企業の皆様への熱いメッセージをお届けします。
みやま市の豊かな環境を将来にわたって享受していくためには、皆様の積極的な取り組みや連携・協働が必要です。市民・事業者の皆様と市役所が一体となって、持続可能な脱炭素地域を構築していきたいと考えています。
監修

エコ発事務局 太陽光アドバイザー
曽山
『誠実、スピーディーな応対』をモットーに日々エコ発を運営しています。 お客様への応対だけでなく全国に数百ある提携業者様とのやり取りをはじめ、購入者様へのキャンペーン企画やウェブサイトの改善など、皆様のお役に立てるよう日々業務に取り組んでいます。 卒FIT後の太陽光発電の活用方法など、お困りごとがございましたら、お問い合わせにてお気軽にご相談下さい。
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