【熊本・山江村】地産地消エネルギーで地域資金を守り、活かすゼロカーボン戦略の全貌
| カテゴリ:全国の脱炭素社会実現に向けた取り組み | タグ: ゼロカーボン, 山江村, 熊本県, 脱炭素

1. 熊本県山江村が目指す脱炭素社会:ゼロカーボンシティ宣言とその目標
山江村は、九州山地の豊かな森と清らかな水に恵まれた、人口約3,000人ほどの自然あふれる村です。古くから林業や農業が盛んで、人と自然が共生する暮らしが受け継がれてきました。
こうした自然資源に支えられた風土を守り、次世代へ引き継いでいくために、山江村は2050年までに二酸化炭素排出量実質ゼロの達成を目指しています。その具体的な道筋として、2023年12月には「山江村再生可能エネルギー導入計画」が策定され、意欲的に進めるべく、2045年までにカーボンニュートラルを達成することを定めています。
また、村外へのエネルギー関連費用の流出を抑え、村内での経済循環を促進することも重要な目的の一つです。年間約3億5千万円とも言われる電気料金の村外流出を抑制し、エネルギーの地産地消を進めることで、地域経済の自立と発展を目指しています。
| 計画名 | 宣言時期 | 目標年次 | 温室効果ガス削減目標 |
|---|---|---|---|
| ゼロカーボンシティ宣言 | 2022年12月 | 2050年 | 実質ゼロ |
| 山江村再生可能エネルギー導入計画 | 2023年12月 | 2045年(中間目標2030年) | 実質ゼロ(2030年までに約70%削減) |
2. 地域経済活性化と地方創生を両立する脱炭素戦略:「山江村再生可能エネルギー導入計画」
画像提供:山江村
熊本県山江村が策定した「山江村再生可能エネルギー導入計画」では、脱炭素社会の実現と地域経済の活性化、そして地方創生を両立させるための重要な戦略として重視されています。
2-1. 計画策定の目的と上位計画の位置づけ
村外への電気料金の流出を食い止め、地域内での経済循環を促進すること、そして再生可能エネルギーの活用を通じて、地域経済の活性化と雇用の創出を図ることを目的としています。
この「山江村再生可能エネルギー導入計画」は、村全体のエネルギー政策を牽引する上位計画として位置づけられています。
2-2. 再生可能エネルギー導入の重点分野:太陽光、水力、バイオマス
村では、地域資源の特性を活かし、以下の3つを再生可能エネルギー導入の重点分野として定めています。
| 分野 | 内容 |
|---|---|
| 太陽光発電 | 土地活用型・建物設置型双方を推進 |
| 中小水力発電 | 村内河川のポテンシャルを活かした導入検討 |
| 木質バイオマス | 村の豊富な森林資源の活用 |
3. 山江村の具体的な取り組み内容
山江村では、太陽光、水力、バイオマスといった多様なエネルギー源を活用し、村内でのエネルギーの地産地消を目指しています。具体的な取り組みは、以下の通りです。
3-1. 太陽光発電の導入推進:村有地、公共施設、営農型太陽光
村有地や公共施設の屋根への太陽光パネル設置を積極的に進めるとともに、川辺川の造成団地においては、営農型太陽光発電の導入を想定しています。これにより、農業とエネルギー生産の両立を図り、新たな価値創造を目指します。
3-2. 中小水力発電の導入検討:万江川上流での導入可能性調査
画像提供:山江村
万江川上流の主流などを対象に、中小水力発電の促進エリアを特定しました。現在、導入可能性調査を進めており、水力資源の有効活用とクリーンエネルギーの供給拡大を目指しています。
3-3. 木質バイオマス発電の活用可能性:森林資源との連携
画像提供:山江村
村が有する豊かな森林資源に着目し、木質バイオマス発電の活用可能性を探っています。施設設置という形ではなく、木材利用のポテンシャルが高いエリアを特定し、森林整備と連携したエネルギー利用や地域経済への貢献を目指しています。
3-4. ゾーニング計画による導入可能エリアの特定
これらの再生可能エネルギー導入を具体的に進めるため、「山江村再生可能エネルギーゾーニング計画」を策定しました。この計画では、村内のどこに、どのような再生可能エネルギー設備を設置するのが最適かを科学的に特定しています。
| 推進する再生可能エネルギー | 導入促進エリア・想定 |
|---|---|
| 太陽光発電 | 村有地、公共施設屋根、川辺川造成団地(営農型) |
| 中小水力発電 | 万江川上流 |
| 木質バイオマス発電 | 木材利用ポテンシャルの高いエリア |
4. 山江村の脱炭素へのまちづくり
画像提供:山江村
再生可能エネルギー導入事業を現実的に進める上で、地域住民や関係各所との合意形成は最も重要視されています。
特にゾーニング計画策定プロセスにおいて、以下の五段階のステップを踏むことで、情報の透明化と合意形成を徹底する方針です。
- 第1段階:現地調査
目的:導入ポテンシャルの客観的な把握 - 第2段階:有識者ヒアリング
目的:専門的知見の獲得 - 第3段階:地域住民の意見聴取
目的:地域の実情や懸念事項の把握 - 第4段階:マップ仮案の公開と意見収集
目的:地域への影響や導入可否に関する議論の促進 - 第5段階:最終計画への反映と住民説明会
目的:協働による合意形成の確認
5. まとめ:地域循環共生圏の実現に向けて
画像提供:山江村
山江村は、再生可能エネルギーの導入を核とした地域活性化を最重要テーマの一つに据え、「地域循環共生圏」の実現を目指しています。この構想では、エネルギーと経済の好循環モデルを構築し、持続可能な地域社会の実現を目指しています。
| 取り組み内容 | 目的 |
|---|---|
| エネルギーの地産地消 | エネルギーの地産地消を促進し、村外への経済流出を抑制する。 |
| 木質バイオマス等の地域資源活用 | エネルギーの地産地消を推進し、地域経済の活性化に貢献する。 |
| 収益の村内への再投資 | エネルギー事業で得られた収益を、教育や福祉などの地域サービスに還元する。 |
このような山江村の取り組みは、単に温室効果ガスを削減するだけでなく、地域経済を活性化させ雇用を創出し、村外への経済流出を抑制することで、地域内での経済循環を促進させています。
最後に、この取り組みを推進する山江村の担当者から、村民の方へのメッセージをお届けします。
脱炭素は、行政だけでなく、村民全員で取り組むことで初めて実現すると考えております。私たちは、ゾーニング計画の策定プロセスにおいて、地域住民の意見聴取を必須のステップとして組み込み、地域の思いと行政の意思を反映させた協働のまちづくりを推進しています。皆さんの日々の選択が、持続可能で誇れる山江村の未来づくりにつながると考えています。
監修

エコ発事務局 太陽光アドバイザー
曽山
『誠実、スピーディーな応対』をモットーに日々エコ発を運営しています。 お客様への応対だけでなく全国に数百ある提携業者様とのやり取りをはじめ、購入者様へのキャンペーン企画やウェブサイトの改善など、皆様のお役に立てるよう日々業務に取り組んでいます。 卒FIT後の太陽光発電の活用方法など、お困りごとがございましたら、お問い合わせにてお気軽にご相談下さい。
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