【鹿児島県・指宿市】市民・事業者・市等が一体となり、「自分ごと」として地球温暖化対策を
公開日:2025/12/16 |
| カテゴリ:全国の脱炭素社会実現に向けた取り組み | タグ: ゼロカーボン, 指宿市, 脱炭素, 鹿児島県

1. 指宿市が目指す脱炭素社会の全体像:ゼロカーボンシティの指定と目標
鹿児島県の指宿市は、市の全域を霧島火山脈が縦断しており、世界的にも珍しい「天然砂むし温泉」をはじめ、豊富に湧出する温泉に恵まれ、年間約330 万人の観光客が訪れます。
ゼロカーボンシティの実現にあたっては、市民・事業者・市等が一体となって、市が持つ地域資源を活かし、あらゆる角度から地球温暖化対策を実行していく方針です。
1-1. ゼロカーボンシティの指定と温室効果ガス削減目標
市は、令和3年4月9日に環境省から「ゼロカーボンシティ」の指定を受けています。この背景には、地球温暖化対策は市役所だけでなく、市民や事業者の皆さんと一体となり、「自分ごと」としての取り組みが必要不可欠であるという認識が現れています。
目標達成に向けた概要は以下の通りです。
| 計画・目標 | 環境省の指定 | 策定時期 | 目標 |
|---|---|---|---|
| ゼロカーボンシティ | 令和3年4月 | – | 2050年温室効果ガス排出実質ゼロ |
| 第四次地球温暖化防止実行計画(事務事業編) | – | 令和6年度策定 | 2030年度までに2013年度比で49.4%以上削減 |
1-2. 指宿市の総合的な計画と今後の取り組み
令和7年度は、地域全体で取り組む総合的な計画となる「指宿市地球温暖化対策実行計画(区域施策編)」の策定を進めています。
この計画に掲げる目標の達成に向け、市は、地域資源を活かし、あらゆる角度から地球温暖化対策を実行していく方針です。
2. 地域経済と地方創生を両立する「環境価値の循環」戦略
画像提供:指宿市
指宿市は、地域資源を活用し、経済を循環させることで、人口減少などの地域課題克服に向けた取り組みを実施しています。具体的な取り組みは以下の通りです。
2-1. 「J-クレジット」を活用した環境価値の経済循環への転換
市は、ゼロカーボンシティいぶすきの実現に向けた出口戦略の一つとして、「J-クレジット等を活用したカーボンニュートラル等の推進に係る連携に関する協定」を締結しました。
- 目的: J-クレジットの創出・流通に取り組むことで、“環境価値と経済価値の循環”を起こす。
- 効果: 指宿市の地域脱炭素と地域経済の活性化に貢献できるよう、施策を検討していく。
2-2. 地域資源を活かした課題克服へのアプローチ
指宿市では、地熱資源をはじめとする豊かな地域資源を活用し、経済循環を促すことで人口減少などの地域課題克服に取り組んでいます。また、ブルーカーボンの推進として、山川町漁業協同組合が市内小学校と連携して藻場造成を行うなど、教育分野との協働も進めており、こうした取り組みを今後は他分野にも広げていく方針です。
これら一連の施策を通じ、ゼロカーボンを地域の活力向上と課題解決につなげる戦略として位置づけています。なお、取り組みの様子は市ホームページ掲載の「ゼロカーボンシティいぶすき新聞(令和6年12月)」でも紹介しています。
3. 指宿市の具体的な脱炭素への取り組み:協働と普及啓発
指宿市は、「ゼロカーボンシティいぶすきロゴ」の活用や、体験型のパネル展などを通じて、市民の皆さんが脱炭素を「自分ごと」として捉え、行動してもらうための啓発活動にも力を入れています。今後もこの取り組みをさらに加速させていく計画です。
3-1. 事例①:「ゼロカーボンロゴ」を活用した普及啓発
画像提供:指宿市
市は、市民や事業者も使用できるシンボルとして「ゼロカーボンシティいぶすきロゴ」を作成し、普及啓発を進めています。
| ロゴの活用方法 | 内容 | 目的 |
|---|---|---|
| 行政による活用 | EV公用車へロゴ掲載のマグネットを貼付したり、イベントで展示する。 | 市の取り組みを広くPR。 |
| 市民・事業者による活用 | 会社のチラシやイベントのチラシ・ポスターなどを掲示する。 | 市民や事業者が「自分ごと」として取り組みやすい環境を整備。 今後、認定制度等を含む使用機会ができる仕組みを検討していく方針。 |
3-2. 事例②:全世代を対象とした体験型イベントの実施
画像提供:指宿市
環境月間や地球温暖化防止月間を中心に、全世代のカーボンニュートラルへの理解促進を図っています。
- パネル展: 市役所でパネル展を実施し、出前授業のスライドやクイズを展示。来庁者にカーボンニュートラルの知識取得や「自分ごと」として考えてもらう機会を設ける。
- フェア: 鹿児島県との共催で「カーボンニュートラルフェアinいぶすき」を実施。「今日からどんなことができるだろう?」という題名で、来場者の考えをアンケート形式で聞くなど、意識調査を兼ねた啓発活動を行った。
3-3. 事例③:交通分野と学校での環境教育
市のEV公用車(ゼロカーボンシティいぶすきロゴのマグネットシートを貼付)|画像提供:指宿市
また、学校との連携では、地元事業者による市内小学校での出前授業が実施され、その様子やインタビュー内容、カーボンニュートラルに関する豆知識をまとめた「ゼロカーボンシティいぶすき新聞」が発刊されました。同新聞はイベントでの展示など多角的な啓発にも活用されており、事業者や子どもたち、教育機関が一体となって地球温暖化対策に取り組む姿を広く発信する取り組みとして注目されています(市ホームページにも掲載)。
3-4.事例④:泉都いぶすき~市民にとっての温泉の里~
砂むし温泉の様子|画像提供:指宿市
指宿市は「温泉の里」であり、砂むし温泉や露天風呂、浴場等へ観光客が訪れています。また、場所によっては家庭に引かれた「蛇口をひねれば出てくる温泉」もあるなど、指宿市民にとって大切な資源であり、なくてはならない財産です。
市内事業所及び市において配湯事業を行っており、多くの市民が温泉を利用しております。これは通常の給湯器を使用しての入浴よりも二酸化炭素を排出しない温泉を利用していることから、脱炭素へ貢献していると言えます。今後も温泉という「天からの贈り物」を大切にし、自然との共生をしながら脱炭素社会を構築していく方針です。
3-5.事例⑤:アロハ宣言~クールビズの先駆的な取組~
アロハ宣言の様子|画像提供:指宿市
毎年4月下旬ごろに当市イベントである「アロハ宣言セレモニー」にて、指宿市長が「アロハ宣言」を行っています。ここから10月31日までの期間中、「アロハシャツ」を市民のユニフォームとして、また市役所や銀行、ホテル・旅館などの多くの仕事場で制服として着用し、南国ムードあふれる雰囲気で観光客の方々を迎えています。
これらは昭和50年から実施されており、クールビズの先駆的な取組であることから、脱炭素社会構築にも地域一体となって貢献してきていると言えます。
4. まとめ
カーボンニュートラルフェアの様子 画像提供:指宿市
指宿市が推進するゼロカーボン戦略は、地域が有する地熱資源をはじめとした豊かな資源を活かし、J-クレジットの活用などを通じて「環境価値と経済価値の循環」を目指すものとして位置づけられています。こうした取り組みを支えるため、市では地球温暖化への行動変容を促す普及啓発活動にも力を入れており、市民のみなさま、事業者の方々、そして未来を担う子どもたちへと幅広く展開されています。これらの取り組みを通じ、指宿市は、豊かな自然と次世代を守る持続可能な社会の実現を目指しています。
最後に、この取り組みを推進する指宿市担当者からの、市民・事業者の皆様へのメッセージをお届けします。
年々進行しており問題になっている地球温暖化。カーボンニュートラルを目指した取組をするうえで、私たち市役所だけでは達成できません。市役所だけでなく、市民や事業者の皆さんと一体となり、「自分ごと」として地球温暖化対策に取り組む必要があります。地球温暖化対策をしないと、指宿の豊かな自然や次世代を担う子どもたち等にも影響が出てしまいますので、皆さん一人ずつ、まずはできることから地球温暖化対策にむけて取り組みましょう。
監修

エコ発事務局 太陽光アドバイザー
曽山
『誠実、スピーディーな応対』をモットーに日々エコ発を運営しています。 お客様への応対だけでなく全国に数百ある提携業者様とのやり取りをはじめ、購入者様へのキャンペーン企画やウェブサイトの改善など、皆様のお役に立てるよう日々業務に取り組んでいます。 卒FIT後の太陽光発電の活用方法など、お困りごとがございましたら、お問い合わせにてお気軽にご相談下さい。
家庭用・産業用蓄電池の
無料一括見積もり













