【新潟県・糸魚川市】ジオパークの資源を活かして実現する、「新エネルギーの地産地消」
| カテゴリ:全国の脱炭素社会実現に向けた取り組み | タグ: ゼロカーボン, 新潟県, 糸魚川市, 脱炭素

【新潟県・糸魚川市】ジオパークの資源を活かして実現する、「新エネルギーの地産地消」
新潟県糸魚川市は、ユネスコ世界ジオパークに認定された、壮大な山々、清らかな河川、そして日本海に囲まれた自然資源の宝庫です。市は、この豊富に存在する地域資源を守り・育てるとともに、脱炭素を地方創生に繋げる戦略を推進しています。
糸魚川市は、「ゼロカーボンシティ宣言」は行っていませんが、国の目標と整合する高い温室効果ガス削減目標を設定し、具体的な計画に基づいて脱炭素化を推進しています。
目標達成に向けた計画の概要は以下の通りです。
| 計画・目標 | 目標 |
|---|---|
| 最終目標 | 2050年カーボンニュートラル達成 |
| 中間目標 | 2030年度に2013年度比で46%削減 |
| 計画 | 「糸魚川市地球温暖化対策実行計画」(「糸魚川市環境基本計画」内) |
2. 地域経済と地方創生を両立する脱炭素戦略
糸魚川市は、脱炭素への取り組みを、地域資源の保全と地域内での経済循環に繋げ、地方創生を推進するための重要な戦略と位置づけています。
2-1. 官民連携による地域資源活用:「緑でつなぐ未来創造会議/3M」の活動
画像提供:糸魚川市
糸魚川市は、自然資源と地元産業の特色を生かした地域活性化のため、行政と民間が協力する体制を整えています。その核となるのが、「緑でつなぐ未来創造会議/3M」という官民連携の団体です。
この団体は、林業、建築、環境関係の行政と民間が協力して組織されており、脱炭素化を単なる環境対策に留めず、地域の未来につながる取り組みを推進しています。地域資源を活用しながら、地元産業が連携することで、エネルギー、雇用、資金を地域内で循環させる「地域循環共生圏」の実現を目指しています。
詳細については、緑でつなぐ未来創造会議/3Mの公式HPをご参照ください。
2-2. 企業との連携による脱炭素経営への「知る」機会の創出
地域企業が抱える課題に対し、まずは脱炭素経営への転換の重要性を理解してもらうための支援を行っています。
- 「企業向け脱炭素セミナー」の開催(令和7年度実施予定)
- 目的: 脱炭素経営への転換について「知る」機会を提供すること。
- 背景: 地方の中小企業は物価高騰で厳しい状況にあり、脱炭素に取り組む余裕がないという現実があるため、まずは意識改革を促す。
3. 糸魚川市の具体的な脱炭素への取り組み
糸魚川市は、豊富な水資源を活用した小水力発電の開発検討や、市民への具体的な補助金制度の整備、そして観光・農林業といった多分野との連携を進めています。
3-1. 事例①:小水力発電の開発検討と再生可能エネルギーの導入
市は、豊富な水資源を活用した小水力発電を、新エネルギーの地産地消に向けた大きな柱と位置づけています。
- 導入検討: 市内河川での小水力発電の開発を、市内外の様々な企業が検討中。特に「根知川」「焼山川」などの相談が多い。
- 再エネ補助: 「住宅用新エネルギーシステム設置事業補助金」を実施し、太陽光などの自然エネルギー導入を支援。
3-2. 事例②:住宅・建築分野における省エネ支援
家庭や建築分野における温室効果ガス排出量の削減と、新エネ等の導入促進を目的とした補助制度を設けています。
| 支援事業 | 支援対象 | 目的 |
|---|---|---|
| 住宅用新エネルギーシステム設置事業補助金 | 住宅 | 新エネルギーシステムの導入促進 |
| 省エネ診断等支援事業補助金 | 事業所 | 省エネの推進 |
| 省エネ住宅推進補助金 | 住宅 | 住宅の省エネ化を推進 |
3-3. 事例③:観光・農林分野との連携
地元産木材を使用した住宅|画像提供:糸魚川市
脱炭素への取り組みを観光客誘致や地域産業の持続可能性に繋げるため、他分野との連携を進めています。
- 観光: 観光施設へのEV急速充電器の設置を推進。
- 農林: 地元産木材を使用した住宅の建築を推進。また、水田の中干し期間の延長にも取り組む。
- 地域内消費: 地場産食材の消費拡大を促進。
3-4. 事例④:海洋環境と世代間交流を目的とした啓発活動
画像提供:糸魚川市
市民の環境意識向上を図るため、地域の特性を活かした啓発イベントや、伝統的な交流行事への協力を行っています。
- 海洋プラスチック問題対策: 「ビーチクリーン&海の生き物観察」や「ビーチクリーン&ヨガ」といったイベントを開催。
- 世代間交流: 東京都の「聖学院中学校」との連携行事として、農村体験学習の受け入れを支援(今年度で40年目の伝統行事)。
4. まとめ
画像提供:糸魚川市
糸魚川市が推進するゼロカーボンへの挑戦は、ユネスコ世界ジオパークの豊かな地域資源を「新エネルギーの地産地消」へと昇華させる、未来への確固たる戦略です。
市は、小水力発電の開発検討やデジタル地域通貨「翠ペイ」の運用を通じて、エネルギーと経済の地域内循環を促し、メタンハイドレートのような次世代エネルギーの可能性も追求しています。
糸魚川市は、これらの多角的な取り組みと、市民、事業者、行政が一体となり協働することで、豊かな自然と経済が両立する持続可能な社会を次世代に引き継いでいく方針です。
監修

エコ発事務局 太陽光アドバイザー
曽山
『誠実、スピーディーな応対』をモットーに日々エコ発を運営しています。 お客様への応対だけでなく全国に数百ある提携業者様とのやり取りをはじめ、購入者様へのキャンペーン企画やウェブサイトの改善など、皆様のお役に立てるよう日々業務に取り組んでいます。 卒FIT後の太陽光発電の活用方法など、お困りごとがございましたら、お問い合わせにてお気軽にご相談下さい。
家庭用・産業用蓄電池の
無料一括見積もり













