【新潟県・関川村】豪雪地帯という特性を活かし、地域新電力とマイクログリッドで実現するゼロカーボン社会
| カテゴリ:全国の脱炭素社会実現に向けた取り組み | タグ: ゼロカーボン, 新潟県, 脱炭素, 関川村

1. 関川村におけるゼロカーボンシティ宣言
画像提供:関川村
新潟県関川村は、荒川と大石川の清流が流れ、特別豪雪地帯に指定される自然豊かな農山間地域です。
2022年8月、集中豪雨により甚大な被害を受け、豊かな自然を次世代へ引き継ぐ必要があると判断し、脱炭素化を通して村民の暮らしを豊かにし、持続可能なむらづくりの実現を目指す決意表明をしました。
それが、2024年4月に出されたゼロカーボンシティ宣言です。目標達成に向けた概要は以下の通りです。
また、村は、2022年に環境省の脱炭素先行地域に選定されました。そのテーマは、『豊かな自然資源を活用した災害に強い地域づくりと脱炭素化の同時実現~豪雪農山間地域モデル~』であり、以下の6つの重点事業を中心に取り組んでいます。
- 再エネの積極導入・省エネ化推進
- 地域防災型マイクログリッドの導入事業
- 林業活性化・エネルギーの高度利用化事業
- EV導入による脱炭素交通事業
- 再エネ熱利用・ソーラーシェアリングによる多面的な脱炭素化促進事業
- 再エネを活用した豪雪対策事業
2. 地域経済と地方創生を両立する「豪雪地帯モデル」戦略
画像提供:関川村
村の脱炭素戦略は、地域新電力会社が主導し、地域資源(自然資源、人的資源など)を最大限に活用することで、地域経済の活力向上を図り、人口減少に歯止めをかけることを目指しています。
2-1. 地域新電力「せきかわふるさとエネルギー」の設立と役割
2023年5月に村が51%を出資し、将来の電力小売事業への参入を目指し、「せきかわふるさとエネルギー株式会社」を設立しました。
村内で発電された再エネ電力を販売し、地域外に流出しているエネルギー代金を地域内で循環させることで、地域経済の活性化を図ることを目的としています。
現在は、オンサイトPPA事業により、再エネを公共施設に供給しています。
2-2. 災害レジリエンス強化
脱炭素先行地域事業の核となるのが、地域マイクログリッドの構築です。
村の中心部の公共施設を自営線で連系することで、平常時は蓄電池や太陽光発電、小型風力発電を有効に活用します。災害等による大規模な停電発生時には避難所などの防災拠点に蓄電池から電力を供給し、防災レジリエンスの強化を図ります。
3. 関川村の具体的な脱炭素への取り組み:省エネ化・再エネ導入と交通・教育
公共施設の省エネ化や再エネの導入を同時に実施し、EVの導入や次世代への環境教育を通じて、豪雪地域ならではの具体的な脱炭素施策を進めています。
3-1. 事例①:豪雪地帯でも出来る再生可能エネルギー導入
画像提供:関川村
地域新電力会社が主導し、村内の公共施設へ再エネ電源を導入しています。
導入実績:村内公共施設の屋根や駐車場にPPA方式により豪雪対応の太陽光発電設備(7施設)及び小型風力発電設備(2施設)を設置しました。
豪雪対策:積雪の影響を受けにくい高角度のパネルや垂直両面型、壁面型の太陽光発電設備を設置しました。また、日射が少なくなる冬期間や夜間の発電を行うため、小型風力を設置しました。
3-2. 事例②:脱炭素交通事業とEVの導入
画像提供:関川村
公共交通機関が少ない地域での脱炭素化と、行政による率先した取り組みを推進しています。
脱炭素交通事業としてEV導入による交通部門の脱炭素化を図ることを目的としています。
実績:公用車にEVを2台導入しました。
計画:引き続き公用車をEV 化するとともに、EVバスを導入し、スクールバスとして運行する予定です。
3-3 事例③:教育連携による次世代への意識醸成
画像提供:関川村
未来を担う中学生に対し、地域の現状と脱炭素の重要性を伝える環境教育を実施しています。
中学1年生を対象に「関川村の脱炭素の取り組み」について毎年出前授業を実施しています。
内容:地球温暖化とは何か、村の取り組み、身近にできる脱炭素の取り組みについて学習し、村内に設置した再エネ発電設備の見学を行います。
その他:住民の方々を対象として、出前講座を準備しています。
4. 関川村の脱炭素への挑戦:展望と協働による未来
画像提供:関川村
脱炭素先行地域の取組を進める中で、人材・財源・専門知識の不足といった課題はあるものの、地域新電力の設立や企業誘致により、課題解決と持続可能な地域づくりの両立を目指しています。
現在は、地域マイクログリッドの構築を進めており、令和8年度からの運用開始が予定されています。
これらの取組を持続的に推進するため、地域新電力の体制整備を進め、企業誘致や専門人材の確保、運営基盤の強化を図り、地域全体の自立的なエネルギー運用体制の確立を目指しています。
5. まとめ
画像提供:関川村
村が推進するゼロカーボン戦略は、豪雪地帯という地域特性を活かした豪雪農山間地域モデルです。
地域マイクログリッドの構築という、災害レジリエンス強化に直結する施策を推進し、村出資の地域新電力「せきかわふるさとエネルギー株式会社」を核に、豪雪対応の再エネの導入を進め、将来は電力の小売りも行う計画です。
これらの取り組みを通じて、関川村は地域経済の活性化と防災力の強化を図り、豊かな自然を次世代へ引き継ぐ「豊かで住みよい活気ある村」の実現を目指しています。
最後に、この取り組みを推進する関川村担当の方からの、地域住民・地元企業の皆様へのメッセージをお届けします。
関川村では、脱炭素に取り組むことで地球温暖化を抑制させるだけでなく、地域の活性化や防災力の強化も図っていきます。村民の皆さんの暮らしを豊かにし、持続可能な村づくりの実現に向け、脱炭素の取組を加速させていきたいと考えています。村では「ゼロカーボンWEBサイト」を立ち上げ、脱炭素の取組に関する情報発信を行っていますので、ぜひご覧ください。
監修

エコ発事務局 太陽光アドバイザー
曽山
『誠実、スピーディーな応対』をモットーに日々エコ発を運営しています。 お客様への応対だけでなく全国に数百ある提携業者様とのやり取りをはじめ、購入者様へのキャンペーン企画やウェブサイトの改善など、皆様のお役に立てるよう日々業務に取り組んでいます。 卒FIT後の太陽光発電の活用方法など、お困りごとがございましたら、お問い合わせにてお気軽にご相談下さい。
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