【大阪府・豊中市】環境にやさしく住みよいまちへ。地域特性を活かしてめざす脱炭素社会。
| カテゴリ:全国の脱炭素社会実現に向けた取り組み | タグ: 大阪府, 脱炭素 ゼロカーボン, 豊中市

1. 脱炭素社会の実現に向けた「ゼロカーボンシティ宣言」
豊中市 吹田市「気候非常事態共同宣言」宣言式 (写真引用:豊中市ホームページ)
近年、地球規模で発生する異常気象は、私たちの生活や地域社会に深刻な影響を与えています。
この気候変動への危機感を背景に、豊中市は隣接する吹田市とともに、2021年2月に「ゼロカーボンシティ」を宣言しました。2050年までに市内の温室効果ガス排出量を実質ゼロにすることをめざし取組みを加速させています。
| 宣言時期 | 目標年次 | 温室効果ガス削減目標 |
|---|---|---|
| 2021年2月 | 2050年 | 実質ゼロ |
2. 地域特性を活かした脱炭素戦略:「とよなか・ゼロカーボンプラン」の概要
写真提供:とよなか百景
豊中市では、ゼロカーボンシティ宣言後、地域特性を活かした具体的な戦略として「第2次豊中市地球温暖化防止地域計画(改定)~とよなか・ゼロカーボンプラン~」を2022年3月に策定しました。
この計画では、豊中市が持つ強みを活かし、脱炭素社会の実現と環境にやさしい住みやすいまちづくりを両立させるための取組みが示されています。
| 豊中市の特長 | 取組内容 |
|---|---|
| ① 豊富な住宅ストック | 家庭におけるエネルギー消費量の削減と、再生可能エネルギーの導入促進 |
| ② 省エネ・創エネを推進するまち | 事業所におけるエネルギー効率の向上と、再生可能エネルギーの活用 |
| ③ 充実した公共交通網 | 公共交通機関の利用促進や、電気自動車(EV)などの温室効果ガスの排出が少ない自動車の普及支援 |
| ④ 循環型社会に向けて進むまち | 3R(リデュース、リユース、リサイクル)行動の推進 |
| ⑤ さらに進む環境行動 | 市民一人ひとりが環境に配慮した行動を実践するための啓発活動や、環境学習の機会提供 |
さらに、気候変動の影響による災害や健康被害を減らして持続可能なくらしを守るために、熱中症対策や災害への備えなど、気候変動の影響に備える「適応策」についても定めています。
3. 豊中市の具体的な脱炭素への取組み
豊中市は、脱炭素社会の実現に向け、市民や事業者と連携しながら多岐にわたる取組みを精力的に進めています。ここでは、エネルギー分野を中心に、具体的な事例をご紹介します。
3-1. エネルギーを「節約する」「創る」「蓄える」住宅を支援
豊中市は府内有数の住宅都市であることから、住宅に着目した取組みとして、「スマートハウス支援補助金」を実施しています。
この制度は、住宅の省エネルギー化や再生可能エネルギー設備などの導入による創エネルギー化を支援するものであり、太陽光発電設備、家庭用燃料電池システム(エネファーム)、断熱リフォーム、蓄電システム、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の導入を補助対象としています(2025年度時点)。太陽光発電や蓄電システムなどの導入を検討されている方にとって、初期費用の負担軽減に役立つ制度です。
3-2. 近隣4市で共同実施、中小事業者の太陽光導入を後押し
豊中市内には約1万3千の事業所が立地しており、業務・産業部門で市域全体の温室効果ガス排出量の約3分の2を占めています。
そこで、事業者における再生可能エネルギー導入を後押しするため、豊中市は、近隣の西宮市、尼崎市、吹田市と共同で、「事業者向け太陽光発電設備等共同購入事業」を実施しています。共同購入によるスケールメリットを活かし、導入コストの低減を図ることで、中小事業者でも太陽光発電設備を導入しやすくなる環境を整備しています。
3-3. 地域の脱炭素の取組み
豊中市は、地域内のエネルギーを効率的に活用し、脱炭素社会の実現に向けて他自治体や事業者と連携しながら取組みを進めています。
A. 地域で生産された電気を地域で消費する「電力の地産地消」を実現
豊中市伊丹市クリーンランドの外観(写真提供:豊中市伊丹市クリーンランド)
豊中市、伊丹市、豊中市伊丹市クリーンランド(※)の3者で協定を締結し、ごみ焼却の余熱を利用して発電された電力を、両市の市立小学校などの公共施設へ供給する「電力の地産地消」に取り組んでいます。
この事業により、発電の際に化石燃料を必要としない地域内電力の供給が可能となり、2025年度は豊中市から約5,900tもの温室効果ガスを削減できる見込みです。また、この仕組みを学童期から理解してもらうため、小学生向けリーフレットを作成し、啓発活動にも力を入れています。
(※)豊中市伊丹市クリーンランド:豊中市と伊丹市の両市域において排出された家庭系のごみや事業系の一般廃棄物を受け入れ、焼却・破砕・選別などの中間処理を行う清掃工場
B. 「関西エネワ」への参画による環境価値の活用
関西エネワのスキーム図
豊中市は、公共交通の利便性が高いまちであることから、鉄道事業者3社(※)で構成する「地域脱炭素推進コンソーシアム関西まちWe’ll(ウェル)」と連携協定を締結し、公共交通の利用促進や再生可能エネルギーの導入を進めるプロジェクト「関西エネワ」に参画しています。このプロジェクトは、市民や事業者が持つ太陽光発電設備による電力の環境価値を市や鉄道会社で活用することで、地域全体の脱炭素化をめざしています。
(※)鉄道事業者3社:阪急電鉄株式会社、西日本旅客鉄道株式会社(JR西日本)、大阪市高速電気軌道株式会社(Osaka Metro)2025年11月末現在
4. 脱炭素社会の実現に向けた今後の取組み
豊中市はゼロカーボンシティ宣言のもと、地域特性を活かした取組みを進めていますが、その道のりにはいくつかの課題も存在します。特に、産業・業務部門へのアプローチや公共施設への再生可能エネルギーのさらなる導入は、今後の重点課題です。
4-1. 中小事業者の脱炭素経営支援
市域全体の温室効果ガス排出量の約3分の2を占める産業・業務部門へのアプローチは、今後の重点課題です。豊中市には中小事業者が多く、「脱炭素経営に取り組みたいが、何から始めればよいか分からない」という事業者が少なくありません。
このような状況から、市は中小事業者向けの脱炭素経営セミナーを開催するとともに、事業者に寄り添う伴走型の支援を開始しました。事業者のニーズに応じて今後さらに発展させることで産業・業務部門の温室効果ガス削減をめざしています。
4-2. 公共施設への新技術の活用検討と再エネ導入の拡大
市の事務事業(市が行う業務)から排出される温室効果ガスを削減するため、市内の公共施設等において太陽光発電設備の設置を進めていますが、老朽化した施設が多く、従来型のパネルでは耐震性等の制約から設置が難しいという課題があります。
この解決策として、市は薄型パネルの実用化と市場展開に向けた動向を注視しており、新技術を活用することで設置可能な場所を拡大し、さらなる再生可能エネルギーの導入をめざしています。
5. まとめ
写真提供:とよなか百景
豊中市は、住宅の省エネ・創エネ化、事業者の脱炭素化、電力の地産地消など多角的な取組みを進めることで、「2050年までに市内の温室効果ガス排出量実質ゼロ」をめざしています。
この目標を達成することは、次世代へ良好な環境を残すだけでなく、市民一人ひとりの日々の暮らしをより快適に、より安心できる住みやすいまちへとつながります。
最後に、豊中市担当の方から、市民・事業者の皆様へのメッセージをお届けします。
脱炭素のまちづくりは市だけではできません。省エネ製品の導入や節電、ごみの削減など脱炭素につながる取組みは日々の生活や事業活動の中で進めることができます。
特に、事業者のみなさまにとっては脱炭素経営を実践することでビジネス機会の拡大につながるだけでなく、企業の魅力が高まり、採用面でも応募者の関心を引きやすくなることが期待されます。
市民・事業者のみなさんの取組みが、まち全体の力になります。ぜひこの機会に環境にやさしい生活や脱炭素経営について考えてみませんか。
監修

エコ発事務局 太陽光アドバイザー
曽山
『誠実、スピーディーな応対』をモットーに日々エコ発を運営しています。 お客様への応対だけでなく全国に数百ある提携業者様とのやり取りをはじめ、購入者様へのキャンペーン企画やウェブサイトの改善など、皆様のお役に立てるよう日々業務に取り組んでいます。 卒FIT後の太陽光発電の活用方法など、お困りごとがございましたら、お問い合わせにてお気軽にご相談下さい。
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