【2025年最新】蓄電池の仕組みが5分でわかる!初心者向け解説
公開日:2020/05/28 | | カテゴリ:蓄電池とは【基礎知識】

「蓄電池を導入すると電気代が安くなるって聞くけど、そもそもどんな仕組みなの?」
「太陽光発電と組み合わせると良いらしいけど、どうやって電気を貯めたり使ったりするんだろう?」
近年、災害への備えや環境意識の高まりから、家庭用蓄電池への関心が急速に高まっています。しかし、その仕組みは少し複雑で、よくわからないと感じている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、蓄電池の基本的な仕組みから、太陽光発電と連携した場合の電気の流れ、そして導入するメリット・デメリットまで、専門的な知識がない方でも理解できるよう、一つひとつ丁寧に解説します。
この記事を読み終える頃には、蓄電池が私たちの生活をどう豊かにしてくれるのか、その仕組みが頭の中でクリアにイメージできるようになるはずです。
目次

蓄電池の基本的な仕組み|電気を「貯める」「使う」の裏側
まず、蓄電池そのものがどのように電気を貯めたり、使ったりしているのかを見ていきましょう。
蓄電池は、乾電池のように一度使ったら終わり(一次電池)ではなく、繰り返し充電して使える「二次電池」です。スマートフォンやノートパソコンのバッテリーと同じ仲間だと考えるとイメージしやすいでしょう。
蓄電池の内部は、主に以下の3つの要素で構成されています。
- 正極(プラス極)
- 負極(マイナス極)
- 電解液(または電解質)
この3つの間で化学反応を起こすことで、電気エネルギーを化学エネルギーに変えて蓄えたり(充電)、逆に化学エネルギーを電気エネルギーに変えて取り出したり(放電)しています。

電気の倉庫に荷物を運び込む「充電」の仕組み
充電とは、蓄電池に電気を蓄えるプロセスです。これを「電気の倉庫」に例えてみましょう。
外部から電力が供給されると、電気のエネルギーを使って、「リチウムイオン」という荷物が正極から負極へと移動します。同時に、「電子」という作業員も負極へ流れ込みます。
この「リチウムイオン」という荷物が負極にたくさん保管された状態が、満充電の状態です。このとき、電気エネルギーは化学エネルギーという形で倉庫内に安全に保管されています。
電気の倉庫から荷物を運び出す「放電」の仕組み
放電は、蓄電池に貯めた電気を取り出して使うプロセスです。
スマートフォンを使ったり、家電を動かしたりすると、充電とは逆の反応が起こります。負極に保管されていた「リチウムイオン」という荷物が、正極へと戻っていきます。
この動きと同時に、「電子」という作業員が外部の回路(スマートフォンや家電など)を通って正極へ移動します。この電子の流れこそが「電気」の正体であり、私たちはこのエネルギーを使って様々な機器を動かしているのです。
このように、蓄電池はリチウムイオンと電子が正極と負極の間を行き来することで、電気を繰り返し貯めたり使ったりできる仕組みになっています。
知っておきたい蓄電池の主な種類と特徴
蓄電池にはいくつかの種類があり、それぞれに得意なこと、苦手なことがあります。ここでは代表的な4種類をご紹介します。特に家庭用では、小型で高性能な「リチウムイオン電池」が主流です。
種類 | 特徴 | 主な用途 |
---|---|---|
リチウムイオン電池 | ・小型軽量で大容量 ・エネルギー密度が非常に高い ・自己放電が少ない |
スマートフォン、EV、家庭用蓄電池 |
鉛蓄電池 | ・安価で歴史が長い ・安定した放電性能 ・重く大きい |
自動車のバッテリー、非常用電源 |
ニッケル水素電池 | ・過充電や過放電に比較的強い ・高出力 ・自然放電しやすい |
ハイブリッド車のバッテリー、乾電池型充電池 |
NAS電池 | ・大容量・高エネルギー密度 ・大規模施設向け |
工場、商業施設の停電対策 |
家庭用の主役「リチウムイオン電池」
現在、住宅用の蓄電池として最も広く使われているのがリチウムイオン電池です。エネルギーを蓄える効率が非常に高く、小型・軽量でありながら大容量の電気を貯められるのが最大のメリットです。
ただし、過充電や強い衝撃にはデリケートな一面もあるため、適切な管理システムのもとで使用することが重要です。もちろん、市販の家庭用蓄電池には、安全性を確保するための制御装置が内蔵されているのでご安心ください。
太陽光発電と蓄電池を連携させる仕組み
ここからが本題です。太陽光発電システムと蓄電池を組み合わせると、電気はどのように流れて、私たちの生活にどう役立つのでしょうか。電気の流れを4つのステップで見ていきましょう。
ステップ1:電気をつくる
まず、屋根などに設置された太陽電池モジュール(ソーラーパネル)が太陽の光を浴びて、直流の電気をつくります。これは蓄電池がない場合と全く同じです。
ステップ2:電気を変換・振り分ける
つくられた直流の電気は、パワーコンディショナー(パワコン)という機械に送られます。パワコンは、直流の電気を家庭で使える交流の電気に変換する重要な役割を担います。
変換された交流の電気は分電盤を通じて、照明やエアコン、冷蔵庫といった家電に供給されます。
ステップ3:電気を貯める
日中、発電した電気が家庭での消費量を上回った場合、その余った電気を蓄電池に貯めます。 これが蓄電池を連携させる最大のポイントです。
ポイント:ハイブリッドパワーコンディショナーで効率UP
太陽光で発電した電気も、蓄電池に貯める電気も、実は同じ「直流」です。
ハイブリッドパワーコンディショナーという機器を使えば、太陽光でつくった直流の電気を、交流に変換することなく直流のまま効率よく蓄電池に貯めることができます。 これにより、変換ロス(電気が変換される際に失われるエネルギー)を最小限に抑えられ、省スペース・省コストにも繋がります。
- 夜間に使う: 太陽光発電ができない夜間に、昼間貯めた電気を使って電気の購入を減らす。
- 停電時に使う: 災害などで停電した際に、非常用の電源としてテレビや冷蔵庫、スマートフォンの充電などに使う。
- 蓄電池は、化学反応を利用して電気を繰り返し貯めたり使ったりできる装置
- 太陽光と連携すれば、昼間つくった電気を夜間や停電時に使える
- 「災害への備え」「電気代削減」「環境貢献」という大きなメリットがある
- 導入コストや寿命などのデメリットも理解し、補助金や業者選びを慎重に行うことが重要
ステップ4:貯めた電気を使う
蓄電池に貯めた電気は、あなたの好きなタイミングで使うことができます。
このように、蓄電池を併用することで、太陽光という自然の恵みを時間帯に縛られず、無駄なく活用できるようになるのです。
※注意点:蓄電池に貯めた電気を電力会社に売電することはできません。
なぜ今、これほど蓄電池が注目されているのか?
蓄電池の仕組みがわかったところで、なぜ今、国や多くの家庭が蓄電池に注目しているのか、その背景を見ていきましょう。
災害時の非常用電源としての価値
台風や地震など、自然災害が多い日本では、停電は決して他人事ではありません。蓄電池があれば、長時間の停電時でも最低限の電力を確保でき、情報収集のためのテレビやスマホ、食品を守る冷蔵庫などを動かすことができます。この「いざという時の安心感」が、蓄電池が選ばれる大きな理由です。
再生可能エネルギーを安定させる鍵
太陽光や風力といった再生可能エネルギーは、天候によって発電量が大きく変動するという弱点があります。発電しすぎた電気を蓄電池に貯め、足りない時に供給することで、電力の安定供給に貢献します。これは個人の家庭だけでなく、社会全体のエネルギーシステムにとっても非常に重要です。
「2050年カーボンニュートラル」実現への貢献
日本政府が掲げる「2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにする」という目標達成のためにも、蓄電池は不可欠です。再生可能エネルギーの導入を拡大するには、発電量が不安定という課題を克服する必要があり、その解決策として蓄電池の普及が期待されています。
太陽光発電と蓄電池を併用する3つの大きなメリット
仕組みや社会的背景を理解した上で、実際にあなたの家庭に蓄電池を導入すると、どのような良いことがあるのでしょうか。具体的なメリットを3つご紹介します。
1. 停電時でも電気が使える圧倒的な安心感
最大のメリットは、やはり災害時の備えです。停電が起きても、蓄電池に貯めた電気や、日中に太陽光が発電した電気を使えるため、普段に近い生活を維持できます。通信手段の確保や、特に小さなお子様や高齢のご家族がいる家庭にとって、この安心感は何物にも代えがたい価値があります。
2. 電気代の削減効果が期待できる
太陽光で発電した電気の使い道は、「自家消費する」「売電する」の2つです。近年、売電価格は下落傾向にある一方、電力会社から購入する電気料金は高騰しています。
そのため、余った電気を売るよりも、蓄電池に貯めて夜間に自家消費する方が、経済的なメリットが大きくなるケースが増えています。また、電気料金が安い深夜電力を蓄電池に充電し、料金が高い昼間に使うといった賢い使い方も可能です。
3. 環境にやさしいクリーンなエネルギー生活
太陽光というクリーンなエネルギーを、蓄電池を使って最大限に活用することで、化石燃料への依存を減らし、環境負荷の少ない生活を実現できます。これは、持続可能な社会の実現に向けた、私たち一人ひとりができる具体的な貢献と言えるでしょう。
導入前に知っておきたいデメリットと4つの注意点
多くのメリットがある一方、蓄電池の導入にはコストや設置場所など、事前に理解しておくべき注意点もあります。後悔しないためにも、デメリットをしっかり把握しておきましょう。
1. 導入コストと維持費
蓄電池の導入には、本体価格に加えて工事費なども必要となり、決して安い買い物ではありません。(※2019年度の平均価格で蓄電容量1kWhあたり18.7万円というデータもあります)導入費用だけでなく、将来的なメンテナンスや交換コストも視野に入れておく必要があります。
2. 設置スペースの確保
家庭用蓄電池は、エアコンの室外機数台分ほどの大きさがあるモデルが一般的です。本体ユニットやパワーコンディショナーを設置するための十分なスペースが屋外または屋内に必要になります。事前に設置場所を確認しておくことが重要です。
3. 蓄電池にも寿命がある
スマートフォンを長く使っているとバッテリーの持ちが悪くなるように、蓄電池にも寿命があります。家庭用の場合、寿命の目安は10年〜30年程度と製品によって幅があります。保証期間を確認し、期間外の交換には費用がかかることを理解しておきましょう。
4. 既存の太陽光システムとの連携確認
すでに太陽光発電を設置している住宅に蓄電池を後付けする場合、既存のパワーコンディショナーなどと問題なく接続できるか、メーカーへの確認が必須です。システムによっては、設置できる蓄電池の種類が限られる場合もあります。
蓄電池導入を成功させるためのポイント
デメリットを理解した上で、導入を前向きに検討したい方へ。コスト負担を軽減し、最適なシステムを選ぶためのポイントをご紹介します。
補助金制度を賢く活用しよう
蓄電池の普及を後押しするため、国や多くの自治体が補助金制度を用意しています。これらの制度を活用することで、初期費用を大幅に抑えることが可能です。
ただし、補助金は予算に限りがあり、多くの場合、購入・契約前に申請が必要です。お住まいの自治体の情報をチェックしたり、販売店に相談したりして、利用できる制度がないか必ず確認しましょう。
信頼できる専門業者に相談しよう
蓄電池は、ご家庭の電気の使い方や太陽光発電の容量、将来のライフプランなどを総合的に考慮して、最適な製品を選ぶ必要があります。
複数の業者から見積もりを取り、それぞれの家庭に合った提案をしてくれるか、設置後の保証やアフターサポートは充実しているかなどを比較検討し、長く付き合える信頼できるパートナーを見つけることが成功の鍵です。
まとめ:蓄電池は未来の暮らしのスタンダードへ
今回は、蓄電池の基本的な仕組みから、太陽光発電との連携、メリット・デメリットまでを解説しました。
蓄電池は、もはや特別な設備ではありません。変化するエネルギー事情や頻発する自然災害に備え、安心で経済的、そして環境にやさしい暮らしを実現するための、これからのスタンダードと言えるでしょう。
この記事が、あなたの蓄電池への理解を深め、より良い選択をするための一助となれば幸いです。

監修

エコ発事務局 太陽光アドバイザー
曽山
『誠実、スピーディーな応対』をモットーに日々エコ発を運営しています。 お客様への応対だけでなく全国に数百ある提携業者様とのやり取りをはじめ、購入者様へのキャンペーン企画やウェブサイトの改善など、皆様のお役に立てるよう日々業務に取り組んでいます。 卒FIT後の太陽光発電の活用方法など、お困りごとがございましたら、お問い合わせにてお気軽にご相談下さい。
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