リチウムイオン電池にメモリー効果はありますか?
リチウムイオン電池にメモリー効果はありますか?
メモリー効果は、リチウムイオン蓄電池にはほぼありません。
メモリー効果とは、蓄電池内の容量がまだ残っているにも関わらず、蓄電池が放電できない状態になってしまう現象のことをいいます。メモリー効果が起こる原因は、使用に伴う蓄電池の劣化ではありません。
蓄電池に電池容量が十分に残っている状態で、蓄電池へ継ぎ足しのような形で充電を行うと、次回以降そのポイントで電池電圧が低くなってしまうことで発生します。
つまり、普段の蓄電池の使用方法によってメモリー効果は発生してしまいます。特に、このような継ぎ足し充電を繰り返し同じ蓄電容量のところから行っていると、メモリー効果は顕著に表れる傾向にあります。
上記のように、充電する(放電電圧が下がる)ポイントを記憶(メモリー)しているため、メモリー効果と呼ばれています。
メモリー効果の発生例
メモリー効果がどのように発生するのか、次のような例を挙げて見ていきましょう。
たとえば、蓄電容量が60%まで減少した段階で、継ぎ足し充電を繰り返し行ったとします。すると、蓄電池はその60%という蓄電容量を記憶してしまいます。
そして、次回以降に蓄電池から放電したとき、蓄電容量が60%まで到達した段階で放電電圧が大きく低下し、そこから放電ができなくなります。蓄電池からしてみると、いわゆるバッテリー切れの状態になっているように見えているのです。
このようなメカニズムで、蓄電池には60%も電力が充電されて残っているにも関わらず、その電力は使えないままになってしまいます。
さらに言えば、メモリー効果によって充放電のサイクルが早くなってしまうため、蓄電池の劣化を早めることにもつながりかねません。
どの蓄電池でもメモリー効果は起きるのか?
さて、メモリー効果はどの蓄電池でも起きる現象かというと、そうではありません。基本的には、リチウムイオン蓄電池においてメモリー効果は発生しません。
そのため、リチウムイオン蓄電池は「蓄電容量が減ってきたから少し充電しておこう」という使い方ができます。
一方で、ニカド電池やニッケル水素電池にはメモリー効果が発生するため注意が必要です。もし、ニカド電池やニッケル水素電池がメモリー効果に陥ってしまったら、「リフレッシュ」という処理を行います。
リフレッシュ処理は、一度蓄電容量を完全にゼロになるまで完全放電を行って、すぐに満充電を行うという処理です。ただ、このリフレッシュ処理を行えば蓄電池の劣化にはつながってしまうため、あまり望ましい対処とは言えません。
リチウムイオン蓄電池は、このメモリー効果がない点が他の蓄電池と比較したときの長所なのです。
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公開日:2019/10/15 | カテゴリ:蓄電池の運用と保守に関して