【青森県・佐井村】「日本で最も小さくてかわいい漁村」が目指す、「さいエナジー」と漁協による脱炭素の取り組み
| カテゴリ:全国の脱炭素社会実現に向けた取り組み | タグ: ゼロカーボン, 佐井村, 脱炭素, 青森県

1. 佐井村におけるゼロカーボンシティ宣言
青森県佐井村は、豊かな自然環境と地域資源を活かし、持続可能な社会の実現に向けた「ゼロカーボン」への挑戦を力強く進めています。2021年10月、「ゼロカーボンシティさい(佐井)」を宣言し、2050年までに村内の温室効果ガス排出量実質ゼロを目指すことを表明しました。
佐井村の目指す脱炭素社会は、単なる環境対策に留まりません。地域経済の活性化や人口減少対策、移住促進といった地方創生の実現と密接に結びつけられています。
| 取り組みの柱 | 内容 | 目標 |
|---|---|---|
| ゼロカーボン宣言 | 2050年温室効果ガス排出量実質ゼロ | 実質ゼロ |
| 地域経済活性化 | エネルギーの地産地消、地域内経済循環 | 域内経済規模拡大 |
| 自然エネルギー活用 | 自治体新電力、再生可能エネルギー導入 | 持続可能なエネルギー供給 |
佐井村は、これらの取り組みを通じて、地域住民、事業者、行政が一体となり、未来世代に誇れる「日本で最も小さくかわいい漁村」としての新たな価値を創造していく計画です。
2. 脱炭素を核とした地方創生:経済活性化と持続可能な地域づくり
佐井村では、脱炭素への取り組みを、地域経済の活性化や人口減少対策、移住促進といった地方創生の核と位置づけています。以下ではその具体的な取り組みについて紹介します。
2-1. エネルギーの地産地消と地域経済への波及効果:自治体新電力「株式会社さいエナジー」の役割
画像提供:佐井村
自治体新電力会社「株式会社さいエナジー」は、地域内で再生可能エネルギーを安定的に確保し、エネルギーの地産地消を推進する上で中心的な役割を担っています。これにより、域外へのエネルギー代金の流出を抑制し、年間約5億円規模の地域内経済規模の拡大に貢献することが期待されています。
2-2. 漁業分野における付加価値創出とブランド化戦略:カーボンフリー商品への挑戦
画像提供:佐井村
本村の基幹産業である漁業においても、脱炭素の視点を取り入れた取り組みが進められています。漁協加工場のRE100化(再生可能エネルギー100%での事業活動)を進めることで、環境に配慮した水産物・加工品としての付加価値を高め、「カーボンフリー商品」としてのブランド化を目指しています。
これは、地域経済の活性化に繋がるだけでなく、佐井村ならではの新たな魅力創出にも寄与します。
2-3. デジタル地域通貨を活用した地域経済循環の促進:「ECOチャレンジ応援事業」との連携
画像提供:佐井村
「株式会社さいエナジー」の収益の一部を活用し、2026年4月からの運用を目指すデジタル地域通貨へのポイント付与システムを構築しています。
これにより、脱炭素への行動変容を促し、獲得したポイントを地域内のデジタル地域通貨として使用できる仕組みを整備します。これは、住民の脱炭素への参加を促すだけでなく、地元商店での購買力を高め、地域内での経済循環を活性化させることを目指しています。
3. 分野横断的な脱炭素の取り組み:地域資源と技術の融合
佐井村では脱炭素社会の実現に向け、多様な分野と連携した先進的な取り組みを展開しています。これらの取り組みは、地域固有の資源を最大限に活用し、持続可能な地域経済の構築を目指すものです。
3-1. 【脱炭素×漁業】海岸漂着ゴミの燃料化とブルーカーボン事業による漁業振興
画像提供:佐井村
地域資源の有効活用として、海岸に漂着したプラ系ゴミを燃料化し、漁協加工場での利用を進めています。
これにより、化石燃料への依存を低減するだけでなく、海岸環境の保全にも貢献します。さらに、藻場再生に繋がるブルーカーボン事業を推進し、漁業資源の維持・向上と、カーボンクレジット化による新たな財源確保を目指しています。
| 取り組み内容 | 具体的な効果 |
|---|---|
| 海岸漂着ゴミの燃料化 | 化石燃料使用量の削減、海岸環境の改善 |
| ブルーカーボン事業 | 藻場再生、漁業資源の維持・向上、カーボンクレジットによる収益化 |
3-2. 【脱炭素×建築物】住宅・建築分野における省エネ化支援と補助制度
住宅・建築分野における温室効果ガス排出量削減のため、多角的な支援策を実施しています。
再生可能エネルギーの自家消費と災害時のレジリエンス強化のため、太陽光発電設備、蓄電池、V2H(Vehicle to Home)システムの導入に対する補助制度を設けています。近年、これらの設備導入に関する申請が増加傾向にあります。
また、エネルギー効率の高い空調機器や給湯機器、照明機器の導入、さらには住宅の断熱改修に対する支援も行っています。特に高効率空調機器への関心が高く、多くの申請が寄せられています。
4. 地域と共につくる脱炭素社会
佐井村では、脱炭素社会の実現に向けて、地域住民や地元企業との協働を重視した取り組みを進めています。具体的な取り組みは以下の通りです。
画像提供:佐井村
4-1. 住民参加型イベントと「ECOチャレンジ応援事業」による意識醸成
日常生活における「脱炭素」への意識を、楽しみながら育むための工夫が凝らされています。2024年10月には「脱炭素フォーラム」が開催され、地域住民への啓発活動が行われました。
さらに、2025年からは「ECOチャレンジ応援事業」が開始され、脱炭素に繋がる行動変容や設備導入に対してポイントが付与される仕組みが導入されます。この事業では、小中学生を対象とした夏休みの取り組みも実施されており、参加者には水筒がプレゼントされるなど、次世代を担う子供たちの環境意識向上にも繋がっています。
4-2. 地元企業との連携:省エネ診断から設備導入への展開
地元企業との連携も、脱炭素化を推進する上で重要な要素です。2024年には、希望する事業者を対象とした無料の省エネ診断が実施されました。この診断を通じて、複数の事業者が太陽光発電設備や高効率機器の導入に至り、コスト削減効果を実感しています。こうした取り組みは、企業の経済活動と環境負荷低減の両立を支援するものです。
4-3. 「日本で最も小さくかわいい漁村」としての誇りと挑戦:モデル地域を目指して
佐井村は、「日本で最も小さくかわいい漁村」としての誇りを胸に、環境配慮型の持続可能な地域づくりを目指しています。この挑戦は、全国の過疎地や漁村における脱炭素化のモデルとなることを目標としており、その先進的な取り組みが注目されています。
5. まとめ
画像提供:佐井村
佐井村が推進するゼロカーボン戦略は、「日本で最も小さくかわいい漁村」の誇りを胸に、地域新電力「さいエナジー」を核として、エネルギーと経済の村内循環を目指す挑戦です。
特に、ブルーカーボン事業や海岸漂着ゴミの燃料化といった、漁業と環境保全を両立させる独自の取り組みを推進し、漁協加工場のRE100化によるカーボンフリー商品ブランド化を目指しています。さらに、デジタル地域通貨と連携した「ECOチャレンジ応援事業」を通じて、住民の行動変容を促し、持続可能な未来を築いていく姿勢です。
最後に、この取り組みを推進する佐井村担当の方からの、地域住民・地元企業の皆様へのメッセージをお届けします。
日常生活において「脱炭素」を意識した行動をすることは中々難しいことです。佐井村では、何気ない自分たちの行動が結果として脱炭素に貢献しているんだということを楽しみながら実践できる仕組みづくりを進めています。佐井村と同じような環境にある全国の過疎地・漁村のモデルとなるような環境配慮型の持続可能で誇れる”日本で最も小さくかわいい漁村」を目指して行きたいと考えています。
監修

エコ発事務局 太陽光アドバイザー
曽山
『誠実、スピーディーな応対』をモットーに日々エコ発を運営しています。 お客様への応対だけでなく全国に数百ある提携業者様とのやり取りをはじめ、購入者様へのキャンペーン企画やウェブサイトの改善など、皆様のお役に立てるよう日々業務に取り組んでいます。 卒FIT後の太陽光発電の活用方法など、お困りごとがございましたら、お問い合わせにてお気軽にご相談下さい。
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