【福島県・磐梯町】地域通貨「ばんだいコイン」で再エネ利用を促す。雪国が挑むゼロカーボン計画
公開日:2025/12/16 |
| カテゴリ:全国の脱炭素社会実現に向けた取り組み | タグ: ゼロカーボン, 磐梯町, 福島県, 脱炭素

1. 磐梯町におけるゼロカーボン宣言
福島県の会津地方に位置する磐梯町は、磐梯山の麓に広がる豊かな自然と、名水百選に選ばれる水資源を誇ります。町は、まちづくりの基本理念である「自分たちの子や孫たちが暮らし続けたい魅力あるまちづくり」の実現に向け、脱炭素を重要な要素と捉え挑戦を加速させています。
町は脱炭素社会の実現に向け、2023年9月に「ゼロカーボン宣言」を行いました。
目標達成に向けた概要は以下の通りです。
| 計画・宣言 | 宣言時期 | 最終目標 | 中期目標(事務事業編) |
|---|---|---|---|
| ゼロカーボン宣言 | 2023年9月 | 2050年温室効果ガス排出実質ゼロ | 2030年30%削減、2040年60%削減 |
また、町は「地球温暖化対策実行計画(事務事業編)」に基づき、脱CO2に対する効果的なアプローチとして以下の3つの重点施策を設定しています。
- 再生可能エネルギーの最大限活用
- 施設の省エネルギー化の促進
- 自動車対策
2. 地域経済活性化と地方創生を両立する脱炭素戦略
写真提供:磐梯町
磐梯町は、脱炭素化を単なる環境対策ではなく、地域経済活性化や移住定住促進の契機と捉えています。エネルギー地産地消による地域収益の確保を目指し、地方創生と結びつけています。具体的な取り組みは以下の通りです。
2-1. デジタル通貨「ばんだいコイン」による地域循環経済の創出
エネルギー、雇用、資金などを地域内で循環させる「地域循環共生圏」の実現に向けて、独自のデジタル通貨を核とした仕組みを検討しています。
| 取り組み | 活用技術 | 目的 |
|---|---|---|
| 地域還元スキーム | 地域デジタル通貨「ばんだいコイン」を活用 | 再生可能エネルギーの利活用と、収益を地域に還元する仕組みを検討。 |
| 循環型商品の推進 | 「ばんだいコイン」を活用 | 循環型商品や環境保全型の商品を購入できるスキームを構築し、地域内経済に貢献。 |
2-2. 「サスティナブルタウン」への協働による経済活性化
主要企業・団体と連携し、脱炭素をキーにした持続可能な地域づくりを目指す体制を構築しています。
- サスティナブルタウン推進パートナー協議会: 令和6(2024)年10月に、町と町内で事業を営む8つの主要企業・団体の間で協定を締結。
- 目的: パートナー企業と行政が共同での企画を推進し、子や孫たちが暮らし続けたい魅力ある持続可能なまちづくりの実現を目指す。
3. 磐梯町の脱炭素への挑戦:具体的な取り組み事例
磐梯町では、豪雪地帯という課題を抱えながらも、PPAモデルを軸とした再生可能エネルギー導入、省エネ化の推進、そして次世代モビリティの検討を進めています。具体的な取り組みは以下の通りです。
3-1. 事例①:PPAモデルを軸とした再生可能エネルギー導入
町は、事業性と持続性に優れた再生可能エネルギーの導入を推進するため、PPAモデルを軸に展開しています。
- 導入対象: 行政施設や事業者の施設・用地を中心に選定し、効率的な導入を推進。
- 課題: 豪雪地帯指定のため、屋根設置についてはパネル設備メーカーの保障対象にならないこと、および導入初期費用。
- 対応: 地域の専門事業者と導入の検討を進めることで、地元での活用を見越したスキームづくりを進める。
3-2. 事例②:公共施設の省エネルギー化とリノベーション推進
CO2排出削減と持続可能なまちづくりを両立させるため、既存建築物のリノベーションを通じた脱炭素効果を追求しています。
- 高効率化: 行政や事業者の既存建築物に対し、高断熱化などの外皮改修や高効率機器の導入を促進し、エネルギー効率の向上を図る。
- 専門家連携: 専門家や専門事業者と連携し、町内の建築物のリノベーションを通じた脱炭素効果、経済性、および持続性を評価する。
3-3. 事例③:次世代モビリティの導入と交通環境の整備
CO2排出削減と持続可能な交通システムの実現に向け、自動車の電動化と時代にあった移動サービスの活用を検討します。
- 電動化の促進: 行政や事業者の公用車を優先的にEV・FCVに電動化し、EV充電インフラの整備を強化する。
- 多様な移動サービス: 現在運用中のオンデマンド交通を含めて、ライドシェアやカーシェア、自動運転の導入などを検討。自家用車への依存を減らし、高齢者やご家族の負担を減らす。
3-4. 事例④:教育・福祉分野との連携と循環型農業の検討
写真提供:磐梯町
町は、将来的な教育・福祉分野との連携を見据えた持続可能な農業を検討しています。
- 循環型農業: 農業分野では、たい肥を活用した循環型農業やソーラーシェアリングによる再生可能エネルギー活用を検討中。
- 将来的な連携: 循環型農業で作られた農作物を学校給食や介護施設等へ供給するなど、教育・福祉との連携を推進予定。
4. 磐梯町の脱炭素への挑戦:展望と協働による未来
写真提供:磐梯町
磐梯町は、豪雪地帯という立地的な課題に対し、再生可能エネルギーの最大限活用とデジタル技術を活用した地域経済の循環という形で克服し、未来へ繋ぐための基盤構築を目指します。
最近の取り組みとしては、町のビジョンである「自分たちの子や孫が暮らし続けたい魅力あるまちづくり」を実現するため、2025年に初開催となるサスティナブルフェスタやセミナーを通じた啓発活動の強化を進めています。
また、小中学校での環境教育やごみゼロ活動、磐梯山登山、湧水の保全学習といった学校との連携を深め、次世代への意識醸成を促すとともに、町内で成果を上げた象徴的な取り組みを県や国の審査会へ積極的に応募し、磐梯町の環境保全活動を広く発信していく計画です。
5. まとめ
写真提供:磐梯町
磐梯町が推進するゼロカーボンへの挑戦は、磐梯山の豊かな自然と、豪雪地帯という課題を、「地域経済の循環」と「協働の力」に変える先進的な戦略です。
地域デジタル通貨「ばんだいコイン」の活用や、PPAモデルによる再エネ導入、そして既存建築物の省エネリノベーションといった取り組みを通じて、町はエネルギーと資金の地産地消を実現していく姿勢です。
これらの多角的な施策と、教育連携、そして「サスティナブルフェスタ」などの啓発活動を通じて、「子や孫たちが暮らし続けたい魅力あるまち」という未来の実現を、町民全体で加速させて行く予定です。
脱炭素社会の実現のためには、住民や事業者、団体と連携・協力し、気候の危機を正しく理解することが大事です。今後は豊かな環境が保たれた持続可能な社会の実現に向けて、住民や事業者、団体、行政などが、情報を共有し、連携・協力して気候変動対策に取り組んでまいりたいと考えています。
監修

エコ発事務局 太陽光アドバイザー
曽山
『誠実、スピーディーな応対』をモットーに日々エコ発を運営しています。 お客様への応対だけでなく全国に数百ある提携業者様とのやり取りをはじめ、購入者様へのキャンペーン企画やウェブサイトの改善など、皆様のお役に立てるよう日々業務に取り組んでいます。 卒FIT後の太陽光発電の活用方法など、お困りごとがございましたら、お問い合わせにてお気軽にご相談下さい。
家庭用・産業用蓄電池の
無料一括見積もり













