【 秋田県・大潟村】広大な大地で実現する「自然エネルギー100％の村づくり」への挑戦 － 家庭用蓄電池の一括見積もり・価格比較サービス【エコ発蓄電池】

1. 大潟村が目指す脱炭素社会の全体像：ゼロカーボンシティ宣言とその目標

かつては広大な八郎潟の一部であった秋田県大潟村は、戦後の大規模な干拓によって誕生した、日本を代表する農業地帯です。近年、再生可能エネルギー政策の機運が高まる中で、村として脱炭素社会への移行を加速させるため、2021年2月にゼロカーボンシティ宣言を行いました。

1-1. 再生可能エネルギー政策から生まれた「自然エネルギー100％の村」

大潟村は、国が進めるゼロカーボンシティ宣言が始まる以前から、再生可能エネルギー政策を模索していました。その中で、この宣言を機に、村全体で取り組むべき明確な目標を掲げました。

この高い目標の達成に向け、大潟村は、自然エネルギーの導入、エネルギーの効率的な利用、そして地域資源の有効活用を柱とした具体的な施策を推進しています。

1-2. 脱炭素戦略の核となる「先行地域計画」と実行計画

大潟村の脱炭素戦略は、具体的な事業展開を基に策定されています。国から脱炭素先行地域に選定された計画をベースとし、施策を推進しています。

• 計画の基盤: 直近の脱炭素先行地域事業計画をベースに温暖化対策実行計画を改訂。
• 施策の主体: 脱炭素先行地域事業により、太陽光発電設備やバイオマスボイラーを導入しエネルギーの脱炭素化を目指す。

この戦略的なアプローチにより、大潟村は具体的な事業展開を通じて、計画の実行と検証を迅速に進め、ゼロカーボン社会の実現を目指しています。

2. 地域経済と地方創生を両立する脱炭素戦略

画像引用：株式会社ORES

大潟村の脱炭素への取り組みは、地域外へのエネルギー代金流出を防ぎ、地域内での経済循環を生み出すことを目的としています。この取り組みの中心となるのが、地域企業が主導する新会社、株式会社オーリスの設立です。

大潟村の脱炭素戦略の実行は、地元企業や村が共同で出資したこの地域エネルギー会社を核として展開されています。これは、エネルギーを軸とした地域循環共生圏の実現を目指すものです。

• 会社設立: 地元企業中心に新会社を設立し、村との官民共同出資で運営。
• 事業展開: 熱供給事業や太陽光PPA事業などを展開しています。

地元企業中心のこの体制により、脱炭素先行地域事業など、大規模なエネルギー関連事業に地元企業が積極的に関与し、地域内での雇用創出や経済的な利益を生み出すことを目指しています。

3. 大潟村の具体的な脱炭素への取り組み：公共施設と資源循環

大潟村は、先行地域事業を通じて、行政が率先して再生可能エネルギーの導入を進めています。特に、公共施設への再エネ導入と、農業由来の資源活用が中心的な事例です。

3-1. 事例①：公共施設を中心とした再生可能エネルギー導入

画像引用：大潟村｜自然エネルギー100％の村づくりへの挑戦

大潟村は、脱炭素先行地域事業計画に基づき、村内の公共施設を中心に再生可能エネルギーの導入を積極的に実施しています。

導入状況: 脱炭素先行地域事業で公共施設を中心に再エネ導入を実施中。

この取り組みは、行政自らがCO2排出量削減に取り組む姿勢を示すとともに、公共施設を災害時の避難拠点としてのレジリエンス強化にもつなげるものです。また、太陽光PPA事業を展開する地域エネルギー会社との連携を通じて、施設の初期導入費用を抑える工夫も行われています。

3-2. 事例②：もみ殻ボイラーによる地域熱供給の推進

画像引用：大潟村｜自然エネルギー100％の村づくりへの挑戦

大潟村は、豊かな農業資源をエネルギーとして活用する独自の取り組みを推進しています。これは、未利用資源を有効活用し、地域内での熱供給を実現するものです。

• 資源の活用: 農業由来の未利用資源を活用した取り組み。
• 事業の具体例: もみ殻ボイラーによる地域熱供給。

この「もみ殻ボイラー」による地域熱供給は、農業が盛んな大潟村ならではの取り組みであり、従来一部が未利用となっていた資源を熱エネルギーとして利用することで、化石燃料の使用削減と資源循環を両立させています。

3-3. 事例③：広報活動やフォーラムによる意識醸成

脱炭素化を村全体で進めるためには、住民一人ひとりの理解と行動が不可欠です。大潟村は、広報活動やイベント開催を通じて、村民の意識向上に努めています。

これらの活動を通じて、村の脱炭素への取り組みに対する住民の関心を高め、主体的な参加を促しています。

4. まとめ

画像引用：大潟村

大潟村が掲げる「自然エネルギー100％の村」という目標は、広大な農地が生み出す未利用資源（もみ殻）の熱利用、そして公共施設を中心とした太陽光PPA事業を核としています。

また、地元企業中心の官民共同出資による地域エネルギー会社が、熱供給事業や電力事業を担うことで、エネルギー・資金・資源が地域内で循環する地域循環共生圏の構築を目指しています。この取り組みは、大潟村の豊かな農業資源を未来へつなぎ、持続可能で安心できる地域社会を築くための挑戦です。