蓄電池が特定重要物資に指定?今後の蓄電池業界への影響は?
公開日:2022/10/24 | 最終更新日:2023/01/16 | カテゴリ:ニュース

政府が9月に閣議決定した、経済安全保障推進法に基づいて安定供給を図る「特定重要物資」に、蓄電池が指定される可能性が高いという情報をキャッチしました。
もし、蓄電池が特定重要物資に指定されるとなると、現在海外などに拠点を持つ事業者が、国内に移転する際に国が補助金を出すことも可能となります。
この記事では、特定重要物資とはいったい何なのか。また、蓄電池が特定重要物資として検討されている理由や特定重要物資に指定された場合の今後の見通しを紹介していきます。
- 特定重要物資に蓄電池が検討されている
- 特定重要物資に選ばれれば、様々な支援を国が行える
- 蓄電池の開発や供給が進めば、価格が下がる
目次
特定重要物資とは
特定重要物資として候補に挙がるのは、グローバル化の進展や科学技術等の発展の中で、国民の生存に必要不可欠であるにも関わらず、それに関する重要な物資を外部からの供給に過度に依存してしまっているものです。
また、今後需要が大きく高まると見込まれる物資についても、外部からの供給を余儀なくされるものであれば特定重要物資に選ばれる可能性があります。
特定重要物資に選ばれた物資は、助成金による支援を含めて外部への依存を低減し、安定供給確保を目指す取り組みが行われます。この特定重要物資のひとつとして蓄電池が検討されているのです。
蓄電池が特定重要物資として検討される理由
まず、特定重要物資が指定される基本的な考え方を見ていきます。
- 国民の生存に必要不可欠な又は広く国民生活若しくは経済活動が依拠している重要な物資であること
- 外部に過度に依存し、又は依存するおそれがあること
- 外部から行われる行為により国家及び国民の安全を損なう事態を未然に防止する必要があること
- 安定供給確保を図ることが特に必要と認められること
この4つの要件を全て満たす必要があります。
この要件から我々国民が考えなければいけないことは、国が蓄電池の設置に毎年のように補助金を出してはいるものの、決してそれが義務ではない今の現状が、今後は義務化される可能性があるということです。
蓄電池に対する政府の見通しは、日本が世界の約15%のシェアを占めている業界ではあるものの、中国や韓国のメーカーがより台頭してきている昨今の状況、そしてそれらのメーカーが急速に生産拡大の投資を開始していることで、相対的に日本の蓄電池生産メーカーのシェア率が落ちる可能性が高いとのこと。
これらは上記の3要件に関わる非常に重要な事態であり、日本にとって必要不可欠なものである蓄電池が、今後需要が増えてきた時に海外のメーカーに頼らざるを得なくなる不足の事態に備えたいという意図があります。
蓄電池が特定重要物資に指定されれば、生産工場を海外から国内などに移転する事業者に対して政府が補助を出すことが可能となり、蓄電池本体や素材の製造事業者に対し、設備投資や生産技術開発のため、国が支援することも出来るようになるのです。
蓄電池は産業の”心臓”であると政府は位置づけているので、この供給が今後滞るもしくは海外に頼らなければいけなくなる状況になれば、主要産業全体に大きな影響を及ぼします。
こういった理由から、蓄電池が特定重要物資として検討されることとなっているのです。
蓄電池が特定重要物資になったら今後はどうなる?
数年後には蓄電池の価格が安くなる可能性があります。
その理由として以下の2つが挙げられます。
蓄電池のメーカーが日本国内で発展しやすい政府施策を積極的に行える
上述していますが、例えば維持費や人件費の関係から日本の蓄電池メーカーでも工場を海外に持っている民間企業が、国内に移転しやすい状況を意図して行うことが出来ます。
それが蓄電池の安定供給に必要であると認められれば、工場を移転する際の費用だけでなく、日本で蓄電池の生産を携わる人たちに向けて、補助金を出すことも可能となるのです。
蓄電池に対して、国を挙げて様々なポジティブな企業向けの政策を行えるようになれば、蓄電池業界全体が活気づくのは明白で、需要に供給が追いつかない状況から逆転すれば、自ずと蓄電池の価格は下がっていきます。
蓄電池生産の設備投資や技術開発にも補助金を出せる
蓄電池は今もなお進化し続けているものであり、現在主流となっているリチウムイオン電池からの脱却は世界的に課題となっている部分です。これは家庭用の蓄電池だけではなく、電気自動車のバッテリー等も含むより広く一般的な蓄電池を指します。
特定重要物資に指定され、政府が技術開発に補助金を出すことで、日本の蓄電池メーカーがそのリチウムイオン電池に変わる革新的な蓄電池を発明したとなれば、日本の蓄電池は国内だけでなく世界的に見ても引く手あまたのものとなるでしょう。
そうなれば、日本企業の国際競争力が弱まった影響で円安となっている状況すら打破するものとなり、1ドル100円程度まで落ち着けば、海外製の蓄電池を2/3程度の価格で購入することも可能となるのです。
蓄電池が特定重要物資に指定されれば、今後の状況は国においても国民にとっても好転することは間違いないと言えます。
具体的な政策は?
2022年10月時点では未定。
蓄電池が特定重要物資に指定された場合、来年度の予算に蓄電池の具体的な政策が組み込まれることになります。
今後、何かしらの発表や動きがあれば適宜この記事内で紹介していきます。
まとめ
特定重要物資とは何か、蓄電池が特定重要物資に指定されればどういった恩恵を受けるのかを詳しく紹介してきました。
最後にこの記事のポイントをもう一度おさらいしておきましょう。
- 特定重要物資に蓄電池が検討されている
- 特定重要物資に選ばれれば、様々な支援を国が行える
- 蓄電池の開発や供給が進めば、価格が下がる
蓄電池が特定重要物資に選ばれる利点は非常に大きいので、今後もその動向に注視していきましょう。
監修

エコ発事務局 太陽光アドバイザー
曽山
『誠実、スピーディーな応対』をモットーに日々エコ発を運営しています。 お客様への応対だけでなく全国に数百ある提携業者様とのやり取りをはじめ、購入者様へのキャンペーン企画やウェブサイトの改善など、皆様のお役に立てるよう日々業務に取り組んでいます。 卒FIT後の太陽光発電の活用方法など、お困りごとがございましたら、お問い合わせにてお気軽にご相談下さい。
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