UA値は意味ない?2025年|プロが教える本当の家の性能基準
公開日:2021/11/18 | | カテゴリ:省エネ全般に関する記事一覧

- ZEHレベルの断熱性能による光熱費削減額は約13,800円 / 年間 (H28省エネ基準比)
- 断熱性能の向上は、居住の快適性を向上させることができます。
- 健康寿命などにも影響し、ヒートショックなどを防止できる。
- 光熱費を削減したいのであれば、省エネ性能の高い機器を導入するほうが効果的
- 太陽光発電、エコキュート、蓄電池が光熱費削減には影響が大きい
目次
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UA値は断熱性能を表す指標
住宅展示場などで話を聞いてくると、必ずと言っていいほど出てくるUA値。 これは外皮性能といって、家の四方(壁・床もしくは基礎・天井もしくは屋根)がどれだけ熱を通しにくい素材で構成されているか?を計算してはじき出す性能値です。 数値が低い程、性能が高いということになります。 各社この数値を下げる工夫などを行って、10年前と比べると住宅業界全体の性能があがっています。UA値のカンタンな解説
まずはUA値とは、家の四方からどれだけ熱が逃げていくか?を平均値として表したものです。以前はQ値という数値が使われていました。 Q値も同じように家の四方からどれだけ熱が出ていくか?を表した数値ですが、違いとしては「床面積で割り算をしている点」と「換気エネルギーが考慮されている点」の2つです。 床面積で割り算をしてしまうと、同じ断熱性能を持った家でも小さい家は有利になり、正確な数値が出にくいというデメリットがありました。 そのため、壁・床(もしくは基礎)・天井(もしくは屋根)のそれぞれから、それだけ熱が逃げるか?逃げにくいか?を計算して、平均したUA値を計算します。 換気のエネルギーロスについては、UA値では考慮されないため、別の「一次エネルギー消費量計算」で考慮されることになりました。 そして、この計算で出てくるUA値には、国が定めた基準があります。![]()
(出典:株式会社一条工務店「高断熱構造 「外内ダブル断熱構法」」)
このように、北海道から沖縄まで8つのエリアに分けて、最低限守るべき断熱性能基準を設けています。 2023年現在は「説明義務」となっているので基本的にはすべての工務店・住宅会社で上記の性能はクリアしていると言っていいでしょう。 北海道のような寒い地域は、元々しっかりとした断熱性能が求められていますが、東京や大阪といった5地域以南(図ではオレンジ色~赤色)の地域はそこまで高い断熱性能がなくても家は建てれます。![]()
(出典:経済産業省「経産省・建築物エネルギー消費性能基準等小委員会の審議 結果等について 」)

【最新版】ZEHとは?ZEH住宅の基本から補助金の上手い獲得手法を解説
断熱性能を高めて安くなる光熱費は年間13,800円
さて、皆さんが気になっている光熱費の削減額です。 地域差がかなりありますので、今回は東京で一般的な家(120㎡)をモデルケースにして計算してみます。(エネルギー消費性能計算プログラム ver 3.1.0を使用)
断熱性は数値に表れない温かさ・健康に直結
数値だけを見ると、断熱性を上げてもあまり意味がない?と思う方もいるかも知れません。 ただ結論から申し上げると、「一定以上の断熱性能はあった方が良い」です。 一定以上とは、おおむねZEHレベル~HEAT20 G1レベルの断熱性能です。 まず断熱性能を上げると良いことは、光熱費以外にはエアコンの効きが良くなること、または特に冬季にわかりやすい壁・窓・床から伝わってくる冷たさが軽減されます。上図のように昭和に建築された一般的な住宅は、全体的に青色が多く肌寒さ感が画像からもわかります。 ただ、次世代省エネ基準として国で設定されている基準レベルでは、寒さ感が軽減されています。 さらにZEH~HEAT20グレードまでの住宅になってくると、黄色が増えてきて四方から伝わってくる冷たさが非常に少ないです。![]()
(出典:国土交通省「国土交通省補助事業 住宅省エネルギー技術講習テキスト」)
※単純な室温だけでなく人間が感じる輻射熱による効果が断熱性を上げることで改善されます。
こういった効果は家全体に効果が生まれてきますので、廊下や玄関、洗面所といった場所も必然的に寒くなりにくいです。 断熱性能を高くなることで、居室・非居室における温度差も少なく、ヒートショックを起こしにくい過ごしやすい家になってきます。 なお、ヒートショックとは急激な温度差による血圧の上下で、心臓に負担がかかり死に至ることもある現象です。 よく冬季にこの現象で亡くなる方が少なくなく、毎年全国で約19,000人の方が亡くなっています。 交通事故での死者数が約4,000人ということを考えると約3倍の多さであり、他人事ではありません。 そのため、断熱性能はZEHレベル相当にはあげていく必要があります。 ただ、ここからは個人のこだわりもある部分ですが、筆者としては断熱性能は光熱費・居住性の観点から、ZEHレベル~HEAT20 G1相当で良いと考えています(5・6・7地域では)。 快適性に関しては、ZEHレベルを超えてくると体感的には、差がかなり少なくなくなってきます。この根拠は、上図にある通りZEH補助金を受けた方のアンケートからも出ています。 この表は断熱性能ごとに、「冷暖房の効きが悪いと感じた」という項目に対する回答です。(温暖地での6地域のみ) あてはまらない、あまりあてはまらない、という冷暖房の効きが悪いと思わない比率をみましょう。![]()
(出典:経済産業省 自然エネルギー庁「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス支援事業 調査発表会2020」)
- UA値:0.28W/㎡以下:92.7%
- UA値:0.28~0.4W/㎡以下:87.7%
- UA値:0.4~0.54W/㎡以下:87.4%
- UA値:0.54~0.6W/㎡以下:87.9%
- UA値:0.28W/㎡以下:98.2%
- UA値:0.28~0.4W/㎡以下:95.0%
- UA値:0.4~0.54W/㎡以下:89.7%
- UA値:0.54~0.6W/㎡以下:89.8%

省エネ機器による光熱費削減額は 年間 約50,000円
住宅における光熱費は、断熱性能による保温性も大事ですが、電気を使う機器自体の省エネ性に大きく影響されます。 住宅における省エネ性の計算は、先述で紹介したUA値で表される断熱性能と同時に、一次エネルギー消費量と言われる計算を行います。 これは、UA値を計算した後に、その断熱性能をもった家に、どれだけエコな機器が入っている?という指標になるものです。 地域・家の大きさ・導入する設備機器などによって、基準自体も変動します。(基準一次エネルギー消費量) この基準に対して、どれだけ年間で使うエネルギーが少ないか?を数値で表します。(設計一次エネルギー消費量) 先ほどの光熱費の計算も、この一次エネルギー消費量から算出しています。 それでは気になる削減額について、みていきましょう。
太陽光・蓄電池でさらに光熱費削減
そして、太陽光・蓄電池を導入していくと光熱費が下がっていきます。
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総括 / 家づくりで大事なコト
ただ、家づくりは光熱費だけで考えるものではありません。 今回は光熱費の削減について着目しましたが、地域に応じた断熱性能、その断熱材の素材、壁材の素材など、様々な項目で自分が思う家づくりをすることが大事だと考えています。 もちろん、光熱費の削減というポイントは1つの項目であり、その重要度は価値観によって異なります。 家づくりにかけることができるコストは、多くの方が限られた予算内で検討します。 こういった客観的な視点を持ちつつ、予算内で分配を行うことが大事です。 キッチンにお金をかけたい方、オープン階段にしたい方、色々な機能や要望があると思います。 ぜひ、ご自身が家づくりで考える優先順位なども、ある程度家族会議で相談してから、ハウスメーカーや工務店に相談にいくと良いでしょう。監修

エコ発事務局 太陽光アドバイザー
曽山
『誠実、スピーディーな応対』をモットーに日々エコ発を運営しています。 お客様への応対だけでなく全国に数百ある提携業者様とのやり取りをはじめ、購入者様へのキャンペーン企画やウェブサイトの改善など、皆様のお役に立てるよう日々業務に取り組んでいます。 卒FIT後の太陽光発電の活用方法など、お困りごとがございましたら、お問い合わせにてお気軽にご相談下さい。
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