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VPP(バーチャル・パワー・プラント)やDER(分散型エネルギー源)って何?必要な理由は持続可能な社会への一歩

公開日:2021/11/16 | | カテゴリ:省エネ全般に関する記事一覧

VPP(バーチャル・パワー・プラント)やDER(分散型エネルギー源)って何?必要な理由は持続可能な社会への一歩

蓄電池の補助金としても注目を集めた「DER」(分散型エネルギー源)、少し前までは同様の仕組みを「VPP」(バーチャル・パワー・プラント)と言っていました。

そもそも、DER・VPPってどういうモノ?なんで補助金が出るの?今回は、こういった基本的な疑問を解消する記事になっています。

今回の記事のポイント
  • DER(VPP)は、社会全体で電力を融通し合う新しい仕組み。
  • 電気の需給バランスを保つ役割を担う事業者がアグリゲーターと呼ばれる。
  • アグリゲーターが行う主な調整は以下のとおり
    供給が多い時(電力が余っている) ⇒ 各家庭の蓄電池などに充電して電気を有効活用
    需要が多いとき(電力が足りない) ⇒ 各家庭の蓄電池等から地域の電力網へ放電
  • 社会の安定的な電力運用、電力コストの削減に協力していることから補助金が出る

DER(VPP)とは各家庭などを発電所とする取り組み

(出典:経済産業省 資源エネルギー庁「分散型エネルギーリソースを活用したエネルギーシステムの普及拡大に向けた取組」)

DER(分散型エネルギー源)も、VPP(バーチャル・パワー・プラント)も、同じ社会の新しい仕組みのことです。

カンタンに説明すると、電力会社の発電所だけでなく、太陽光発電・蓄電池などが設置されている各家庭などを発電所として包括的に電力運用する取り組みです。

発電した電気と使う電気の均衡を図っている

発電した電気は基本的に、どこかに置いておくということができません。

一方、社会全体で使っている電気は常に需要と供給が変動しています。

(出典:経済産業省 資源エネルギー庁「VPP・DRとは」)

実は、この需要と供給のバランスを保つことも電力会社が行ってくれている仕事の1つで、この需給バランスが崩れると大規模停電などに繋がります。

昨今、普及が拡大し続けている太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーは、従来の仕組みとは異なり、電力会社がもつ発電所以外の場所でも発電ができるようになっています。

これは、空き地などに設置された大規模な太陽光発電だけでなく、産業用の発電システム・蓄電池や、住宅に設置された太陽光発電・蓄電池も含まれます。

こういった再生可能エネルギーでの発電量も含めて、電力会社が均衡を図っているおかげで社会全体の電力が安定して供給されています。

電気の需要の抑制・創出をする事業者=アグリゲーター

(出典:経済産業省 資源エネルギー庁「VPP・DRとは」)

再生可能エネルギーを利用した発電は、自然エネルギーを利用していることから、一定の発電量を保つことが難しい発電方法といえます。

そのため、空き地の太陽光発電・住宅の屋根に載っている太陽光発電・電気自動車など(エネルギーリソース)を活用するには、電力網と電気の調整を行う事業者が必要になってきます。

この電力網と、エネルギーリソースの調整を行うのがアグリゲーターと呼ばれる事業者です。

従来通りバランス調整を行ってきた電力会社(東京電力や中部電力などの地域の電力会社)もアグリゲーターですが、新たに一般企業もアグリゲーターとして名乗りをあげており、様々な企業が再生可能エネルギーの拡大に寄与しています。

・電力会社以外のアグリゲーター企業一例

【親アグリゲーター】
・株式会社グローバルエンジニアリング
・株式会社ローソン
・株式会社エナリス
など

【子アグリゲーター】
・シャープ株式会社
・パナソニック株式会社
・積水化学工業株式会社
・株式会社Looop
など

太陽光発電を設置している家庭は地域に電力を供給している

DER(分散型エネルギー源)と聞くと、何か大規模な発電設備を思い浮かべてしまいがちですが、実のところ太陽光発電を設置して発電している家庭は、このDER(分散型エネルギー源)としての役割を担っています。

太陽光発電が日中に発電している際、「自分の家で使っている電気」より「発電した電気」が多い場合「余剰電力」が生まれます。 この余剰電力を、系統(電力会社の電力供給網)に逆流させることで余剰電力の「売電」を行っています。

では、この系統へ逆流させた電気はどこに行っているのか?

理論上は「電力会社が買い取っている」んですが、実際は「地域の電気として近所へ供給」されています。(電力会社目線でいうと、太陽光発電からの電気を買電し、それを近所の家庭へ売電しています。)

ただ、現状は各家庭に設置された太陽光発電が成り行きで発電し、電気が余った場合にそれを逆流している状態であり、あまり効率的ではないというのが実情です。

昨今では、太陽光発電だけでなく家庭用蓄電池の普及率も上がってきて、大容量タイプのものも増えてきました。 日中の太陽光発電の余剰電力を系統に逆流(売電)するだけでなく蓄電池に貯め、その電気を夜間に利用することも可能ですし、逆に昼間の電気使用量が多い場合は、深夜帯の安い電気を貯めて昼間に放電して利用することもできます。

例えば、大寒波などにより冬季昼間に電力会社の電力が不足した場合にも、地域にある各家庭の太陽光発電からの電気、更に蓄電されている電気を系統側へ逆流させることができれば、安定した電気の確保が地域ぐるみで可能になります。

こうしたことから、太陽光発電を設置している家庭は、DER(分散型エネルギー源)としての役割を担っているといえるのです。

DER(VPP)で生活はどう変わる?

(出典:経済産業省 資源エネルギー庁「バーチャルパワープラント」)

一番のメリットは発電コストの削減に伴う、光熱費の低減を目指すことです。

電力網としては年間を通じて、瞬間的でも電力の最大需要量に対して100%以上まかなうことができる発電設備が必要です。

上図の様に年間の一時期に電力の需要が集中し、普段よりも発電量が必要になった際、現在では電力会社が燃料費が高い発電設備を突発的に稼働させ、不足分の電力を賄っています。

しかし、この不足分をDER・VPPを活用して埋めることができれば、電力会社としても高い燃料費を抑えることができ、それは最終的に皆さんの電気料金を下げることにもつながります。

また、工場などで法人の契約電力を結んでいる場合、年間で最も高かった電力使用量を基に契約電力 = 電気料金が決まるルールになっています。

例えば、夏季の昼間のピーク時に工場設備の他、エアコンなども同時にフル稼働させると、突発的に電力の使用量が上昇することになります。電気料金は最大値をカバーできる値が契約電力となるため、翌月から1年間は高額な電気料金となってしまいます。

しかし、工場に太陽光発電や蓄電池を設置しピーク時に活用することができれば、最大電力使用量を大幅に低減することができ(これをピークカットといいます)、電気料金を上げずに済みます。 また、こうした取り組みが普及すれば、電力会社がピーク時に燃料を使って発電することも減り、最終的には発電所の稼働すらも低下させることができます。

太陽光発電・蓄電池へ投資・導入する = 最大電力量が低減され電気料金が導入前よりも下がる ⇒ 電力会社が発電する電力量が減る = 発電コストが削減 ⇒ 電気料金が下がる

このように再生可能エネルギーの活用を促すことで、発電コストの削減、ひいては日々の光熱費の低減も可能になるというわけです。

DER(VPP)は需給のバランスも状況に応じて変化

(出典:経済産業省 資源エネルギー庁「バーチャルパワープラント」)

DER(VPP)では、再生可能エネルギーのデメリットである天候に左右される点も、調整でできるだけ有効活用します。

例えば、太陽光発電で「抑制」と呼ばれる現象があることはご存じですか?

抑制とは電力の需要量に対して、太陽光発電などで発電し過ぎて電力の供給量の方が上回ってしまった場合に、発電量を抑えることです。

せっかく発電しているのに、行き場がなく仕方なくパワコンを系統から抑制をかけて発電出力を抑えます。現在では抑制で発電した電気が無駄になっている分も、DER(VPP)の仕組みでは有効に活用できます。

(出典:経済産業省 資源エネルギー庁「バーチャルパワープラント」)

供給量の方が多くなってくると、家庭の蓄電池や電気自動車を系統側から操作して、充電することで電力の需要を上げます。

余って行き場のない再生可能エネルギーを、電気をためることができるシステムへ充電することで電気を有効活用できます。

反対に、電力需要が多くて供給量が足りない!という時は、発電所からだけでなく家庭の蓄電池や、V2Hシステムに接続された電気自動車から電気を地域に向けて放電してもらいます。

各一戸一戸でまかなえる電力は少数の電気でも、みんな集まれば大きな電気に!ということです。

このように、一般の家庭でもDER(VPP)に参加することもできます。

補助金が出る理由は、社会への協力見合い

2021年度は、家庭用蓄電池向けのDER補助金が国からも出ており、地域の補助金と併せれば非常にオトクに設置することもできました。

2021年8月に、21年度分は締め切られてしまいましたが、公募から約2ヶ月のスピードでなくなりましたが、それだけ蓄電池への注目も集まっていると言えるでしょう。

さて、この補助金では蓄電池で4万円 / kWhの補助金が出ましたが、高額な補助金が出る理由をお伝えします。

電力の安定供給へ協力

2021年度・DER補助金を受ける条件として設定されている各項目の中に、以下の条件があります。

2021年から2024年までの3年間、DER実証実験に参加すること

この実証実験とは、設置された蓄電池を遠隔操作によって、系統(電力網)へ放電したり、反対に充電する実験です。

この実施期間は3年間となっていますが、毎日ではなく1年間の中で1週間程度とされています。

この実証事業に協力する1週間については、蓄電池がHEMSを介して遠隔で操作されて充電や放電が行われます。

この実証実験の目的としては、DER(VPP)で期待されている、各家庭の蓄電池を電気の貯蔵庫として上手く活用できるか?という実ことを確かめることです。

このような社会実験を繰り返して、徐々に社会全体の仕組みとして浸透していくことが期待されています。

DER(VPP)が浸透していけば、先述した電力のコスト削減・安定化、そして地球温暖化の抑制につながっていきます。

監修

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エコ発事務局 太陽光アドバイザー

曽山

『誠実、スピーディーな応対』をモットーに日々エコ発を運営しています。 お客様への応対だけでなく全国に数百ある提携業者様とのやり取りをはじめ、購入者様へのキャンペーン企画やウェブサイトの改善など、皆様のお役に立てるよう日々業務に取り組んでいます。 卒FIT後の太陽光発電の活用方法など、お困りごとがございましたら、お問い合わせにてお気軽にご相談下さい。

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