トヨタ自動車のカーボンニュートラルを実現するためのEV戦略を分析!
公開日:2021/12/24 | 最終更新日:2023/02/09 | カテゴリ:EVに関する記事一覧

今回は、2021年12月に豊田章男社長自らが発表した、トヨタ自動車の今後のEV戦略を紐解いていきましょう。
これまで海外からはEVに対して消極的な姿勢として見られていたトヨタですが、ハイブリッドカー含む、様々な車種での全方位戦略とも言うべき中身を紹介します。
まずは、記者発表におけるトヨタ自動車のEV戦略ポイントのまとめです。
- 豊田社長は、未来のためにできるだけ多くの選択肢を用意する中における、BEV(バッテリー・電気自動車)のラインナップを発表した
- トヨタブランドとしては、2030年のグローバル市場におけるBEV販売台数目標は350万台
- 2030年までにグローバル市場において、BEVを30車種を展開する
- レクサスブランドとしては、2030年に欧州・北米・中国でBEVで100%、グローバルで100万台の販売を目指す
- 日本市場における具体的な目標数字の話しはなく、全方位戦略としてガソリン車もBEVも燃料電池車、水素ガソリン全て本気で取り組んでいる、と「二兎を追う者は一兎をも得ず」にならないかという不安も残る
目次
トヨタとしてのカーボンニュートラルへの取り組み

トヨタ自動車は、2021年12月14日に今後のグローバル市場における、BEV(バッテリー電気自動車)への販売・ラインナップ戦略を発表しました。
まず豊田章男社長が語ったのは、トヨタが取り組むカーボンニュートラルについて。
トヨタは2つのカーボンニュートラルについて語りました。
- カーボン・リデュース・ビークル(Carbon-Reducing Vehicle):車を動かすエネルギーがクリーンでなければならない
- カーボン・ニュートラル・ビークル(Carbon-Neutral Vehicle):クリーンなエネルギーを使ってCO2排出をゼロにする
この話題は、EV推進派と反対派でよく語られる「EV自体はクリーンだが、EVを動かしている電気自体は化石燃料を燃やして発電しているのでは」という話題を意識したものと思われます。
確かに石炭などを燃やして作った電気は、本当のクリーンエネルギーなEVと言えるか?という部分に一石を投じるような部分まで意識しているという裏付けであると思われます。
ただ、この話題は実際、熱回収効率の優れている火力発電、クリーンな水力発電により発電設備の効率の観点がよく抜け落ちています。
しかし今後は日本の社会としても、太陽光発電をメインとする再生可能エネルギーの比率を、高めていくことを期待したく、トヨタ自動車としてもその点を意識した内容になっていると言えます。
車種は2030年までに30種類をラインナップ予定

トヨタ自動車は現在でも、ガソリン車・ハイブリッドカーなどで100種類以上の車種を、グローバル市場において販売しています。
しかし、今まで日本市場は勿論ですが、グローバル市場の展開においてもEV車種のラインナップはありませんでした。
今後、トヨタ自動車は「bZシリーズ」、すなわち「beyond ZERO」を意味するEV専用シリーズと、各車種におけるEVグレードの設定を進めていくものと思われます。
既存モデルにBEVモデルを増加するだけでなく、bZシリーズを増やすことで、2030年までにグローバル市場において、BEVを30車種(乗用車、商用車の各セグメントでフルラインナップ)をラインナップすることも発表されました。
ただ、この発表で語られたのは「グローバルでの展開」を念頭に置いて、豊田社長は語られていました。
日本市場での具体的な直近の車種として、発表済みの「bZ4X」を改めて紹介し、22年度の発売を強調し、日本市場での実販売車種の期待感が高まります。
EV専用シリーズ「bZシリーズ」

トヨタ自動車は、今後bZシリーズの拡充を発表し、記者会見の中ではbZ4Xを含む5車種がお披露目されていました。
- bZ コンパクトSUV
- bZ スモールクロスオーバー:小さい車両でできるエネルギー効率を高めることが強調
参考電費としては、125wh / kmを達成と発表されました。(※参考:日産リーフ 約150wh / km)
ただ詳細については不明の為、今後の情報を待ちたいところではあるものの、実走行において年間平均電費として125wh / kmが達成できれば非常に優れた電費と言えます。
- bZ セダン
- bZ ラージSUV:3列シートも可能な大型のSUV
- bZ4X:SUV型EV(2022年度 年央付近に発売予定)
「bZ4X」はスバルと共同開発されたSUV車種ですが、先日イギリス市場における価格が発表されたばかりです。
こちらの記者会見では価格については触れていませんでしたが、参考価格としては638万円となっています。
なお、「bZ4X」の詳しい内容に関しては、以下の記事も参考にしてください。
国産メーカーも巻き返す!2022年に期待されるEVの車種はコレ!
LEXUS(レクサス)ブランドでの展開

トヨタの高級車ブランドであるLEXUS(レクサス)ブランドにおいての戦略も同時に発表。
レクサスブランドでは、まずはレクサスRZ(SUV型)を発表。

記者会見内では、豊田社長が実際に運転している動画も流されており、楽しそうに運転しているのが印象的でした。
レクサスでは、2030年に全カテゴリーにおいてBEVをフルラインナップさせ、2035年にはグローバル市場でBEVを100%にするとしました。
また、LFAの継承するスポーツカーをBEVで開発された車種が興味深かったです。

加速タイムとしては2秒前半(0-100km/hと思われる)、航続距離は約700kmとのこと。
完全にテスラ・モデルS Plaidが意識された車種であり、2秒前半がどこまでいくのか?価格を鑑みたパフォーマンス差がどれくらいなのか?詳細を期待して待ちたいと思います。
2030年販売目標はトヨタ350万台・レクサス100万台

トヨタ自動車としては、2030年のグローバル市場におけるBEV販売台数目標は350万台。
レクサスブランドとしては、2030年に欧州・北米・中国でBEVで100%、グローバルで100万台の販売を目指すと発表されました。
現在、BEV販売台数が世界一となっているテスラが年間での想定販売台数が75~80万台(2021年当社見込み)です。
テスラは、2030年には各地の工場を本格稼働させ2,000万台オーバーが目標です。
ただテスラの場合は目標を高く掲げる傾向があるため、現実的な見積もりでは大よそ1,000万台を超えるレベルが現実的ではないかと推測されています。
今後また、世界状況に合わせて上方修正などをするのか否か?も気になる部分です。
すでに欧州メーカーでは多くのメーカーが、ガソリン車の開発を完全中止、BEVへの完全移行を表明している中、トヨタはタイミング的にはかなり出遅れていると言わざるを得ない状況です。
しかし記者会見後の質疑でもあったとおり、21年9月発表から目標の上方修正はCOP26の影響もあったと説明、時代に合わせてトヨタ自動車もどんどん進化していると思われます。
まとめ・筆者による所感

トヨタ自動車として会社自体の取り組みとしては、今後EVへの投資も増強していく方向を示しました。
EV用の電池に関わる開発投資として2兆円という金額もあり、2035年に工場におけるカーボンニュートラルの実現などトヨタの本気度が見えます。
ただ、グローバル市場での会見になっており、日本市場での具体的な車種や今後の見通しは会見内ではありませんでした。

また本会見ではなく、質疑内において上記の2兆円に加えて、EV関連の総投資額として8兆円という数字を提示していました。
トヨタ内部において、ハイブリッドやプラグインハイブリッドなどのガソリン車も電動化として位置づけていることに若干の違和感を感じますが、投資のタイミング等も考慮していくことと、変化をみて対応していく趣旨の発言もありました。
豊田社長は以前からBEVだけが選択肢ではない、選択肢を広げると発言されており、その方針としての投資額であると見えます。
トヨタ自動車としても、世界的な動向を見ながら舵取りをしていく発言も豊田社長からありました。
これはBEVへの取り組みの遅さに対して海外からの批判に対抗したものであると思えますが、BEVを含めて全方位で一生懸命取り組みをしていると豊田社長の発言もあり、会社としての本気度が伺えました。
ただ、質疑内においてもお膝元である日本市場における具体的な車種・マイルストーンの話はなく、自社ディーラーによる充電網も、2025年までと時間がかかるとの予測も。
ガソリン車もBEVも燃料自動車も全部本気、と豊田社長の発言が「二兎を追う者は一兎をも得ず」にならないかという不安も残りますが、世界的な動向も変化が目まぐるしく現代、今後のトヨタ自動車からの続報を期待を持って待ちたいと思います。
監修

エコ発事務局 太陽光アドバイザー
曽山
『誠実、スピーディーな応対』をモットーに日々エコ発を運営しています。 お客様への応対だけでなく全国に数百ある提携業者様とのやり取りをはじめ、購入者様へのキャンペーン企画やウェブサイトの改善など、皆様のお役に立てるよう日々業務に取り組んでいます。 卒FIT後の太陽光発電の活用方法など、お困りごとがございましたら、お問い合わせにてお気軽にご相談下さい。
家庭用・産業用蓄電池の
無料一括見積もり