V2Hにはどんな機器がある?メーカーや対応車種、設置費用も解説
公開日:2021/04/10 | 最終更新日:2021/12/10 | カテゴリ:V2Hについて

V2Hについて、V2Hを構成している機器の種類や製造メーカー、V2H対応の電気自動車にどんな車種があるのか等、正しく理解していますか?
「V2Hを導入したいけど、どんな機器を買えば良いんだろう……」
「V2Hに対応した電気自動車の車種を知りたい……」
この記事では、上記のような疑問をお持ちの方に向けて、
- そもそも「V2H」とは?
- V2Hを構成する機器の種類
- V2H機器を製造している主なメーカー
- V2Hに対応した電気自動車の車種
- V2Hの設置費用や補助金
などについて、わかりやすく解説していきます。
そもそも「V2H」とは?
V2Hとは、「Vehicle to Home」の略で、電気自動車(EV)に蓄えてある電気を、家庭でも使用できるようにするためのシステムのことを指します。近年、電気自動車の普及や、防災対策、卒FIT太陽光発電との連携などで、日本においてV2Hが注目されています。
V2Hのメリット・デメリットや、太陽光発電や蓄電池との連携について詳しくは、以下の記事をご覧ください。
家庭用蓄電池よりお得?V2Hのメリットやデメリットを徹底解説!
太陽光発電と蓄電池・V2HとHEMSの連携でエネルギーの自給自足が実現?
V2Hシステムを構成する機器の種類
電気自動車(EV)に蓄えた電気を家庭で使用できるようにする「V2Hシステム」を導入するためには、「V2H充放電器」と「V2H対応の電気自動車(EV)」が必要です。
V2H充放電器(EV用パワーコンディショナ)
V2H充放電器は、電気自動車と住宅の分電盤を繋ぎ、電気のやり取りを行うために必要な機器で、「EV用パワーコンディショナ」とも呼ばれています。
V2H充放電器(EV用パワーコンディショナ)には、電気自動車(EV)に蓄積されている直流電気を、家庭で使用できる交流電気に変換する役割(放電)があります。また、それと同時に、家庭用の交流電気を電気自動車(EV)用の直流電気に変換する役目(充電)も担っています。
V2H充放電器に蓄電機能は基本的に無い
V2Hシステムは、電気自動車を蓄電池として扱うため、V2H充放電器(EV用パワーコンディショナ)に電気を溜めておく蓄電機能は基本的にありません。(一部、蓄電池機能を搭載したV2H充放電器も発売されています。)
太陽光発電でつくった電気を充電するには?
太陽光発電を設置している住宅で、太陽光発電でつくった電気を電気自動車に充電したいと思っている方も居られるでしょう。その場合、必要となるのは「系統連系」タイプのV2H充放電器(EV用パワーコンディショナ)です。
「系統連系」タイプのV2H充放電器を使用することで、太陽光発電でつくった電気をV2H充放電器を通して電気自動車へ充電したり、電気自動車から家庭へ電気を放電しながら、太陽光発電の電気や電力会社から購入した電気を同時に使用したりすることができます。
V2H対応の電気自動車(EV)
V2H充放電器(EV用パワーコンディショナ)の他に、V2Hに対応した電気自動車(EV)も必要となります。V2Hシステムにおいて、電気自動車が電気を蓄える充電器の役割を果たすので、電気自動車は必須です。
なお、一部のV2H充放電器では、電気自動車(EV)のほかにプラグインハイブリッド自動車(PHV)にも対応しています。
V2H機器を製造している主なメーカー
ここからは、V2H機器を製造している主なメーカーと製品・商品についてご紹介していきます。
ご家庭で一般的に使用できるV2H機器を製造しているメーカーは、
- ニチコン
- デンソー
- 東光高岳
の3社となります。(2021年4月6日時点)
※三菱電機のEV用パワーコンディショナ「SMART V2H」の受注は、2021年3月で終了しました。
ニチコン
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(引用:ニチコン株式会社「EVパワー・ステーション」
ニチコン(nichicon)は、「EVパワー・ステーション」という名称で、V2H充放電器(EV用パワーコンディショナ)を製造しています。
ニチコンのV2H機器は「系統連系」タイプ
ニチコンが製造している「EVパワー・ステーション」は、「系統連系」タイプなので、電気自動車(EV)の電気を家庭で使用しているときでも、太陽光発電でつくった電気や電力会社から購入した電気を使用することが可能です。
また、太陽光発電でつくった電気や電力会社から購入した電気を、「EVパワー・ステーション」を通して電気自動車に充電することもできます。
ニチコン「EVパワー・ステーション」の商品紹介・価格
ニチコン「EVパワー・ステーション」は、「スタンダードモデル」2製品、「プレミアムモデル」1製品の計3製品が販売されています。
スタンダードモデルとプレミアムモデルの主な違いは、プレミアムモデルはスマートフォンの操作が可能なことや、保証期間がスタンダードモデルの2年に対してプレミアムモデルが5年であること等が挙げられます。
それぞれの型番と価格、保証期間は以下の通りです。
- VCG-663CN3(スタンダードモデル):398,000円(税別)/保証期間2年
- VCG-663CN7(スタンダードモデル):448,000円(税別)/保証期間2年
- VCG-666CN7(プレミアムモデル):798,000円(税別)/保証期間5年
デンソー
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(引用:DENSO「V2H-充放電器」)
デンソー(DENSO)は、「V2H-充放電器」という名称で、V2H充放電器(EV用パワーコンディショナ)を製造しています。
デンソーのV2H機器は「系統連系」タイプ
デンソーが製造している「V2H-充放電器」は、「系統連系」タイプなので、電気自動車(EV)の電気を家庭で使用しているときでも、太陽光発電でつくった電気や電力会社から購入した電気を使用することが可能です。
また、太陽光発電でつくった電気や電力会社から購入した電気を、「V2H-充放電器」を通して電気自動車に充電することもできます。
デンソー「V2H-充放電器」の商品紹介・価格
デンソー「V2H-充放電器」は、1商品のみ製造・販売されています。型番と価格は以下の通りです。
- DNEVC-D6075:オープン価格/CEV※の承認価格:1,100,000円(税別)
※CEV=一般社団法人次世代自動車振興センター
東光高岳
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(引用:東光高岳「SmanecoV2H」)
東光高岳は「SmanecoV2H」という名称で、V2H充放電器(EV用パワーコンディショナ)を製造しています。
東光高岳のV2H機器は「系統非連系」タイプ
東光高岳のV2H機器は「系統非連系」タイプなので、電気自動車(EV)の電気を家庭で使用している間は、電力会社からの電気や太陽光発電でつくった電気は使用することができません。
また、電力会社から供給される電気と、電気自動車から給電される電気を切り替える際、0.01秒以下の停電が発生します。
太陽光発電でつくった電気をEVに充電可能
「系統非連系」タイプのV2Hのなかには、太陽光発電でつくった電気を電気自動車(EV)に充電することができない機器も存在します。しかし、東光高岳の「SmanecoV2H」は、「系統非連系」タイプでありながら、太陽光発電でつくった電気もEVへためることができます。
東光高岳「SmanecoV2H」の商品紹介・価格
東光高岳の「SmanecoV2H」は、1商品のみ製造・販売されています。型番と価格は以下の通りです。
- CFD1-B-V2H1:オープン価格/CEVの承認価格:750,000円(税別)
※CEV=一般社団法人次世代自動車振興センター
V2Hに対応した電気自動車の車種
ここからは、V2Hに対応した主要な電気自動車のメーカーと車種についてご紹介していきます。
日産のV2H対応車種
ここでは、日産のV2Hに対応した電気自動車をご紹介していきます。
日産のV2Hに対応した電気自動車には、「リーフ」と「e-NV200」があります。
日産「リーフ」の総電力量は40kWhと62kWhの2種類
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(引用:日産「NISSAN LEAF」)
日産のV2H対応の電気自動車「リーフ」シリーズは、総電力量(電池容量)「40kWh」と「62kWh」の2種類が販売されています。
日産「リーフ」の車名と価格、総電力量(電池容量)、一充電走行距離(WLTCモード)は以下の通りです。(WLTCモードとは、市街地、郊外、高速度の各走行モードを、それぞれの平均的な使用時間配分で構成した国際的な走行モードのことを指します。)
- 日産リーフS:定価3,326,400円/総電力量40kWh/一充電走行距離322km
- 日産リーフX:定価3,819,200円/総電力量40kWh/一充電走行距離322km
- 日産リーフX(Vセレクション):定価4,056,800円/総電力量40kWh/一充電走行距離322km
- 日産リーフG:定価4,189,900円/総電力量40kWh/一充電走行距離322km
- 日産リーフe+ X:定価4,411,000円/総電力量62kWh/一充電走行距離458km
- 日産リーフe+ G:定価4,998,400円/総電力量62kWh/一充電走行距離458km
※価格は税込みです。
※2021年4月6日時点での情報です。
日産「e-NV200」はバン・ワゴンタイプの電気自動車
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(引用:日産「e-NV200」)
日産のV2H対応車種には、リーフのほかに「e-NV200」シリーズもあります。
「e-NV200」シリーズはバン・ワゴンタイプの電気自動車で、最大で7人(e-NV200G)まで乗ることができます。
日産「e-NV200」の車名と総電力量(電池容量)、最大乗用可能人数は以下の通りです。
- 日産e-NV200 バンGX:総電力量40kWh/最大乗用可能人数5人
- 日産e-NV200 ワゴンG:総電力量40kWh/最大乗用可能人数7人
※価格は日産のWEBサイト等をご覧ください。
※2021年4月6日時点での情報です。
三菱自動車のV2H対応車種
三菱自動車からは、V2Hに対応した電気自動車(EV)と、プラグインハイブリッド(PHEV)が販売されています。
三菱自動車のV2H対応EV(電気自動車)
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(引用:三菱自動車「MINICAB-MiEV」)
三菱自動車のV2H対応EV(電気自動車)は以下の通りです。
- i-MiEV:総電力量(電池容量)10.5~16kWh
- MINICAB-MiEV VAN:総電力量(電池容量)16kWh
- MINICAB-MiEV TRUCK:総電力量(電池容量)10.5kWh
※価格は三菱自動車のWEBサイト等をご覧ください。
※2021年4月6日時点での情報です。
三菱自動車のV2H対応PHEV(プラグインハイブリッド)
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(引用:三菱自動車「エクリプスクロス」)
三菱自動車のV2H対応PHEV(プラグインハイブリッド)は以下の通りです。
- エクリプスクロス(PHEVモデル):総電力量(電池容量)13.8kWh
- アウトランダーPHEV:総電力量(電池容量)12~13.8kWh
※価格は三菱自動車のWEBサイト等をご覧ください。
※2021年4月6日時点での情報です。
トヨタのV2H対応車種
トヨタからは、V2Hに対応したプラグインハイブリッド(PHEV)として、「プリウスPHV」が販売されています。
ただし、V2Hに対応しているのは、19年5月改良版以降の「プリウスPHV」のみとなります。また、購入時に、車両メーカーオプションの「急速充電インレット(外部給電機能付き)」を注文する必要があります。
V2Hに対応したトヨタの「プリウスPHV」
V2Hに対応したトヨタ「プリウスPHV」の、車名と価格、総電力量(電池容量)、EV走行距離(WLTCモード)は以下の通りです。(WLTCモードとは、市街地、郊外、高速度の各走行モードを、それぞれの平均的な使用時間配分で構成した国際的な走行モードのことを指します。)
- Aプレミアム“ナビパッケージ”:定価4,392,000円/総電力量8.8kWh/EV走行距離60km
- Aプレミアム:定価3,933,000円/総電力量8.8kWh/EV走行距離60km
- A“ナビパッケージ”:定価4,047,000円/総電力量8.8kWh/EV走行距離60km
- A:定価3,615,000円/総電力量8.8kWh/EV走行距離60km
- S“ナビパッケージ”:定価3,805,000円/総電力量8.8kWh/EV走行距離60km
- S“セーフティパッケージ”:定価3,394,000円/総電力量8.8kWh/EV走行距離60km
- S:定価3,313,000円/総電力量8.8kWh/EV走行距離60km
- S“ナビパッケージ・GR SPORT”:定価4,258,000円/総電力量8.8kWh/EV走行距離60km
- S “GR SPORT”:定価3,772,000円/総電力量8.8kWh/EV走行距離60km
※価格は税込みです。
※2021年4月6日時点での情報です。
ホンダ
ホンダ(本田技研工業株式会社)からは、V2Hに対応した電気自動車(EV)として、「Honda e」が販売されています。
V2Hに対応したホンダの「Honda e」
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(引用:HONDA「Honda e」)
V2Hに対応したホンダの「Honda e」は、2車種が発売されています。
それぞれの車名と価格、総電力量(電池容量)、一充電走行距離(WLTCモード)は以下の通りです。(WLTCモードとは、市街地、郊外、高速度の各走行モードを、それぞれの平均的な使用時間配分で構成した国際的な走行モードのことを指します。)
- Honda e:定価4,510,000円/総電力量35.5kWh/一充電走行距離283km
- Honda e Advance:定価4,950,000円/総電力量35.5kWh/一充電走行距離259km
※価格は税込みです。
※※2021年4月6日時点での情報です。
V2H対応の外車はある?テスラはV2Hできる?
結論から言うと、現在のところV2Hに対応した外車はありません。電気自動車として有名な「テスラ」も、V2Hは未対応です。
電気自動車と一緒にV2Hを導入したい場合は、国産の電気自動車(EV)またはプラグインハイブリッド車(PHEV)等を購入しましょう。
V2Hの設置費用や補助金
ここからは、V2Hの導入にかかる設置費用や補助金についてご紹介していきます。
V2Hの工事費(設置費用)
V2H充放電器(EV用パワーコンディショナ)を購入して設置する場合、工事が必要になります。そのため、機器の購入費の他に、おおよそ以下の工事費が必要となります。
- V2Hの工事費の目安:約30~40万円(税込)
※工事費は依頼する工事業者によって異なります。
V2Hは機器と工事費に補助金が出る
V2Hを導入する際、充放電器(EV用パワーコンディショナ)の設備費・工事費と、電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHV)などに対して、経済産業省および環境省などから補助金が出ています。
2021年度に、経済産業省および環境省から交付されているV2H補助金は以下の通りです。
経済産業省の電気自動車(EV)補助金
- EV車両:上限60万円
- PHV車両:上限30万円
- FCV車両:上限250万円
※補助額は、車種によって変わります。
経済産業省のV2H補助金
- 充放電設備費:1/2補助、上限75万円
- 充放電工事費:上限40万円(個人)
※補助額は、V2Hの設備によって変わります。
環境省の電気自動車(EV)補助金
- EV車両:上限80万円
- PHV車両:上限40万円
- FCV車両:上限250万円
※補助額は、車種によって変わります。
環境省のV2H補助金
- 充放電設備費:1/2補助、上限75万円
- 充放電工事費:上限40万円(個人)/上限95万円(法人等)
※補助額は、V2Hの設備によって変わります。
令和3年度の補正予算案が発表され、EV関連の補助金額の増額が決定しました!詳細については以下の記事をご覧ください。
【最新版】EV・PHVへの補助金・最新情報まとめ!2022年は増額予定!
V2Hの導入費をシミュレーション
ここでは、上記でご紹介した価格を元に、参考までにV2Hの導入費用をシミュレーションしていきます。
前提条件(購入V2H機器・購入車両・工事費など)
- V2H機器:ニチコン「VCG-663CN3」
- 電気自動車:日産「リーフS」(購入費は新車とする)
- 工事費:40万円(内補助金対象工事は20万円とする)
- 補助金は経済産業省を利用する
電気自動車(EV)とV2H機器をセットで新規導入した場合
電気自動車(EV)とV2H機器をセットで新規導入した場合は、おおよそ以下の金額になります。
- 導入費用:2,927,000円
■内訳
- EV車両費:3,080,000円
- V2H設備費::398,000円
- V2H工事費:400,000円
- EV補助金:-552,000円
- V2H設備補助:-199,000円
- V2H工事補助:-200,000円
※上記価格はあくまでもシミュレーションであり、実際の価格とは異なります。
※上記価格は税別です。
※EV補助金額は令和2年度補正の資料を参考にしています。
V2H機器のみを新規導入した場合
電気自動車(EV)は既に購入済みで、V2H機器のみを新規導入した場合は、おおよそ以下の金額になります。
- 導入費用:399,000円
■内訳
- V2H設備費::398,000円
- V2H工事費:400,000円
- V2H設備補助:-199,000円
- V2H工事補助:-200,000円
※上記価格はあくまでもシミュレーションであり、実際の価格とは異なります。
※上記価格は税別です。
参考サイト:
銘柄ごとの補助金交付額(電気自動車)
銘柄ごとの補助金交付額(V2H)
電気自動車やV2Hに興味を持った方はこちらも
電気自動車・充電スタンド情報サイト – Chasta!まとめ
電気自動車(EV)に蓄えてある電気を家庭でも使用可能にする「V2H(Vehicle to Home)」を実現するためには、
- V2H充放電器(EV用パワーコンディショナ)
- 電気自動車(EV)
の2つが必要となります。
また、V2H充放電器(EV用パワーコンディショナ)を製造している主なメーカーには、
- ニチコン
- デンソー
- 東光高岳
があります。
V2Hに対応している電気自動車(EV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)のメーカー・車種には、
- 日産:リーフ、e-NV200
- 三菱:i-MiEV、MINICAB-MiEV VAN・TRUCK、エクリプスクロス(PHEVモデル)、アウトランダーPHEV
- トヨタ:プリウスPHV
- ホンダ:Honda e
などがあります。
V2Hの導入は高額ですが、経済産業省や環境省から補助金が交付されているので、上手に活用することでお得にV2Hを導入できます。 ただし、V2H補助金は予算が限られていて先着順の場合もあるので、導入したい方は早めに申し込んだほうが良いでしょう。
監修

エコ発事務局 太陽光アドバイザー
曽山
『誠実、スピーディーな応対』をモットーに日々エコ発を運営しています。 お客様への応対だけでなく全国に数百ある提携業者様とのやり取りをはじめ、購入者様へのキャンペーン企画やウェブサイトの改善など、皆様のお役に立てるよう日々業務に取り組んでいます。 卒FIT後の太陽光発電の活用方法など、お困りごとがございましたら、お問い合わせにてお気軽にご相談下さい。
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